ワクチン非接種者は事故を起こしやすい?
最近交通事故関連の記事を書いているので、ついでに新型コロナワクチンと交通事故について。
以前軽く話題になっていた論文を取り上げるが、内容は『新型コロナワクチン非接種者は統計的に交通事故のリスクが高い』という傾向を示す。
個人的な感想としては『そういう傾向はあるとしても、ワクチンの効果なのかはわかんないですよね』という感じ。
◆論文引用
該当する論文から要旨のみ引用する。リンクは以下。
https://www.amjmed.com/article/S0002-9343(23)00660-5/fulltext
◆所感
研究はカナダ、オンタリオ州のもの。
2023年(丸1年)の交通事故データが分析されているようだ。
ワクチン接種状況は0回を非接種、1回以上を接種と分けている。
ちなみに、この手の論文では1回接種の扱いが統一されておらず、都合の良いように使われている可能性があるため注意が必要だろうと思う。
◇◇◇
結果は『COVIDワクチン未接種者は、COVIDワクチン接種者より58%リスクが高かった』とされているが、まず真っ先に思ったのは『年齢の調整はされているのか?』ということ。
若者ほど交通事故を起こしやすいのはどの国でも共通だと思うし、若者ほどワクチンを打ってない傾向はあるだろう。
確認したところ『58%リスクが高かった』に関してはそのような調整がされておらず、様々な属性をごっちゃにした全体の結果としての数字のようだ。
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で、属性ごとの調整、比較がされたものが以下。
100万人あたりに補正された数値を見ると65歳以上ではほとんど差が無い(青枠)。しかしノーワクの若者はリスクが高い傾向にある(赤枠)。
その他の属性として、性別、居住地、社会的地位等で比較されているが、総じてノーワクのほうがリスクが高い。
面白いのは男性よりも女性(Female)のほうが『リスクの差』が少ないこと。コロナ後遺症は女性のほうが多い傾向のため、それを踏まえるなら女性のほうで大きな差が出てもおかしくないように思うが。
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ということで、総じてノーワクのほうがリスクが高い。
まあただ、だからと言って『ワクチンを打てば事故が減る』ということは意味しないだろう。これだけでは。
単に、もともと事故を起こしやすい人はノーワクになりがち、という可能性はある。そこの検証が欲しい。
今回のような比較をするなら、ワクチン接種前の事故の傾向を基準にするべきで、それをしないならバイアスは排除出来ていないように思う。
◆おわりに
この論文はSNSで目にしたものだが、信頼できそうなニュースサイトで取り上げられているのを見たことがないので、それほど信憑性の高いものでもなさそうな気がする。
ちなみに、ツイッターことXなんかを見るとノーワクはエキセントリックな人が多いイメージだが、それは極一部だろうし全体としての属性についてはあまり分析されていないように思う。
実際は慎重だから打たなかったような人(私はたぶんそんな感じだし、ゴールド免許)もいると思うので、今回の結果は興味深いが、ワクチンの効果としての説得力は弱いように思う。
日本での似たような調査結果が見たいところ。
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