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#182 「精電舎電子工業事件」東京地裁(再掲)

2007年5月9日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第182号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【精電舎電子工業(以下、S社)事件・東京地裁判決】(2006年7月14日)

▽ <主な争点>
配置転換/部長職等からの解任の効力(不法行為)

1.事件の概要は?

本件は、S社に中途入社し、製造部長の地位にあったXと、製造部購買グループ次長の地位にあったYが、同社により、これらの職を解かれ、営業部長付(管理職待遇)への異動を発令されたが、S社のXらに対する各職位からの解任および配置転換は無効であると主張して、それぞれ営業部長付として勤務する義務のないことの確認と、配転前の職務上の地位およびこれに応じた職務手当の支払いを受ける権利の確認、ならびに口頭弁論終結時までの職務手当の差額および慰謝料300万円等の各支払いを求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<S社、XおよびYについて>

★ S社は、超音波等を用いた溶着溶断装置、電源および発振器等の電子応用装置の製造販売および修理等を目的とする会社で、約140名の従業員を擁している。

★ Xは、人材紹介会社により、製造部長を探している会社としてS社を紹介され、同社のA社長らによる面接を受けた上、平成14年4月に同社に採用され、製造部長を命ぜられた。その際、月給は基本給40万円、住宅手当2万9000円、家族手当4万円、職務手当8万円、精勤手当1万円とされた。

★ Yは、以前B社でXの部下として勤務していた者で、Xの進言により、14年7月、S社に採用され、その際の月給は基本給31万円、住宅手当2万9000円、家族手当3万円、職務手当6万円、精勤手当7750円とされた。その後、同年8月には、製造部資材グループ次長(後の名称変更により購買グループ次長)を命じられた。

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<本件解任および本件配転等について>

▼ XらはS社の業務の改善に当たり、原価管理の徹底、棚卸と帳簿との食い違いの減少などを図った過程で、他部門との間では、原価計算に関する調査、棚卸の調査、資料の提出要請、見積書の作成などの職務上のやりとりをめぐって摩擦が起きることもあった。

▼ S社は16年7月、Xを製造部長から、Yを製造部購買グループ次長から、それぞれ解任し(以下「本件解任」という)、いずれも営業部長付(管理職待遇)とする人事異動を発令し(以下「本件配転」という)、これに伴い、職務手当をXにつき月3万円、Yにつき月2万円にそれぞれ減額した。

▼ Xらは本件配転に不満を抱き、その理由を示すよう求めたところ、A社長から「Xが製造部長であることにより、部門間のコミュニケーションの障害となっており、製造部内外の反発が強いためであり、営業部においては営業現場の勉強をして欲しい」旨を説明された。

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