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ワクチン非接種者は事故を起こしやすい?

最近交通事故関連の記事を書いているので、ついでに新型コロナワクチンと交通事故について。

以前軽く話題になっていた論文を取り上げるが、内容は『新型コロナワクチン非接種者は統計的に交通事故のリスクが高い』という傾向を示す。

個人的な感想としては『そういう傾向はあるとしても、ワクチンの効果なのかはわかんないですよね』という感じ。


◆論文引用

該当する論文から要旨のみ引用する。リンクは以下。

https://www.amjmed.com/article/S0002-9343(23)00660-5/fulltext

Clinical Research Study| Volume 137, ISSUE 3, P227-235.e6, March 2024

COVIDワクチン接種のためらいと長期的交通リスク

Published:October 25, 2023DOI:https://doi.org/10.1016/j.amjmed.2023.10.020

要旨

背景
COVIDワクチン接種のためらいは、個人の意思決定と公的ガイドラインとの間の不一致を明らかにするものである。COVIDワクチン接種のためらいが交通事故の長期的リスクと関連するかどうかを検証した。

方法
電子カルテへのリンクを通じてCOVIDワクチン接種状況を判定し、成人の集団ベースの縦断コホート解析を実施した。救急医療を必要とする交通事故は、その後1年間の地域全体の全病院の多施設による転帰確認によって定義した。

結果
11,598,549人のうち、1,210,754人がCOVIDワクチンの接種を受けていなかった。1年間の追跡期間中に54,558人が交通事故で負傷し、そのリスクは100万人当たり4704人であった。COVIDワクチン未接種者は、COVIDワクチン接種者より58%リスクが高かった(100万人当たり6983人対4438人、P<0.001)。ワクチン未接種者における交通事故リスクの増加は、多様なサブグループを含み、単独事故において強調され、致死的転帰に拡大し、睡眠時無呼吸症候群に関連するリスクを上回り、ベースライン特性で調整後も持続した。リスクの増加は、人工知能技術を用いた解析で検証され、一般にCOVIDワクチン接種が原因とされることが多い他の有害事象のリスクよりも大きかった。

結論
COVIDワクチン接種のためらいは、交通事故の長期リスクの有意な増加と関連している。交通事故リスクに対する認識が高まれば、患者が身の安全を守るための行動をとるようになるかもしれない。

COVID Vaccine Hesitancy and Long-Term Traffic Risks - The American Journal of Medicine.html
www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。
[2024.08.07 引用]
https://www.amjmed.com/article/S0002-9343(23)00660-5/fulltext

◆所感

研究はカナダ、オンタリオ州のもの。
2023年(丸1年)の交通事故データが分析されているようだ。

ワクチン接種状況は0回を非接種、1回以上を接種と分けている。

ちなみに、この手の論文では1回接種の扱いが統一されておらず、都合の良いように使われている可能性があるため注意が必要だろうと思う。

◇◇◇

結果は『COVIDワクチン未接種者は、COVIDワクチン接種者より58%リスクが高かった』とされているが、まず真っ先に思ったのは『年齢の調整はされているのか?』ということ。

若者ほど交通事故を起こしやすいのはどの国でも共通だと思うし、若者ほどワクチンを打ってない傾向はあるだろう。

確認したところ『58%リスクが高かった』に関してはそのような調整がされておらず、様々な属性をごっちゃにした全体の結果としての数字のようだ。

◇◇◇

で、属性ごとの調整、比較がされたものが以下。

100万人あたりに補正された数値を見ると65歳以上ではほとんど差が無い(青枠)。しかしノーワクの若者はリスクが高い傾向にある(赤枠)。

その他の属性として、性別、居住地、社会的地位等で比較されているが、総じてノーワクのほうがリスクが高い。

面白いのは男性よりも女性(Female)のほうが『リスクの差』が少ないこと。コロナ後遺症は女性のほうが多い傾向のため、それを踏まえるなら女性のほうで大きな差が出てもおかしくないように思うが。

◇◇◇

ということで、総じてノーワクのほうがリスクが高い。

まあただ、だからと言って『ワクチンを打てば事故が減る』ということは意味しないだろう。これだけでは。

単に、もともと事故を起こしやすい人はノーワクになりがち、という可能性はある。そこの検証が欲しい。

今回のような比較をするなら、ワクチン接種前の事故の傾向を基準にするべきで、それをしないならバイアスは排除出来ていないように思う。


◆おわりに

この論文はSNSで目にしたものだが、信頼できそうなニュースサイトで取り上げられているのを見たことがないので、それほど信憑性の高いものでもなさそうな気がする。

ちなみに、ツイッターことXなんかを見るとノーワクはエキセントリックな人が多いイメージだが、それは極一部だろうし全体としての属性についてはあまり分析されていないように思う。

実際は慎重だから打たなかったような人(私はたぶんそんな感じだし、ゴールド免許)もいると思うので、今回の結果は興味深いが、ワクチンの効果としての説得力は弱いように思う。

日本での似たような調査結果が見たいところ。

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