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鼻腔は微粒子をどれくらい捕捉するのだろうか。

前回の記事でマイクロプラスチックの吸入について以下のように書いた。

これによると1日100個以上は気体から吸入しているだろう。大きなものはほとんどが鼻腔で捕捉されるが、鼻洗浄によりそれをある程度排出できている可能性がある。(そのような研究はある)

鼻うがいボトル容器からのマイクロプラスチック検出について。|キツネザル.html

『大きなものはほとんどが鼻腔で捕捉される』

過去にそんなデータを見た記憶があったので書いたのだが、今回の記事で念のため根拠を示しておこうと思う。


◆論文引用

該当論文から要旨のみ引用する。後で引用する図がわかりやすいので、お時間の無いかたは飛ばしてもOK。リンクは以下。

Laryngoscope Investig Otolaryngol
. 2024 Jul 22;9(4):e1308. doi: 10.1002/lio2.1308

ヒト鼻腔内における粒子沈着の影響因子

要旨

目的
鼻腔内粒子沈着を研究するための数値流体力学的手法の適用に関する既存文献をレビューし、鼻腔内粒子沈着に影響を与える要因を要約・分析することで、将来の経鼻薬物送達デバイスの開発および呼吸器関連疾患の予防のための理論的参考資料を提供する。

データソース
PubMedおよびCNKIデータベース。

方法
すべての最新文献(2023年2月まで)を検索した。鼻腔内粒子沈着に影響を及ぼす因子というトピックに関連する検索語を特定し、関連論文を特定するためのクエリーを実施した。

結果
粒子自体の特性および粒子外部の環境条件の両方が鼻腔内の粒子沈着に影響を及ぼし、粒子沈着は粒子径、粒子密度、および気流速度と正の相関を示し、被験者の年齢が上昇すると沈着は減少し、気流温度と湿度との関係についてはさらなる研究が必要であった。

Influencing factors of particle deposition in the human nasal cavity - PMC
www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。
[2024.11.18 引用]
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11261810/

◆まとめと所感

論文ではヒトの鼻腔がどれくらい微粒子を捕捉(沈着)しているのか、過去の文献からまとめている。以下の図がわかりやすかった。
(Deposition Efficiency:沈着効率)

結果は諸条件により異なるようだが、大雑把には上のような認識で良いかと思う。

粒子サイズによりグラフがわかれており、上が『μm』、下が『nm』。
線は流量(L/min)の違いで3パターン。横軸が粒子径。縦軸が沈着効率。

粒子径が大きい場合、流量が高いほど沈着率が高くなる。これは慣性による沈着が影響しているとされている。粒子径が50μmを超えるような場合、ほぼ100%捕集・沈着するようだ。スゴイ。

粒子径が小さい場合、その逆。拡散(ブラウン運動等)による沈着が影響しているとされている。1nmでは60%以上。これもスゴイ。

◇◇◇

ちなみに、微粒子状物質のサイズ感はざっくりと以下。

  • 花粉:30μm

  • ウイルス:100nm(0.1μm)

  • ニオイ分子:1nm(0.001μm)

で、ヒトの呼吸流量として『4L/min』は低すぎ最低でも『10L/min』かと思うが、その場合、花粉程度の大きさは95%以上鼻腔内で捕捉出来てそう。(ただし吸引の最初と終わりは流量が低いのでその際にスルーされる場合はありそう。)

ウイルスくらいの大きさは残念ながら20%未満。

ニオイ分子は『15L/min』でも60%以上捕捉!
と言っても、空間中のニオイ成分が分子サイズのままなのかどうかは、また別のハナシであり注意が必要だろう。


◆おわりに

以上、冒頭で書いた以下はわりと正しいようだ。

『大きなものはほとんどが鼻腔で捕捉される』

鼻腔は花粉程度の微粒子の多くを捕捉(沈着)している。マイクロプラスチックも同様だろう。

それらは放っておいてもハナクソとして排出されるのだろうが、やはり私は鼻うがいをオススメしたい。花粉症の人には特に。

ということで、試してみるなら個人的にはニールメッドがオススメでーす。
(実店舗にも置いてる所が結構あります。)


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