あのクズを殴ってやりたいんだ 8話 感想
8話の一番の見どころは気持ちを隠して身を引こうとする海里(玉森裕太)に、ほこ美(奈緒)の母のスナックママ明美(斉藤由貴)が持論を力説するシーンです。
海里が煮え切らないので途中で興奮して椅子の上に乗って演説するところに凄みがありました。
ほこ美にはエリートで人格者の大葉(小関裕太)の方が相応しいと悩む海里に、ほこ美の人生はほこ美が決めて選ぶのだ、あなたにできるのは気持ちを伝えるだけ、と言うもの。
そして、それを言ううち、自分の悩み(娘のほこ美に危ないプロボクサーの道を応援して良いのか心配)もほこ美の人生だからほこ美が決めるのだ、という結論に気づき、自分の問題をも解決するところが素晴らしい展開でした。
人は自分のこととなるとなかなか客観的には見られないので、他人の悩みを客観的に見るうち気づきを得るというもので、スパッと切り替えてスッキリする明美が素敵でした。
しかし、こんなふうに母親の明美の心配が描かれた以上、シナリオ的には「ほこ美がボクシングで危ないめに合う」というのは予想できるというか確定しちゃいます。
シナリオって布石を打って組みたてていくものなので、確信しました。
しかし、それを海里に対して密かに憎しみを持つ弟分の相澤悟(倉悠貴)が計画的に仕組むとは思わなかったので、残酷さに驚きました。
「今日のスパーリングの件、この前伝えた通りにお願いします。佐藤ほこ美をKOしたら100万円払います。」
スパーリングで出稽古に来る女ボクサー(吉本実憂)に、悟が依頼したのです。
殺しにかかっていると思われるほど、スパーリングの出だしから相手の女ボクサーはギラギラした目つきで襲い殴りかかってほこ美をぼこぼこにし、
会長(渡部篤郎)がゆい(岡崎紗絵)に「止めよう!」と言ってゆいが頷いた瞬間、
よろけたほこ美に相手の強いパンチが容赦なく入り、ほこ美はダウンして意識を失いました。
気持ちを伝えるため神社でほこ美を待つ海里に、ゆいが取り乱しながら電話します。
「海里。ほこ美が。出稽古で相手が聞いてたのと違って強くて。止めたんだけど、ほこ美がどうしてもやるって。意識が無い。」
この台詞はひっかかりました。
実際には止めようとした瞬間の一撃をくらって倒れたので、止めるのが間に合わなかったのです。
「止めたんだけど、ほこ美がどうしてもやるって」これは嘘の言い訳になるので、ゆいの印象が悪くなります。
このドラマのゆいはとても素敵な女性に描かれているし、ほこ美を本気で心配している人物なので、言い訳がましい嘘の台詞は言わせないでほしかったです。
♥️✨♥️✨♥️
さすがにヒロインが致命傷を負うことは無いでしょうが、
この展開により、せっかく明美の演説で心を動かされた海里が自分の気持ちを伝えるところだったのが、できなくなりました。
シナリオ的にはハッピーエンドにするなら最終回に持って行きたいため、主人公たちに放った最大級の試練です。
海里が気持ちを伝えなかったのは「大葉の方がほこ美を幸せにできる」という悩みでしたが、
今度の悩みはグレードアップします。
恐らく次回でほこ美に悪さを仕掛けたのは、自分を憎む悟だと海里は知るでしょう。
「自分がほこ美と一緒になればほこ美に危険が及ぶ」と悩みの大きさが絶望的に膨れ上がったのです。
ついにキーマンである悟との問題を解決しないと、ハッピーエンドは叶わない展開となりました。
海里は悟には心を許しているんですよね。
ほこ美に愛をこめて贈ろうとしていたネックレス(お金が無いので安物だがほこ美の好きな月をモチーフにしている。)を「俺の独りよがりだった」と言いつつ、悟にだけ本当の気持ちを見せています。
「海里さんをそこまで本気にさせるなんて、やっぱりほこ美さんはすごいっすね。特別なんですね」と悟は言い、あの悪魔の策を実行するのです。
✨♥️✨♥️✨♥️✨
悟は撫から「くずやさん(海里)って悟くんのお兄さんみたいだもんね」と言われ、
違う!とカフェで周りが注目するほど大声を上げてしまいます。
「俺、兄がいるんです。子供の頃、親が離婚して離れ離れになったけど俺のこと心配してくれて」
と悟は初めて身の上を語ります。
「お兄さんとはよく会うの?」と撫に聞かれ、
「時々」と答えます。
これで悟はやはり海里がボクシングの試合で死なせてしまった平山大地(大東駿介)の弟であり、そのため海里を憎んでいることが、大勢の予想通り確定となりそうです。
時々会う意味はお墓参りだと思います。
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大葉は海里が身を引きたくなるほど素晴らしい男性だと思います。
帰国した海里に「俺、佐藤に告白しました。返事はまだです。俺、負けません。俺の方が佐藤を幸せにできる自信あるんで。じゃ、俺はこれで。」
言いたいことを告げて、ほこ美に帰国した海里と話す機会をあげるためにさっと二人きりにして立ち去るところなんか素晴らしいです。
前述した明美と海里の話を聞いてしまい、
酔っ払って気持ち悪くなって海里の世話になる情けなさも人間味があるし、海里に出して貰ったしじみ汁を飲んだ後、
「俺、くずやさん(海里)とは正々堂々戦いたい。佐藤に伝えたいことあるなら、ちゃんと伝えてください。」
と潔く言うなど、良い人すぎて出来すぎで(出来すぎくんに見えないように自転車に乗れないとか情けなさを入れている。)、きっと振られるんだろうなと思うと視聴者として切なくなるところが、当て馬としては素敵に描かれています。
✨♥️✨♥️✨♥️✨
悪意の悟から見れば小物的な嫌がらせをほこ美にする撫(ももクロ玉井詩織)。
「ボッチなんて可哀想」と一人でお弁当を食べるほこ美を見下しながら聞こえるように言って他の女子たちとランチに行ったり。
嫌な女に見えるところは振り切った演技をしていてアイドルながら流石です。
気になったのは大葉がほこ美に仲が悪くなった同期と再会して打ち解けた話を「わざわざ」したことです。
撫は悟とよく会っています。
悟がほこ美の情報を取りたいためでしょう。
悟の怖ろしさを知った撫はどう出るか。
もしかしたら大葉の台詞が伏線となり、撫がほこ美に何か良いことをする展開はあるのでしょうか?
♥️✨♥️✨♥️✨♥️
読んでくださり、ありがとうございます。
また次回も楽しみに見て感想を書きたいと思います。