あのクズを殴ってやりたいんだ 5話 感想
佐藤ほこ美（奈緒）がボクシングを始めた原動力でもあり、このドラマのタイトルでテーマでもある「あのクズを殴ってやりたいんだ」の意味がくるりと反転しました。
クズのくずや海里（玉森裕太）を殴ってやりたい！
から、
強くて優しい海里を好きだから、海里が前に進むために「私があなたを殴ってやります」
味方になって鼓舞するための意味に反転しました。
海里はほこ美の影響で前を向いて生きていくことに真面目な気持ちで取り組んでいき、しかし期待はことごとく打ち砕かれ、自暴自棄になったところを、ほこ美が捨て身で海里を救おうとしました。
初めてほこ美の前で涙を流した海里の背中を、ほこ美はぎゅっと抱きしめて上の言葉を言ったのです。
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人は期待し、成功への足がかりの一歩を踏み出したところをどん底に落とされた時、強く絶望します。
海里の（今はカメラマンとして生きていく）邪魔をしてくるのは3人
1人目は神奈川県議会議員の富岡（橋本じゅん）
海里の父親です。
富岡は「だからボクシングなんて反対したんだ。殴った方は忘れても殴られた方は一生覚えているもんだ」
と海里に吐き捨てるように言います。
「俺も忘れません。一生背負っていくつもりです。お願いします。仕事させてください。」と海里は頭を下げます。
海里は家出したところを、海里がボクシングの試合で死なせた平山大地（大東駿介）に拾われてボクサーになりました。
父との確執の中、海里は父親を殴ったのではないでしょうか？
あそこまで憎むからには、それくらいのことがあったのでしょうし、それくらいのことをしなければ父は束縛を解いてくれなかったのかもしれません。
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2人目は試合で死なせた平山大地の父（橋爪淳）
七回忌に行った海里の顔に大地の父は靴を投げつけました。
海里は土下座し、「僕は前に進もうと思っています。真面目に働いて、これからは大地さんに恥ずかしくない生き方をしようと思います」
羽根木ジムの会長（渡部篤郎）が持ってきてくれた平山大地（大東駿介）の遺品のボクシングノートのあの試合前のページに
「相手が海里で良かった。自分でできることを考えて前に進む」
と書いてあったのです。
大地の父は「写真だか何だか知らないが、あんたの名前見て正直悔しくてたまらなかった。大地を返してくれ！」と息子の事故死から7年経っても海里への憎しみは変わりません。
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そして海里を邪魔する3人目（陰で暗躍）は、海里と同居するカメラマンの弟分、相澤悟（倉悠貴）で間違いないと思います。
悟は「俺が世話になってる事務所が新しいカメラマン探してるんですけど、興味あります？」
と海里に仕事を紹介しました。
海里は採用されて期待の一歩を踏み出したところ、前日になってキャンセルされました。
理由は昔の噂を聞いたから。
恐らく悟がわざと海里を期待させて持ち上げたところを、どん底に突き落とし絶望させる狙いだったと思います。
大地の父も、写真で海里の名前を見て悔しかった、と海里の仕事を知っていました。
邪魔させるために教えたのは悟だと思います。
悟はほこ美の友達の新田撫（ももクロ玉井詩織）から、ほこ美の推薦で海里が市のフォトコンテストに応募することを聞いていました。
悟はいつも海里の一番近くにいて、兄貴を慕う弟のように無邪気に振る舞いながら、海里が前を向いて生きていけないよう暗躍しているのです。
これは恐ろしいことです。
悟は恐らく平山大地の身内か親しい関係者なのでしょう。
どれだけ海里を憎んでいるか知りませんが、そこまで憎んでいる相手の前で笑顔をつくって弟のように振る舞い同居するというのは、自分の心と人生を殺しているのです。
実は悟に憎まれていたことを知った時、海里は悟の闇の深さに深く傷つくと思います。
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ラストシーンに至る展開はベタかもしれないけど、奈緒と玉森裕太の演技力が素晴らしく魅せてくれ圧巻でした。
誰だかわからない女たちとカラオケに行って酔いつぶれてキスし流され流れて行く海里。
女たちの間を割って入ったトレーニングウェア姿のほこ美が、海里の腕をぎゅっとつかんで離さない。その力強さ。
「こっちはあんたが現れてからずっと最悪な気分なんだよ」
ほこ美といると真面目になってしまい流れ流される生き方が苦しくなるから。
「私に何ができるかずっと考えていて」
「じゃ、やらせてよ」
「いいよ。行こう」
ラブホテルへ。
「チョロいな。こんなとこまで来て。だから男に騙されるんだよ」
「騙されてもいい。私、知ってるから。あなたが必死にもがいていることも。本当は強くて優しい人だってことも。周りに迷惑かけないようにわざと遠ざけてることも。」
ほこ美を押し倒す海里。
ほこ美は覚悟して目をつぶる。
でも海里はほこ美を流すことができない。
「俺だってみんなが前に進むのを見てやろうとしたけど、前に進もうとするたび思い知らされる。（涙）どんなに悔やんでも悔やんでももう時間は戻せない。俺どうしたらいい？」
海里の背中を抱きしめるほこ美。
「世界中の人があなたのことを何と言おうと私がそばにいます。味方でいます。だから自分を壊さないで。それでも前に進まなきゃならない時は私があなたを殴ってやります。あなたのことが好きだから私が殴ります」
揺るぎないほこ美の愛と包容力に、海里は初めて弱さをさらけ出すことができました。
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井上陽水の夢の中へ
探し物は何ですかぁ？
アイドル風にぴょんぴょんしながら歌うほこ美の母、スナックママ明美（斉藤由貴）
それを途中から乗っ取って熱唱する羽根木ジム会長（渡部篤郎）
カバンの中も机の中も探したけれど見つからないのに
まだまだ探す気ですか、それより僕と踊りませんか
夢の中へ夢の中へ行ってみたいと思いませんか！
自分が誘った七回忌で海里が靴を投げつけられたのを見た夜、やけ酒て酔って荒れたのです。
「酔った酔った情けない」
「いい男を酔わすのはこのお仕事の醍醐味だから」
斉藤由貴、渡部篤郎の2人のお酒と歌と気持ちと言葉がドラマの奥行きを感じさせてくれました。
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ほこ美を好きらしい大場（小関裕太）の演技も面白いです。
ほこ美と海里がいい感じと新田撫から聞かされて、目をくるくる泳がせて笑顔をつくる感じとか、単純にショックを受ける表現じゃなくて、面白くて印象に残りました。
海里を待ち伏せして食事に連れ出し、海里を邪魔する議員が実の父親だと聞き出し、「一緒に戦いますよ」と言う大場。
「こう見えて僕はけっこう諦めの悪い人間なんです」
この言葉は意味深ですね。
ほこ美のことを簡単には諦めない人物であるとキャラ設定しているのでしょう。
大場がどんな行動に出るのか、どんな演技プラン（表現）を見せてくれるのか楽しみです。
♥️✨♥️✨♥️✨♥️
読んでくださり、ありがとうございます。
また次回も楽しみに見て感想を書きたいと思います。