第十八話「舞台に私の席はない(中学校の思い出)」長編小説「15th-逆さまの悪魔-」
中学時代、琴音は顧問を激怒させたあのとき以来、部活で一度も本番の舞台に出してもらえなかった。身体が回復して十分に演奏できるようになっても一向に認められなかった。表向きは、琴音が本番中に過呼吸の発作を起こすことを危惧して、ということになっていたが、実際には顧問から琴音への懲罰であることを、琴音本人だけでなく部内の誰もが知っていた。
夏から秋にかけて数回あるコンクールのときは、出番の少し前に部員たちが舞台裏に入ると、琴音は一校分ガラリと空いた座席に一人だけ残され、やがて光を