#124 「菅原電気事件」大阪地裁(再掲)
2006年2月15日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第124号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【菅原電気(以下、S社)事件・大阪地裁判決】(2005年6月22日)
▽ <主な争点>
厚生年金基金の加算年金受給権と使用者の配慮義務
1.事件の概要は?
本件は、S社の従業員であったXが定年退職するに伴い、厚生年金基金の退職年金受給権を取得したが、加算年金を受給することができなかったことから、S社に対し、労働契約上の配慮義務違反を理由に、実際に受給することとなった年金との差額相当額および弁護士費用の支払いを求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<S社およびXについて>
★ S社は電気絶縁材料等の輸出および売買等を目的とする会社である。
★ X(昭和11年生)は、昭和31年4月、正社員としてS社に採用され、平成8年11月末日、大阪副支店長を最後に定年(60歳)退職した。なお、S社では平成元年10月から、それまで55歳であった定年を60歳に引き上げていた。
★ Xは45年4月から62年1月までの間、S社を通じ、O厚生年金基金(以下「O基金」という)に加入していた。
★ S社は62年2月、O基金を脱退し、T厚生年金基金(以下「T基金」という)に加入替えしたため、XもT基金の加入員となった。
★ Xは62年2月から定年退職した翌月である8年12月までの9年10ヵ月間、T基金に甲種加入員として加入し、基本掛金、第1・第2加算掛金を納付してきた。
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<T基金の規約等について>
★ T基金の規約によると、加入員が受給できる退職年金は次のとおりである。
(a)加入員期間が10年以上である者が60歳に達した後に加入員の資格を喪失した場合で、加入員期間のうち甲種加入員期間が10年以上の場合
(1) 基本年金(終身給付)
(2) 第1加算年金(終身給付)
(3) 第2加算年金(支給開始から5年間給付)
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