臨床心理士・公認心理師を目指す人のために -小さなアドバイス集 その2-
臨床心理士を目指している方から色々と質問を受けます。
その中に「どこの大学院を選べば良いですか?」というものがあります。
これはすごく難しい質問ですね。私は大学院を受験する方の面接もこれまで担当をしてきたのですが、個人的には大学院を選ぶに先立ち、まず「なぜ、自分はこの領域でやろうと思ったのか」という問いをしっかりと立てて、考えることが大事だと思います。
結構、根本的なテーマだと思うのですが、要するに、大学院を選ぶにあたり、自分に関することやテーマをしっかりと深めるということですね。
自分の臨床心理を目指すそもそもの動機を探り、大学院を選ぶ上での芯を持つことが大事になります。
このことを意外と見落としている人が非常に多いです。(私もそうでした w)
みなさん、大学院に進学を目指して、情報も多く集めているのですが、「自分」の原点をしっかりと持つことも同じぐらい、もしくはそれ以上に大事な気がします。
臨床心理学は、専門職ですのでかなり「個」が強くないとやっていけません。
一般企業も、どの仕事も「個の強さ」が求められますが、臨床心理の場合、(仕事先にも寄りますが)会社や組織はそこまで守ってくれません。
基本的にカウンセリングをメインにする仕事だと、自分とクライエントとの1対1の関係が非常に重要になります。
個人的に大学院の心理面接の訓練を受けた時に辛かったのは、クライエントから色々な気持ちや言葉を向けられたり、投げられた時です。
その時に何度も「なんでこんなに自分だけが言われないといけないのか」、「臨床なんてやめてやる」と非常に強烈なネガティブな感情が自分の中に蠢きます。
その気持ちは、日常生活でもついて回りますし、一生懸命になるあまり、うつ状態になったり、激しい怒りが湧いてきたときもありました。(これは、今もあります。もちろんセラピストのタイプにも寄りますが)
私の場合は、大学院の博士課程を含めて6年在籍をしたので、6年同じクライエントを担当したときにとても悩みました。
そういうときに「なぜ、自分はこの領域でやろうと思ったのか」、「そもそもなぜ臨床をしようと思ったのか」、このような問いを何度も自分にして、そこから「何が大事なのか」ということを考えてきました。
要するに、そこに踏みとどまる「何か」が必要になると思うのです。他の人は話を聞いてくれて、アドバイスをくれますが、最終的にはやはり自分、そしてクライエントとの間で見つけるしかないのです。それは、大学院でも教えてくれないことです。
なんだか、大学院の話から外れてしまいましたが、自分自身と向き合うことが非常に多いお仕事だと思います。
なので、是非、大学院を探す前に自分の原点や、問題意識をしっかりと洗い出してみることをお勧めします。
そこから、大学院を探すというプロセスに入る方が自然だと思いまし、大学院の面接を受ける時も色々とスムーズだと思いますよ。