ちょっと前の記事で柔軟剤(マイクロカプセル)と香害について書きました。
その中で『空気中を漂う香料の入ったマイクロカプセルや破片を吸うよりは、マスクしてマスク由来のポリプロピレンを吸ったほうがマシだと思います』というような事を書きました。
実際のところそれは正しいのだろうか?
気になり調べてみました。
結果から先に書くと、今回紹介する論文でハッキリしたことはわかりませんが『マスクしたほうがマシかも?』という感じです。
◆論文について
論文は2021年の中国の研究によるものです。
ざっくりとした内容は、『新品のマスク』と『1日着用したマスク』を水で洗浄し、分離したマイクロプラスチックを計測し比較する、という感じです。
『海や河川へのマスクの投棄の影響』に関係する研究のため、私が知りたいことと若干ズレますが、マスクに付着(捕捉)したマイクロプラスチックが確認できますので、多少参考に出来るものかと思います。
◆論文引用
論文から概要の一部と結果の図表を引用します。
なお引用部はすべて以下リンクから[2023.04.20]時点のものです。
◆まとめと所感
使用後のマスクでは新品に比べ、分離出来たマイクロプラスチックの量が大幅に増えています。(約6.8倍)
論文では『マスクから放出されたマイクロプラスチックの多くは、不織布に由来する中型の透明ポリプロピレン繊維であった。』とあります。
この文面を読むと『多くがマスク由来』と解釈しがちですが、内容を見る限りちょっとよくわかりません。
図4、粒子数比較(a)の増えた『transparent』(透明)なものがすべて『マスク由来』であればそういう解釈になりますが、そこについてはそれ以上追及されていません。
また、材質比較(e)によると『Total』の『Other』の割合がかなり増えていることから、マスク由来のPP(ポリプロピレン)よりも他の影響が大きいように思えます。
◇◇◇
論文が『マスクのマイクロプラスチック問題』というテーマのためか、バイアスがかかった結論付けになっているような印象です。
私が見る限り『空気環境中のマイクロプラスチック問題』のほうが大きいように思えます。
そして、そのような懸念はコロナ前からありました。
◆1週間にクレジットカード1枚分
以下にヒトのプラスチック摂取についての記事を引用します。
◆おわりに
論文における懸念が誤りということではなく、マスクは適切に廃棄しましょう、ということですね。
なお、今回の研究で『マスクから吸ったかもしれないポリプロピレンの量は計測出来ていない』ということには注意が必要です。
しかし、個人的には新品から分離された量が少ないことから、そこまでの影響は無いだろうと推測します。(少なくとも使用後のマスクで捕捉した量と比較した場合。)
『ノーマスクで新鮮な空気を!』といったところで、そもそも私たちが吸う空気はそれほど良いものではない、という可能性は考えてみても良いんじゃないかと思います。
今後、コロナと共存していくためにも空気環境の清浄化は課題ということでしょう。コロナじゃなくても、なんか最近色々と空気がヤバくなってそうですし。
皆さんもお気をつけて!