セルフケア ちからを抜く
上手にからだの力を抜くことは
りきんだり、力を入れるよりよっぽど難しいかもしれない。
ところで
操体法という操法をご存知だろうか
橋本敬三さんという、故人であるが、私の尊敬する仙台のお医者さんがつくった操法だ。
昔からよく患者さんにすすめていて
今でも良くすすめている。
とても良いところは、かたい筋肉を無理にストレッチするではなく
からだを快、心地よい方向に動かしながら
良くしてゆく特色があるかもしれない。
やっているうちに、気持ちよく体と対話しながら、
力の抜き方がわかってくるのだ。
もうひとつは、PIRといって筋肉を収縮させる事でそのあとにリラクゼーションを得ようとするやり方もあって
これも優しく安全なワークなので患者さんにおぼえてもらったりする。
ちからを抜くにはいったん力を入れるというのが共通していて
陽極まれば陰となるとでもいおうか
逆にもっていくところが何とも
面白い。
さて
このところ
患者さんとセルフケアの勉強を一緒にしてて
テキストは伊藤絵美さんの「セルフケアの道具箱」を使っている。
自分を落ち着かせるワーク6
「身体の一部にギューッと力をこめた後に、その力をバッと抜く」
というのがある。
これはジェイコブソンの筋弛緩法のことだと思うが
とても有効だと思う。
痛みのセラピーやケアをやっていると
どうしてもメンタルケアを念頭に入れないと
うまく行かない事が多い。
痛みというのは情動と結びついて不安からの行動の回避など2次災害、3次災害へと転がりやすいのだ。
痛みは体も気持ちも固くさせる。
固くなった筋肉だけをターゲットにするのではなく
気持ちからも緩めていくことは大切だ。
「もう歩けなくなるのでは」
「ちがう病気かもしれない」とか
過剰な不安へのコーピング必須な患者さんもいる
系統的脱感作法というのがある
人間の脳は不安とリラックスを同時に感じる
ことはできないという機序を利用した
不安障害などへ適用させる療法だ
怖くないと無理に説得するよりも
からだのリラクゼーションから不安を減らしてゆくほうがやはり良い
その他
数値化したり、日記に書いたり、外在化しながら、いたずらに不安にならないように
うまくつきあっていくコツを患者さんと一緒に学んでいきたいといつも思う。
「治す」だけにこだわらず
嫌な奴とうまくつきあっていくことを学ぶこ
とはとても大切だ。