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#323 「開成交通事件」東京地裁

2012年11月14日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第323号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【開成交通(以下、K社)事件・東京地裁判決】(2011年3月30日)

▽ <主な争点>
定年退職者に対する社宅明渡し請求など

1.事件の概要は?

本件は、K社が定年退職したXに対し、雇用契約は終了したとして、社宅契約の終了に基づき、当該社宅の明渡しと契約終了日の翌日から明渡し済みまでの利用料相当損害金と社会保険料立替金等の支払いを求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<Xおよび本件社宅契約等について>

★ X(昭和24年生)は、平成18年11月、K社との間で、期間の定めのない雇用契約を締結した(以下「本件雇用契約」という)。

★ K社は同月、Xとの間で、同社が所有する建物の一室(以下「本件社宅」という)について、次の内容を含む社宅利用契約を締結した(以下「本件社宅契約」という)。
 契約期間 18年12月1日~20年11月30日
 ただし、Xが退職した場合には、本件社宅契約は無効となり、直ちに退去しなければならない(1条)
 利用料 1ヵ月 7万3000円(共益費、管理費を含む)
なお、Xは入社日前に本件社宅に入居していたが、合意により、本件社宅契約の開始日は18年12月1日とされた。

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<本件社宅契約の法的性質、更新等について>

★ 本件社宅の利用料は同じ建物の他の部屋(一般に賃貸していた)の賃料よりも低額であり、その損失をK社が負担していた。また、同社はXから敷金や礼金の徴収もしなかった。そのため、本件社宅契約は賃貸借ではなく、本件雇用契約の存在を前提とする特殊な利用関係であり、借地借家法の適用はなかった。

▼ 本件社宅契約はその後、契約期間を20年12月1日から21年4月6日までとして、その他は同条件で更新された。

▼ Xは21年4月6日経過をもって満60歳に達したため、K社の就業規則に基づき、同日をもって定年退職し、本件雇用契約は終了した。したがって、本件社宅契約は同日、終了した。

★ Xは現在まで本件社宅に居住して、これを占有している。21年4月7日以降の本件社宅の賃料相当額は1ヵ月7万3000円を下回らない。なお、Xは本件雇用契約終了後、利用料相当額を支払っていない。

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<Xの社会保険料本人負担分等について>

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