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#508 「共同交通事件」札幌地裁(再掲)

2020年3月18日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第508号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【共同交通(以下、K社)事件・札幌地裁判決】(2018年10月23日)

▽ <主な争点>
嘱託契約更新申込みの事実の有無など

1.事件の概要は?

本件は、嘱託社員として雇用されていたXが「期間満了に伴う嘱託契約更新の申込みに対するK社の更新拒絶は無効である」と主張して、同社に対し、嘱託社員契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、不法行為に基づき、平成28年1月から5月分までの未払賃金相当額58万9704円およびこれらに対する遅延損害金、ならびに同月以降本判決が確定するまでの間、月額賃金相当額12万7838円の支払を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<K社およびXについて>

★ K社は、一般乗用旅客自動車運送事業を営む会社である。

★ Xは、平成17年4月、K社と雇用契約を締結し、正社員(タクシー運転手)として勤務していたが、27年1月に定年退職後、同社と1年間の嘱託契約(以下「本件嘱託契約」という)を締結した者である。なお、XはK社労働組合(以下「本件組合」という)の委員長を務め、21年9月から28年1月の退職まで従業員代表の地位にもあった。

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<K社における賃金体系の変更等について>

★ K社における夜勤を伴う嘱託社員の賃金体系は原則として、1ヵ月23日勤務、月間所定労働時間171時間を前提として、歩合給44%、無事故、無違反者に服務手当2%を支給するというものであったが、同社は就業規則を変更し、27年10月から1ヵ月24日勤務、月間所定労働時間156時間を前提として、歩合給51%、乗務協力手当1%とする新賃金体系に変更した。

★ 本件組合は新賃金体系への変更に反対の立場を表明していたが、K社は新賃金体系につき全乗務員の75%の同意が得られたことから、新賃金体系を就業規則に盛り込むこととする改訂を行った。

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<嘱託契約の更新の定め等について>

★ K社においては就業規則上、定年退職年齢は64歳であったものの、乗務員から希望があれば、無条件で1年間の期間の定めのある嘱託契約を締結することができることとされていた。

★ 65歳を迎える嘱託社員については、当該社員が契約更新を希望し、K社が必要を認めた場合には嘱託契約を半年ごとに更新することができることとされており、65歳を迎える最初の嘱託契約の更新の際には当該社員から履歴書の提出を求める取扱いとしていた。

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