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マスクで口呼吸が増えるのは本当なのだろうか?

どうもこんにちは。
マスクオタクです。

マスクをすると口呼吸になりやすい。

わりと常識っぽく言われていることで、ネット検索するとそういう情報は出てきます。

そして口呼吸によって口内が乾きやすくなりマスクは逆効果だという感じ。なんとなくそんな気はしますが、どうなんでしょう。

関連する論文を探してみたところ、マスクによる口呼吸の増加に関する研究は見つかりませんでした。私の探し方が悪いのか。

しかし、ドライマウスや唾液生成量などについてのものはありましたので、今回取り上げておきます。


◆論文引用

要旨を引用します。あとでざっくりまとめてるので飛ばしてOK。以下リンク。

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jop.13390

J Oral Pathol Med. 2023 Jan;52(1):56-62.doi: 10.1111/jop.13390.

フェイスマスクが唾液パラメータおよび口臭に及ぼす影響: ランダム化比較クロスオーバー試験

Epub 2022 Dec 13.

要旨

背景
フェイスマスクは自認されるドライマウスや口臭と関連している。本研究の目的は、異なるフェイスマスクが唾液パラメータと口臭に及ぼす影響を測定することである。

方法
無作為化対照クロスオーバー臨床試験を4期に分けて実施し、40名の口腔健常者に異なるフェイスマスク(布製マスク、サージカルマスク、フィルタリングフェイスピース2[FFP2]マスク)またはマスクなし(対照)をランダムな順序で4時間使用してもらった。非刺激唾液流量(主要評価項目)、刺激唾液流量、刺激唾液と非刺激唾液の唾液pHと緩衝能(副次的評価項目、盲検化)、揮発性硫黄化合物(副次的評価項目)を、4時間の曝露の前後に測定した。統計解析は反復測定ANOVAによって行った(p < 0.05)。

結果
無作為化された40人の参加者のうち、39人が研究を完了した。フェイスマスク前の非刺激唾液流量は0.6±0.3ml/分であった。フェイスマスクは無刺激唾液流量に有意な影響を及ぼさなかった(p = 0.550)。フェイスマスクは、他の唾液パラメータにも有意な影響を及ぼさなかった(p≧0.518)。フェイスマスク前の揮発性硫黄化合物(VSC)濃度は157.3±59.7ppbであった。フェイスマスク後、VSC濃度はわずかに上昇したが、有意ではなかった(p = 0.055): 168.1±76.3ppb(コントロール)、199.3±132.7ppb(布製マスク)、188.5±101.1ppb(サージカルマスク)、189.7±90.1ppb(FFP2マスク)であった。

結論
フェイスマスクを4時間装着しても、唾液流量、pH、緩衝能に変化はなく、VSC値にも有意な影響はなかった。フェイスマスクの着用は、唾液流量の減少やVSC値の低下といった唾液パラメータに対する測定可能な副作用をもたらさないようである。

Effect of face masks on salivary parameters and halitosis_ Randomized controlled crossover trial - Kanzow - 2023 - Journal of Oral Pathology & Medicine - Wiley Online Library.html
www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。
[2025.02.06 引用]
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jop.13390

◆まとめ

研究では3種のマスクを対象に、4時間着用前後の以下が確認されている。

  • 唾液流量

  • pH

  • 緩衝能

  • VSC(揮発性硫黄化合物)値

で、結論として『(マスク着用は)唾液パラメータに対する測定可能な副作用をもたらさないようである。』としている。

なお、結果の表が以下。興味のあるかたはどうぞ。


◆所感

口呼吸については論文中で以下のように言及されている。

先行研究では、フェイスマスクを続けている間、口渇の自己認知が増加することがわかっている。この観察の説明として考えられるのは、フェイスマスク使用時に呼吸パターンが鼻呼吸から口呼吸に変化することである26。口呼吸は、口腔乾燥の知覚の増加と関連するが、これはおそらく蒸発と粘膜の乾燥によるものであろう27, 28。

で、マスク使用と口呼吸を結びつけている参考文献である[26]を見たところ残念ながら全文は見れず。リンクは以下。

この論文によると、口呼吸の割合は運動強度の高い場合に顕著、といった感じ。そりゃそうだろう。なお、『mask』ではなく『respirator』が使われていたのでガチなマスクが対象かも。論拠としては弱いか。

◇◇◇

とはいえ、マスクで口呼吸の割合が増える可能性は、そんなもんだろうと思う。息がしにくくなる以上、逆ってことはなさそうだし。

ただ、私の実感として歩行程度の負荷で口呼吸になることはないので影響は大きくないように思う。まあ、その辺は人によるし使用しているマスクや漏れ率によるだろう。これは憶測でしかないので、そのような研究を期待したい。

◇◇◇

ちなみに、『口渇の自己認知が増加する』は私も感じていて、以下のように書いたことがある。

理由はともかくマスクを着けると喉が渇く気がする。不思議だ。

そのようなとき、口の中がカラカラになっていることはないので、湿度の高い空気を鼻から吸い続けるとそのような感覚を引き起こすのかもしれない。

実際に口が乾いているのかもしれないが、私の経験では数年風邪をひいてないし、新規の虫歯もないし、口内炎ができた記憶もない。なので口腔環境はそんなヤバい感じでもなさそう。たぶん。


◆おわりに

ということで、マスクによる口呼吸を直接観察した結果ではないものの、唾液パラメータは問題ないという結果。

だからといってノーリスクかは不明。そして、口渇との関連は私を含めて普通にありそうなので、そのあたりのメカニズムや影響が気になるところ。

ってか、マスクで口呼吸が増えるか、なんて結構簡単に研究できそうな気がするんですけどね。その程度のことには研究費が充てられないのかもしれないですが。

マスクはTPOで有効活用したいものですね。

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