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#289 「エフプロダクト事件」京都地裁

2011年7月6日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第289号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【エフプロダクト(以下、F社)事件・京都地裁判決】(2010年11月26日)

▽ <主な争点>
業績不振を理由とする再雇用者の雇止め等

1.事件の概要は?

本件は、業績不振を理由として、F社から雇止めされたXが雇止めは無効であると主張して、労働契約に基づき、労働契約上の地位にあることの確認および雇止め以降の賃金の支払いを同社に対し、求めたもの。

Xは平成20年に満60歳を迎え、F社を退職し、就業規則に基づき、21年6月15日を再雇用期限として再雇用されたところ、同社は同日をもってXとの雇用契約を期間満了により終了させる旨の雇用契約満了予告通知をした。なお、F社が従業員代表であるXとの間で締結した継続雇用制度の選定基準に関する労使協定には、19年4月1日~21年3月31日の間に60歳定年に到達した者の継続雇用の上限年齢は64歳と規定されていた。

2.前提事実および事件の経過は?

<F社およびXについて>

★ F社は、マネキンの製造、メンテナンス、内装展示のための陳列器具の商品管理および物流業務等を業とする会社である。

★ Xは、F社の営業所において、商品管理業務、マネキンメンテナンスとそれに付随する業務を担当していた者である。

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<本件再雇用契約、本件雇止めに至った経緯等について>

★ Xは平成20年3月、F社から再雇用労働条件通知書の交付を受けたが、そこには「退職に関する事項」として、「契約期間満了の1ヵ月前までに契約書の更新について通知し、就業規則に定める条件を満たしているときは契約が更新されることがある」と記載されていた。

▼ Xは平成20年の誕生日(60歳)をもってF社を退職し、翌日付で就業規則41条に基づき、21年6月15日を再雇用期限として再雇用された(以下「本件再雇用契約」という)。

★ 上記再雇用の際に作成された契約書には、次のような条項が存在した。

第13条 契約の更新において、次の各号のいずれかに該当する場合は契約の終了とする。
 業務量の減少等により契約の必要がなくなったとき
 職務遂行能力および職務技能が会社の期待する程度にないとき
 勤務態度、勤務成績が悪いとき
 会社の経営が都合で人員削減の必要上やむを得ないとき
 協調性がなく従業員同士の協力が得られないとき
 現在の労働条件と異なった条件での契約更新を拒んだとき
 身体または精神が健康でなく契約を更新することが難しいと会社が判断したとき
 その他、前各号に準ずるやむを得ない事情があるとき

★ F社は20年7月24日付で、従業員代表であるXとの間で高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(以下「高年齢者雇用安定法」という)9条2項の規定により、協約の有効期間を同月16日から21年7月15日までとする継続雇用制度の選定基準に関する労使協定(以下「本件協定」という)を締結したが、本件協定には次のような規定が存在した。

第1条 定年は、当社就業規則の定めによるが、定年後も継続的に働くことを希望する者で、次の各号に掲げる基準のいずれにも該当する者については、1年ごとの契約の更新により再雇用(以下「継続雇用」という)するものとする。
(1)勤務に精勤する意欲のある者
(2)体力的に勤務継続可能である者
(3)勤務に支障がない健康状態にある者
  ただし、会社は必要に応じ医師の診断書を提出させることがある。
(4)過去3年間の出勤率が80%以上で、当社就業規則に定める懲戒処分該当者ではないこと
(5)過去3年間の人事考課(勤務成績・態度・協調性・能力等)が普通の水準以上であること
(6)過去3年間に無断欠勤がないこと

第2条 継続雇用の上限年齢は次のとおりとする。
(1)19年4月1日~21年3月31日の間に60歳定年到達者・・・64歳
(2)(略)

★ F社は本件協定の締結に先立ち、20年2月に就業規則の内容を変更し、同年7月24日、労働基準監督署に届出をしたが、変更後の就業規則には、次のような規定が存在した。

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