どこよりも分かりやすくAMC解説「AMCで何ができるの?」
1.AMC(Amazon Marketing Cloud)とは?
皆さんはAMC(Amazon Marketing Cloud)をご存じでしょうか?
Amazonに出店して実際に広告運用を行っている方であれば、既に耳にしたことがあるかもしれませんが、初めて耳にする方もいらっしゃると思います。
今や日本最大規模を誇るリテールメディアであるAmazon広告。多くの企業が、Amazon内での売上拡大を目的としたECマーケティングだけでなく、Amazonという枠を超えた広範なWEBマーケティングにおけるブランド認知施策としても積極的に活用し始めています。
AMCとは、Amazonユーザ一人ひとりの行動データが集約された、膨大なデータセットを統合的かつ横断的に分析し、さらにECマーケティングおよびWEBマーケティングへのデータ活用を可能にするデータクリーンルームソリューションです。特に、Amazon広告運用のパフォーマンスを最大化するためには、今や欠かすことのできないツールとされています。
昨今このAMCによるデータ活用が、ECマーケティングに留まらず、広くWEBマーケティングの世界においても注目を浴びています。
2 .Amazon広告とは?
AMCを知るには、まずAmazon広告というものの特性について知っておく必要があります。
Amazonにおける主な運用型広告は、3つのスポンサー広告と、さらに「Amazon DSP広告」の合計4種類の広告プロダクトから成り立っており、それぞれの広告は異なる役割、異なる特徴を持っています。
AMCを活用することにより、広告に接触したユーザ一人ひとりの行動履歴をもとに、各広告プロダクトのレポートデータからは把握することができない、実際の広告パフォーマンス・貢献度を、横断的に「見える化」することが可能になります。
3.AMCとはどんなソリューションなのかをもう少し詳しく
AMCの主な機能について簡単にまとめると以下の通りです。
AMCは、実際に100を超えるサンプルクエリが用意されており、分析手法の紹介も数多く公開されています。また新たなサンプルクエリや分析手法の追加、システムやパフォーマンスの向上、ユーザーインターフェースの改善、さらには新機能の導入が継続的に行われています。
AMCの機能とは、すごく大雑把に言ってしまえば、つまりはこれだけです。(2025年1月現在)
そしてこれらの機能が、あるいはそれらの掛け合わせとカスタマイズの柔軟性が、より広範囲で自由度の高いマーケティング分析・データ活用を可能にしています。
4.AMCで具体的にどんなことができるようになるの?
4-1.Amazon広告の統合的なパフォーマンス分析
Amazon運用型広告にはいくつもの種類があり、それぞれ仕様も役割も異なりますが、AMCを活用することで、ブランド全体の広告パフォーマンスをユーザーべースで集計することができます。
消費者がAmazonを訪れ、そのブランド商品を購入するに至るまでのプロセス、いわゆるカスタマージャーニーにおいて、それぞれの広告キャンペーンがコンバージョンにどれだけ貢献したのかを、さまざまな切り口で分析することが可能になります。
例えば以下のような集計が可能になります。
「Amazon広告全体集計」…全ての広告データを包含した、そのブランドのAmazon広告全体のパフォーマンス計測
「広告タイプ別集計」…そのブランドのAmazon広告を、タイプ別、キャンペーン別に分けた配信パフォーマンス集計
「重複分析(Overlap Analysis)」…それぞれの広告タイプ間の重複するインプレッション・ユーザーの数とその行動傾向などを分析
「経路分析(Path to purchases)」…広告インプレッションに基づいたユーザーがコンバージョンに至るまでの経路の分析
これらの分析結果に基づいて「予算配分」や「キャンペーン設計」の改善を図ることが、そのブランドのAmazon広告の全体最適化への第一歩になります。
4-2.オーガニックを含めた包括的なブランド分析や、国内Amazon市場分析
ブランド配信広告のインプレッションユーザーに限定されない、オーガニックを含む全てのブランドユーザーを対象とした、以下のような分析が可能になります。
「広告インプレッション」と「オーガニック」のそれぞれのユーザー比率やイベントファネル、コンバージョン集計。
検索キーワードや、販売商品ごとのイベントファネル・コンバージョン集計。
商品カテゴリやライフスタイルセグメントごとの、Amazon市場規模分析やブランド配信広告のリーチ率集計。
4-3.ファーストパーティデータを用いたユーザーの行動分析
AMCでは、外部からさまざまなデータを自由にアップロードして、クエリ集計に利用可能な任意のカスタムデータセットを作成することができます。
アップロード方法についてはいくつもの種類が用意されており、それにより以下のようなことが可能になります。
自社ECサイトの注文データをアップロードして、自社サイトユーザーとのマッチ率や、Amazon内における行動指向やセグメント傾向を分析。
オフライン実店舗の顧客リストをアップロードして、Amazonアカウントを持つユーザーが存在した場合、彼らに対してAmazon広告を配信。
4-4.詳細で具体的な条件を持たせた広告ターゲティング
AMC Audiences機能を活用すれば、ユーザー抽出クエリをAmazon広告用のカスタムセグメントとして定義することができます。
定義したクエリ処理は自動更新を選択させることができ、そのため常に最新のユーザーリストをAmazon広告の配信先に指定して運用することができます。
例えば以下のようなセグメントが作成可能です。
ブランド製品「A」を購入済だが、関連する消耗品「X」や「Y」を未購入のユーザー
過去7日以内に商品をカートに追加後、購入に至っていないユーザー
Aの広告キャンペーンに接触したが、Bの広告キャンペーンに未接触のユーザー
商品「B」と「C」をそれぞれ購入したユーザーに「類似した特性」を持つユーザー
4-5.顧客セグメント分析による販売改善と新商品開発
Amazonは消費者一人ひとりを数千に及ぶセグメント項目で分類、集計することができます。
これらのセグメント項目は「IN-Market(市場)」・「LifeStyle(ライフスタイル)」・「Demo(デモグラフィック)」などの大きなセグメントグループに大別されます。
これらにより、以下のような集計、分析が可能になります。
セグメント項目ごとの広告パフォーマンスを把握して広告キャンペーンの設計改善に活用。
「デモグラフィック(人口統計的特性)」と「サイコグラフィック(心理的特性)」のそれぞれの視点で、ブランドとの親和性が高いロイヤルカスタマー像を可視化。
さらに有償サブスク「Amazon insight(アマゾン・インサイト)」を活用することで、「IN-Market(市場)」・「LifeStyle(ライフスタイル)」における各セグメントの「市場規模」や「ブランド広告リーチ率」を追跡。
AMCで何ができるか、とても全部は紹介しきれませんが、代表的なものをピックアップして簡単にまとめてみましたがいかがでしたでしょうか。
AMCは、新機能の追加や処理時間の超短縮化、インターフェース改善など、ここ最近にきてソリューションとしての進化がますます加速しています。
今回取り上げた活用事例以外にも、さまざまな活用方法があります。そしてプロジェクトの現場では日々新たなAMCデータ活用のアイデアが生まれ続けているのです。
5.AMCとは Amazon 版 Google Analytics
AMCの基本機能について、あらためておさらいしてみましょう。
・データストリーミングによって蓄積された膨大なデータセットからユーザーベースの多様な集計・分析を行うことができる。
・広告配信に活用することができる。
・任意のデータをアップロードしてデータ集計に活用することができる。
こうして箇条書きにしてみると私たちが知る他のあるサービスととてもよく似ていると思いませんか?
AMCとは、その「機能・仕様」に大きな違いこそあるものの、その「役割」にフォーカスすれば、Amazon圏内で機能するAmazon版 Google Analyticsのようなソリューションと言うことができます。
6.最後に
AMCとはどんなプロダクトなのか、そしてそれを活用することによって、どんなことができるようになるのか、イメージだけでも伝わりましたでしょうか?
株式会社Legoliss はAmazon広告運用サポートをはじめ、AMC分析レポーティング、カスタムクエリ・ダッシュボード開発など、さまざまな形でお客様のビジネスを支援しています。
「AMCについてより詳しい説明を聞きたい」
「AMCを使ったレポートやダッシュボードをつくりたい」
「こんなマーケティングのアイデアがあるのだが実現可能か知りたい」
など、
AMCに関する疑問やご質問などございましたら、どのようなことでもお気軽に弊社までお問合せください。マーケティングソリューション事業の専門データエンジニアがお答えいたします。