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線香の健康リスクについて

先日シェディングについて調べていて『線香が効果ある』という情報を見ました。

検索すると案外似たような情報(お香、蚊取り線香)はあって、効果を実感している人はいるようです。

ただまあ、なんであれメリットばかりではないということで、線香(お香)のリスクについて今回の記事で情報を整理しておきます。


◆wiki

まずウィキペディアによると、以下に示すように線香の煙はカラダに良いものではないようです。

線香の煙は健康に有害である。ベンゼンメチルベンゼンなどを含み、また線香の燃焼は不完全燃焼であるため、PM2.5などが多量に含まれている。台湾においては寺院で使用される線香が原因でPM2.5が激増し、世界保健機関(WHO)の基準値の60倍に達するなど大きな問題となっている[13]

線香の煙は気管支喘息の発病や、その悪化の因子とされる[15]。線香を日常的に使用する家庭では子供の喘息リスクが高く、肺機能が低下しやすいことが知られており、2021年には線香の煙が気道過敏性の亢進や密着結合の低下を引き起こすメカニズムがマウス実験により報告されている[16][17]

線香 - Wikipedia.html
[2024.12.19 引用]
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B7%9A%E9%A6%99

◆論文

論文を確認したところ、やはり健康リスクを指摘するものが多数ありました。

以下のものは2022年の総説ですが他の論文からも多数引用されており、参考にできそうです。

J Inflamm Res. 2022 Apr 26;15:2665–2693. doi:10.2147/JIR.S347489

線香の煙の健康と環境リスク: メカニズム的洞察と累積的証拠

PMCID: PMC9058426 PMID: 35509323

概要
お香を焚くことは、世界のさまざまな地域で、多くの神聖な儀式とともに行われている。お香の成分は、ハーブと木粉21%(重量比)、竹棒33%、香料35%、接着剤11%である。お香の主な燃焼生成物には、粒子状物質(PM)、揮発性有機化合物、多芳香族炭化水素が含まれる。これらの生成物の相対的な毒性は、粒子径と不完全燃焼の影響を意味しており、これらは特定のお香のブランドによって異なる。最近、国際的な規制機関が大気質指標に注目したことで、PMの毒性が高まるという懸念が生まれた。PMの物理的な大きさが非常に小さいため、その検出が難しく、重力の影響もないため、PMは急速に酸化ストレスを引き起こし、吸入されたときにランダムな生化学反応を促進する。お香を焚くと、タバコ(~10mg-g-1)の4倍のPM(45mg-g-1)が発生する。CO、CO2、NO2、SO2などの有毒ガスや、燃やしたお香の灰の処理という避けられない課題が、さらに毒性を高めている。これらの問題を総合すると、焼香には早急な注意が必要であることがわかる。この論文の目的は、お香の燃焼物質が環境や人体に及ぼす毒性を明らかにすることである。この議論は、環境に優しいお香の製造と使用量の削減に関する将来の政策を策定する上で重要な意味を持つだろう。

Health and Environmental Risks of Incense Smoke_ Mechanistic Insights and Cumulative Evidence - PMC.html
www.DeepL.com/Translator(無料版)で翻訳しました。
[2024.12.19 引用]
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9058426/

◆厚労省

日本での実使用に近い製品評価が無いか探したところ、厚労省っぽいURLでPDF資料がありました。まとめを引用します。リンクは以下。

・線香、お香及び蚊取り線香の 煙中ベンゼン濃度https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000047002.pdf

まとめ

• 線香、お香、蚊取り線香10製品を用い、燃焼により発 生する煙中のベンゼン濃度を測定した。

• すべての製品からベンゼンが検出され、単位重量あた りのベンゼン放出量は、230 μg/g~1,010 μg/gであっ た。

• 試料を6畳間で1時間燃焼させたときの推定室内ベン ゼン濃度は 5.4 μg/m3 ~31.3 μg/m3であり、いずれ も大気環境基準を超えていた。

• 線香、お香、蚊取り線香使用時のベンゼン曝露量低減 のためには、使用をなるべく短時間に抑えることや、燃 焼後の十分な換気が必要と考えられる。

線香、お香及び蚊取り線香の 煙中ベンゼン濃度
[2024.12.19 引用]
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000047002.pdf

◆メーカー

製造側は何かしら注意喚起しているのか、軽く探しましたが見つかりませんでした。大手っぽい『日本香堂』では以下のようなQ&Aがありました。

お線香は人体に害を与えますか

現在弊社が製造しておりますお線香の原材料には、基本的に人体に影響を及ぼすとされているものは一切使用しておりません。
天産の植物(木粉)をベースに、天然香料、合成の香料、合成の着色料などが原料として配合されています。
合成香料についての安全性はイフラ機関という香料についての安全性を定める国際機関で安全であるとされているものを原料として使っております。
もし、ご使用にあたって煙が気になるような場合は距離を置いていただくか、適宜換気をしていただきながらご使用下さいませ。
また、煙の少ないお線香のご使用もご検討下さいませ。

お線香は人体に害を与えますか - よくあるご質問.html
[2024.12.19 引用]
https://www.nipponkodo.co.jp/faq/incense/effects/

これはどうなんでしょうね。

『原材料には』なので燃焼時に影響する物質には言及されていません。『お線香の使用は人体に害を与えますか』なら違う回答になるかもしれないですね。


◆所感

私は今まで漠然と線香に接してきてリスクなんて気にしたことはなかったですが、調べるとそれなりにあるようです。

ただ、こういうのは個々の製品によって大きく違いがあると思ってるので、安全性に配慮した製品はあるかもしれません。そこまで調べてないですが。

ちなみに先の厚労省絡みっぽい資料の中で種類ごとの違いが出てましたが、結果は以下の感じ。円錐形の数値が高い。量の問題だろうか。なお、大気環境基準は3 μg/m3 。

線香、お香及び蚊取り線香の 煙中ベンゼン濃度
[2024.12.19 引用]
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000047002.pdf

◆おわりに

ということで、線香(お香)の使用には注意が必要かもしれません。

なお、私は科学が万能だとは思ってないですし、健康ハラスメントをしたいわけではありません。

こういう記事書いといてなんですが『知らねえよ!ほっといてくれ!』という感じはあります。

◇◇◇

まあ、今回の記事で挙げたようなリスクはメリットとのベネフィット評価がされているわけではないですし、それを定量的にするのは無理でしょう。

なので、常識の範囲内で使用して、多少のリスクがあるくらいのものであれば大騒ぎするのは違うだろうと思います。(実際、注目されてる感じはないですが)

ただし、使う物と使い方によってリスクは大きそうなので、頻繁に使う方や施術で使用する方は詳細を知っておいたほうが良いように思います。ご自身の健康のためにも。

線香はTPOで有効活用したいものですね。

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