蒸留酒とは
蒸留によって作ったお酒の事。スピリッツとも呼ばれる。
一般的にアルコールが高いのが特徴。
蒸留とは
混合物を沸騰させ、再び凝固させることで、沸点の異なる成分を分離する手法。蒸留酒はこの手法を使ったお酒。
なぜお酒を蒸留するの?
ビールやワインなどの、酵母発酵によるアルコールは、ある程度アルコール度数が高まると酵母が死んでしまう。
そのため、アルコール度数16~20%程度までしか上がらない。
また、無理に発酵させるので雑味の原因になり味が落ちる。
そこで、一度作ったお酒を蒸留し、「雑味の原因となる添加物」を取り除きつつ、純度を高めることで、「おいしいお酒」を実現しているのだ。
蒸留は繰り返すほどアルコール度数が高まり、最高アルコール濃度は約96%となる。
スピリタスといわれる例のあれだ。
なお、スピリタスを作るには70回以上の蒸留を必要とするらしい。
なんでスピリタスは100%にならんの?
共沸が起きるためである。共沸とは、混合液としての沸点が単一液体の沸点を下回る(極小点に到達する)ことによって起きる。
沸騰は外気圧に対し、蒸気圧が上回れば起きる現象であるから、「よく混ぜた液体の蒸気圧」のほうが、水、エタノールどちらもの単体の蒸気圧を下回ることによりいくら蒸留しても分離しない状況となってしまう。
96%以上に分離したい場合は、ベンゼンなどを加え混合液の組成を変化させるか、単純に外気圧を調整することで分離できる。
まぁ、エタノール100%を飲みたいという人はいないと思うけど。
蒸留酒の歴史(要出展ばかりでした)
紀元前3500年前のメソポタミア文明には”蒸留器”はあったと言われている。
当時、蒸留器は「海水から飲み水を作る」とか、「精油する」といった目的で使われており、蒸留酒が作られていたかどうかは記録に無いそうだ。
その後、紀元前1300年のエジプトでナツメヤシの蒸留酒が売られた記録があるとか、紀元前800年にインドで蒸留酒が売られた記憶が残っていると言われている。どちらかが起源なのかもしれない。
事実としては、過去の「錬金術ブーム」という名の科学実験ブームで蒸留器が盛んに作られ、そこから蒸留酒は古代ギリシャなどの技術のある国で親しまれ始めたようだ。当時は「生命の水」(ラテン語でaqua vitae)と呼ばれ親しまれていた。
その後の紀元前300年代のアレクサンドロス3世が世界各国への物流・交流を増やし(侵略ともいう)、それに乗って蒸留技術が世界各国へ伝搬した。
ちなみに、日本へは「中国・朝鮮」経由で沖縄から伝わり「泡盛・焼酎」として流通した。
単式蒸留と連続式蒸留
1回ずつ蒸留するのが単式蒸留。
連続で蒸留するのが連続式蒸留。
昔は単式蒸留しかできず、蒸留の手間がかかる上に雑味により美味しくない蒸留酒が流行っていた。
それをカバーするのが19世紀生まれた連続蒸留機。ざっくり言えば、単式蒸留を連続で行える蒸留機械。
この連続蒸留機により、雑味を抑え、狙ったアルコール度数の美味しい蒸留酒が作れるようになったのだ。
なお、現在は単式蒸留の進歩により「雑味」はあまり入らず、「材料の風味」を残すことができる手法として用いられている。
単式蒸留で作る蒸留酒
テキーラ、ブランデー
すっげぇこだわってる焼酎
泡盛
オランダ・ジン
連続式蒸留で作るお酒
バーボン
ウォッカ
甲類焼酎
ほぼすべてのリキュール類
各種の蒸留酒
泡盛:インディカ米:日本
焼酎:コメとか麦とか:日本
ウイスキー:大麦、トウモロコシなど穀類:スコットランド
ウォッカ:ライ麦など穀類:ロシア
ジン:穀類とか:イギリス(って書くと怒られそうな気がする)
スピリタス:穀類:ポーランド
テキーラ:竜舌蘭:メキシコ
ラム:サトウキビ:カリブ海のどこか