「風立ちぬ」
二郎は空に憧れて夢を追った。
その彼の夢は滅びと死を生んだだけだった。
だが、彼の飛行機は美しい。
ただただ、美しかったのだ。
菜穂子は夢を追う彼を愛した。
死を受け入れることになったとしても
彼を、彼と共に生きることを選んだのだ。
二郎は夢と愛、どちらをも求め、
菜穂子は死と愛を選んだ。
二郎が夢を捨てきれなかったことは
罪なんかではなく、菜穂子はそんな彼を愛していた。
生きることは時に辛く悲しい。
だが菜穂子が手に入れることが出来なかった
生きることは、美しく、捨ててはならないものである。
二郎はこれからも生きていく。
生きねばならないのだ。