檸檬水

文章書くことが私のケア。

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最近の記事

子宮頸がんは「ウイルスが原因」と書かれることへの違和感

子宮頸がんに関するニュースの一文目に「子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因で発症する」と書かれている。 私はこの書き方にものすごい違和感を覚える。 HPVはありふれたウイルスで、女性でも男性でも9割の人が感染する。そのうちの90%の人は、免疫によって消える。しかし10%の人は、ウイルスが長期間持続してしまい、何らかの理由(ストレスとか食べ物とか運動不足とか)で免疫が下がった結果、がんになる。だから「免疫力の低下によって」って書くべきなんじゃないの?

    • なぜ怒ってしまうのだろう

      大病を抱えているわりに毎日穏やかに過ごせていたが、今日「カーーーッ!」と怒ることがあった。コジコジのやかん君みたいだった、私。何が起こったかは重要ではないから書かないでおこうと思ったけど、やっぱり書かないとな。 これは「私はなぜ怒ったのか」という話です。 職場である案件を任された。 たまにくる他人の提案書を作るという謎仕事である。Hディレクターは、イラレもパワポも触れない。私は「自分で企画する提案書は自分で作れよ」と思ってしまう(てかその方が早くない? 体裁だけカッコつけた

      • 大人の寓話 | プリンシパル島物語

        2021年、コロナ禍のなか旅にでた 場所は、太平洋のプリンシパル島(仮) ある寺院で聞いた話。 6km先の森から、とある巨木を祠の中に移したという。翌年、村に大きな台風が来てご神木は台風被害からまぬがれた。地元の方の話を聞きながら、はて、無理くり移したから台風が来たのでは、と思う。 その話を聞いた夜、何度目かの台風を耐え抜いた、島のホテルのびろうに口づけをすると、なんだか申し訳なくなった。そして自分自身が今までどのように人と話をしてきたか明らかになった。 かつて東京、大阪

        • ショート小説 | 愛し愛されて生きる家族さっ

          8月14日、僕の姉ちゃん、ユミ姉ちゃんが10年ぶりに帰省したんだ。ユミ姉ちゃんはまだ甥っ子ちゃんが小さいと思って『インサイド・ヘッド』のグッズなんか買って来ちゃって。小さくてかわいかったあん子はもうすっかり、ボーボーに脛毛も生えた、残念なアニオタになっていた。おっぱいぶりんってなってる絵を、居間に堂々と飾っていて衝撃を受けたね。本も読まずにゲームの灯りでニキビ面を照らしてさ。だからって押し付けちゃいけないよね。正しさってやつをさ。 この子の母親は何してるのかって? 僕らの一

        子宮頸がんは「ウイルスが原因」と書かれることへの違和感

          『小山田圭吾炎上の嘘』読んだ

          小山田圭吾 炎上の「嘘」 (中原一歩 著)を読んだ。 Corneliusの長年のファンであるにも関わらず、 私はなるべくこの件は見ないよう、ニュース等々全てスルーして、30年過ごした。 30年って。自分がイヤな気持ちにならないために。これは傍観でもなく、何も考えようとせずにいた証拠。Tシャツだけはちゃっかり買っててとても恥ずかしい。 例の雑誌は中学生の時に私も見ていた。 間に受けなかったがずっとモヤモヤはしていた。私も無知で未熟で自分の意見がなくて、HEY! HEY! H

          『小山田圭吾炎上の嘘』読んだ

          元彼はスレッズおじさん

          元彼の名前を検索してみたら、スレッズおじさんと化していた。どうやらXは辞めた模様。フォロワーが1万人もいて、蛇口ひねったみたいに言葉が溢れている。なんだか元気そう。ヨカッタヨカッタ。 私は自分の心を揺らすかの如くスクロールしてみる。マッタク、何の役にも立たない情報ばかりだが、読めばオモロい文章でついつい見ちゃう。しかしまぁ大変な人だったと思い返す。 5年前、私たちはマッチングアプリで知り合った。付き合って3回目のデートで、滋賀県の雄琴の温泉宿へ泊まりに行った。雄琴といえば

          元彼はスレッズおじさん

          病院の日、友人と10年ぶりに再会する

          朝食作りながら水曜日のダウンタウン(きしたかのの回)を観て泣く。病院の日の朝は、映画とKindleを数冊ダウンロードしておく。 今日は三ヶ月に一度のMRI診察。 病院の待ち合い室には、怒っているひとがかならずいる。鍼灸で教えてもらった足指運動をする。置き針のおかげか足の付け根の痛みがなくなった。 時間のつぶし方ばかり上手になる。私はまた同意書を持ってくるのを忘れた。健康体に憧れてもなお、病院に併設されたローソンの、新作おろからぽんに視線が奪われる。 「愚か、愚か、ああなん

          病院の日、友人と10年ぶりに再会する

          脚本 銀河八十八

          ※これは1969年の映画『銀河』を元にサンプリングした脚本です。 監督:ルイス・ブニュエル 脚本:ルイス・ブニュエル&ジャン=クロード・カリエール 映画は、キリスト教における巡礼の道、サンティアゴ・デ・コンポテーラを舞台に、宗教システムの欺瞞を描いたコメディです。これはその物語を、真言宗の西国三十三所巡礼に書き換えたものです。 無宗教と言いつつ神様を信じている、私の目線の脚本です。何か信仰をされている方には、不快に思われる内容かもしれません。 これは純粋な創作ではありません

          脚本 銀河八十八

          よっ!そうさく大将!

          昨年のnote創作大賞で初めて小説を書いた。 40名の方が「いいね!」を押してくれたものの、「あなたの経験を本に」なんてことはなく、投稿はインターネット宇宙のもずくと化した。 私が書いた小説は、ある作家の下でしばらく働くため、ド田舎に移住したものの(働くと言ったって、犬の散歩や机下に湯たんぽを置いておくとかそういう類で、福利厚生もなければ、バイトに近い契約で)何かよくわからん詐欺みたいなリトリートに行かされ、クビになり、私にがんが見つかり、今も闘病中という事実を元に、多少の

          よっ!そうさく大将!

          ショート小説|もういいよそういうの

          (世にもリアルな物語) __ (桃花の視点) 初めは私も怪しいって思ってた。 「インディゴスティックで貴方の不調を治します」 なんて、そんなこと。 桃花は、スピリチュアル好きの友人に紹介された茉里子の自宅サロンを訪れた。 インディゴスティックとは、特別な素材で出来たこの棒を患部にすりすりするだけで、不調が消えてなくなるというもの。女優の杏奈さんも、アスリートのドテライトさんも使っている、とスピリチュアル好きの友人が言っていた。長年、悩んできたアトピーも、弱々な胃腸もこれ

          ショート小説|もういいよそういうの

          バズるのダサい時代がやってきた

          友人のWEB制作会社の社長から 「人生って何なんだろうね・・・」とDMが来た。 余命もよくわからない私に、こんなこと言ってくるなんて。今じゃ私も達観キャラになってしまってふいにこんなことを訊かれる。私も茶化した感じで返してしまい結局何があったか聞き損ねてしまったけれど、でも分かります、分かりますよ。 WEBの世界にずっといるってしんどいよね。 溢れ返る情報、新しいことを知っておかなきゃならない風潮。決して褒められもせず、持ち上げられもせず、有能な社員に陰で揶揄され、若者には

          バズるのダサい時代がやってきた

          いじめっこのこと四十になっても思い出す

          小学一年生だった頃。 桜散る散る帰り道、たまたま帰り道が重なった、わかばちゃんというコと仲良くなった。わかばちゃんは「大きくなったら、観月ありさちゃんみたいになる!」と言い、それは大袈裟ではなく実際なりそうな出立ちで、クラスの中でも一番に目立つ存在だった。 わかばちゃんは、次第にいじめをするようになった。まずは私のズックを隠した。ターゲットは次から次に変わった。常に子分を従え、その子分の中でも序列の変動が起こった。私に対しても、ある日突然すり寄ってきたり、突き放したりを繰り返

          いじめっこのこと四十になっても思い出す

          ていねいな暮らし好きなくせに草してごめん

          『北欧、暮らしの道具店』でお買い物するの大好き。『チャポンと行こう』も聴いているし、YouTubeだってほぼ観ている。『&premium』『天然生活』『暮しの手帖』なんかも大好き。 この数年、わりと熱心に「ていねいな暮らし」を追いかけてきた。 だけど正直、ちょっとツッコミを入れたくなる時がある。無害系コンテンツ「ちょっと無理」になる時が。 例えば、YouTubeに「うつわの高台が好きだから、洗い物は裏返しにして乾かしています、うふふ」って話す方が出ていました。BGMにはそれ

          ていねいな暮らし好きなくせに草してごめん

          スーパー主婦戦隊Gレンジャー

          都内某所 ここは5人の主婦が勤める「スーパーやよい」の休憩室。 今日は、バイト休憩の合間に誰かが持ってきたせんべいで食っちゃべっていると、ロッカーの隅にGが出た。 しっかり者のバイトリーダーが、履いていたスリッパを片手に持つ。いつもは気が弱い勤続3年の葉子も、知らず知らず片手にスプレーを掴んでいる。最近アルバイトに入った鉄子は、ホウキとちりとりを両手に。3人は目を見合わせ、一斉攻撃。 プシュー! バシン! 鉄子がそれを、さささっと片す。 「ふん、こんなのなんてことない

          スーパー主婦戦隊Gレンジャー

          選民意識のデザイナー

          会社に、とても仕事のできるグラフィックデザイナーがいる。名前はRさん。私よりも年下だが、大きなプロジェクトをひとりで任されて、広告賞も獲って、すごいすごい。 グラフィックを長年されている人は、基本、目がいい。微細な違和感にすぐ気がつき、突き詰める視覚的なポイントが、やはりWEBとはちがうなと思い知らされる。WEBデザイナーは、合理的に設計するのが役目だから、見た目の微細さでいうと、どうしても劣る。(それで、あからさまに下に見てくるような人も中にはいるけれど、役目がちがうのだ

          選民意識のデザイナー

          エッセイ 小説を書いてみた

          病気になって、身体が思い通りに動かなくなってはじめて、思うことがある。 ああ、もっと表現していれば、よかった。 今日は見上げれば青空で、太陽は燦燦と輝いていて、やわらかな風が吹いていた。蛇口から水が出て、お風呂に入って、好きな服を着て、まずはコンビニへ行く。歩ける。しかし、人はそんなことで「生きている!しあわせ!」とは、なかなか思えないものだ。 そんなことは当たり前。っていうか料理も掃除も面倒くさい。仕事ができるのも当たり前、仕舞いには「お給料が安い」とか「同僚がどうの」

          エッセイ 小説を書いてみた