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帯状疱疹は『夏に多い』っぽい。原因は紫外線?

新型コロナ以後、度々話題になる帯状疱疹。

コロナ感染やワクチン接種で発症しやすくなる、といった説を見たが、実際コロナ後に増えているのか気になったので確認してみた。

結果として2022年までのデータしか確認できなかったものの、そのような傾向は見られなかった。しかし、比較的『夏に多い』という傾向を知ったので記事にしておく。


◆2024年、最近の状況

最近のネット記事から関連情報を引用する。

厚労省が示した資料では、国内での大規模調査で帯状疱疹の発症率は1977年の調査開始以降、24年で1.8倍と、増加傾向にある。

東京八丁堀皮膚科・形成外科では、帯状疱疹と診断される患者の年代が幅広くなっているという。 望月香奈医師は「季節の変わり目ですとか、疲れがたまりやすい時期に増えてくる。暑くなると免疫が落ちるので(若い人にも)増えてきている傾向」と語る。

子どもへのワクチン接種で“ブースター効果”減少
背景にあるとみられているのが、子どもへの水ぼうそうのワクチン接種だ。 大規模な調査を行った宮崎県のデータをみてみると、子どもの水ぼうそうのワクチン接種が努力義務となった2014年を境に、発症数が15分の1に激減している。 このようなことからブースター効果が得にくくなり、子育て世代の帯状疱疹が増加したと考えられている。

「眠れないほどの痛み」“帯状疱疹”の患者増加 20代でも発症…医師「暑くなり免疫低下、若い人にも増える傾向」(FNNプライムオンライン) - Yahoo!ニュース.html
[2024.07.23 引用]
https://news.yahoo.co.jp/articles/68125c224e9330cd6bfee6acb6dfcc952ada9890

◆年次統計データ

帯状疱疹の統計を探すと『宮崎スタディ』というものに当たる。なんでも帯状疱疹に関する世界最大規模の疫学調査とのこと。関連記事からグラフのみ引用する。

「宮崎スタディ」における帯状疱疹の発症者数と発症率
[2024.07.23 引用]
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/1120982/

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高齢化と共に発症者数は増えているのだろう。
(全国のデータではないので注意)

コロナの影響としては、2020年はともかく2021,22年が低い水準で怪しい。『免疫機能低下によるウイルスの再活性化で発症』という前提で考えて、なぜこのような結果なのか。謎だ。

自粛や受診控えの影響だとすると2020年が大きく影響を受けていそうな気がするが、そうでもないのは興味深い。


◆季節性

月次推移はちょっと古いが以下の資料から一部引用する。これによると冬に少なく夏(7月-10月)がピーク。

https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/download_pdf/2017/201706007A.pdf

診療情報データベースを用いた帯状疱疹の疫学等に関わる研究
[2024.07.23 引用]
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/download_pdf/2017/201706007A.pdf

◇◇◇

帯状疱疹の季節性については諸説ありそうだが、以下の論文では夏にピークとなることや紫外線との関連を示唆している。

過去10年以内に発表された100万人以上の集団を分析した季節性研究のうち、日本、オーストラリア、台湾の3つの研究では、夏にHZの発生率が高くなる季節性が報告されているが、オーストラリアのパースと韓国の2つの研究では、季節変動はないと報告されている[4-8]。これらの研究の多くは、HZの季節的傾向は紫外線曝露に関連している可能性があり、夏に紫外線強度が高くなると水痘ウイルスの再活性化に影響すると推測している。紫外線暴露はすでに、もう1つのアルファ型ヒトヘルペスウイルス感染症である単純ヘルペス(HSV)の再活性化の危険因子として関与している[9,10]。HZにおけるこの主張を評価した研究はほとんどないが、オーストラリアのパースで行われた前述の研究では、HZの症例とUVインデックスとの間に有意な相関があることがわかった[7]。

Seasonality of Herpes Zoster and Herpes Zoster Ophthalmicus - PMC.html
www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。
[2024.07.23 引用]
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8760721/

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季節性や紫外線の影響についてはまだ定説というほどのものでもないようだ。

日本ではそのような傾向が見られるものの、インフルエンザ等とは異なり1年中それなりの水準で、年間全体での差は15%程度。緩い季節性という感じだろうか。


◆おわりに

ということで、夏に発症リスクが高い、といってもそこまで大きな差はない。また、コロナ感染やワクチン接種の影響は見られず、むしろコロナ前の推移からすると減少傾向であった。

ちなみに私は過去に1度発症したことがあるが『ピリピリした感じ』が独特だったので、次発症しても結構すぐにピンとくる気がする。

放っておくとヤバそうなので、怪しいピリピリ感があったら早めに皮膚科で見てもらうことをオススメする。

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