#502 「南海バス事件」大阪地裁(再掲)
2019年12月25日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第502号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【南海バス(以下、N社)事件・大阪地裁判決】(2017年3月24日)
▽ <主な争点>
路線バス運転手の運転間の「待機時間」の労働時間性など
1.事件の概要は?
本件は、N社が運行する路線バスの運転手(乗務員)であるXが「待機時間」は労働基準法(労基法)32条の「労働時間」に該当するから時間外割増賃金の一部が未払であると主張して、同社に対し、待機時間分の時間外割増賃金等の支払を求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<N社およびXについて>
★ N社は、路線バスや高速バスなどの自動車運送業務を行う会社である。
★ Xは、平成19年2月からN社の路線バス乗務員として勤務する者である。
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<N社における路線バス乗務員の勤務シフト、待機時間等について>
★ N社においては日ごとに担当する路線(系統)が指定される。そして、各系統の運行スケジュールにあわせて当該系統を担当する乗務員の労働時間および休憩時間が「乗務交代表」として規定されている。
★ 乗務員の労働時間・休憩時間の定め方は以下の通りとなっている。
(1)担当する系統ごとに始終業時刻が定められる。
(2)終点バスターミナルへの到着時刻から次の運行開始時刻までの休憩時間のうち、ターミナル到着時刻から2分、運行開始時刻前4分の計6分について、旅客サービスの向上やバスカードの販売促進等を目的とし、労働時間として扱う(以下、休憩時間から労働時間として扱われる時間を控除した時間を便宜上「待機時間」という)。
(3)上記(2)により1日の待機時間の合計が60分を超える場合には、60分を超えた部分の6分の1を労働時間に算入する。
(4)道路事情等により運行スケジュールよりもターミナル到着が遅れた場合には、延着時間については労働時間として扱う。
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