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#346 「関東工業事件」東京地裁(再掲)

2013年10月16日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第346号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【関東工業(以下、K社)事件・東京地裁判決】(2012年3月13日)

▽ <主な争点>
退職後、同種の事業を行ったことによる秘密保持義務違反、競業避止義務違反など

1.事件の概要は?

本件は、D社の従業員であったA、BおよびCが同社退職後、K社においてD社と同種の事業を行ったことが秘密保持義務違反、競業避止義務違反等に当たるとして、D社がAら3名に対し、不法行為ないし雇用契約上の債務不履行に基づく損害賠償を求めたもの。

D社はAらが同社在職中に知り得た廃プラスチックの仕入先に関する情報を持ち出し、これをK社において利用しているところ、これらは就業規則、本件誓約書、本件機密保持契約に違反するもので不法行為ないし債務不履行に当たると主張し、Aらは上記情報は就業規則ないし本件誓約書でいうところの業務上の秘密には当たらないと主張した。

2.前提事実および事件の経過は?

<D社、Aら3名およびK社について>

★ D社は、主に廃プラスチックのリサイクルを業とする会社であり、仕入先から廃プラスチック等を仕入れ、これを工場で粉砕するなどした上、海外に輸出するのを業としていた。

★ Aは平成20年3月、Bは17年10月、Cは20年3月にそれぞれD社との間で雇用契約を締結し、以後同社の営業職として勤務していたが、Aは22年3月15日、Bは同年4月15日、Cは同年5月15日にそれぞれD社を退職した。

★ K社は、22年3月16日にAが代表取締役となって設立された会社であり、D社と同じく廃プラスチックのリサイクルを業としている。BおよびCはD社を退職した後、K社に入社した。

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<D社の就業規則の定め、本件通知等について>

★ D社の就業規則(以下「本件就業規則」という)59条1項には「社員は退職後も会社、顧客および取引先等の機密事項および業務上知り得た情報、ノウハウ等を他に漏らしてはならない」旨、同条2項には「会社の機密(営業ノウハウ、顧客情報等を含む)に関わった社員は退職後3年間はその機密を利用して、同業他社に転職し、または同業種の事業を営んではならない」旨の規定がある。

★ CはD社に入社するに当たり、同社に対し誓約書(以下「本件誓約書」という)を差し入れているところ、本件誓約書には「業務上の秘密は、在職中はもちろん、退職後においても一切漏洩しないこと」、「退職後1年間は形態のいかんを問わず、D社の行う事業と同種の事業であって同社と競業関係に立つ事業に従事しないものとし、また在職中にそのための準備をしないこと」を厳守履行することを誓約する旨の記載がある。

▼ D社は21年8月、代表者名義において、「通知」と題する書面(以下「本件通知」という)を発した。本件通知には冒頭に「社員が遵守すべき営業秘密管理規程について、次の規程のとおり定めるのでお知らせします」とあり、その下に「1.会社、顧客ならびに取引先等の機密事項および業務上知り得た情報、ノウハウなどを社員は複写・自己使用・社外への持ち出しなどによって許可なく他に漏らしてはならない。2.社員が本規程に違反し、または違反の疑いのある言動を行った場合には、下記の就業規則情報管理規程に基づいて懲戒処分に付すことがある」という記載がある。

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