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#312 「E-グラフィクスコミュニケーションズ事件」東京地裁

2012年6月6日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第312号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【E-グラフィクスコミュニケーションズ(以下、E社)事件・東京地裁判決】(2011年4月28日)

▽ <主な争点>
雇用継続に対する契約社員の期待利益の合理性など

1.事件の概要は?

本件は、有期契約社員であったXが使用者であるE社に対し、同社が行った更新拒絶の意思表示はXの継続雇用への合理的な期待を裏切るものであるとして、(1)地位確認、ならびに(2)上記更新拒絶の意思表示の後である平成22年1月分以降の未払賃金等の支払いを求めたもの。

なお、Xは18年4月、嘱託契約社員のクリエイティブディレクターとして採用され、3回の契約更新後、21年12月に雇止めされた。

2.前提事実および事件の経過は?

<E社およびXについて>

★ E社は、自動車のカタログやパンフレット等の企画制作と印刷等を目的とする、従業員数約270名の会社である。

★ X(昭和37年生)は、昭和63年に美術大学を卒業後、平成18年4月にE社に入社するまでの間、数社において勤務した職歴を有し、E社においては第1営業本部のクリエイティブ局に所属していた者である。

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<本件雇止めに至った経緯等について>

▼ Xは18年4月、E社との間において、嘱託契約社員として、「契約期間:18年4月1日~同年12月31日、賃金:年俸額:800万円、業務内容:クリエイティブディレクター」という内容の有期雇用契約(以下「本件有期雇用契約」という)を締結した。

★ クリエイティブディレクター(以下「CD」という)は、クライアントからの発注を受け、これに対し、企画を担当する職種であって、デザイナー、コピーライター、カメラマン等のスタッフを統括し、担当プロジェクトのクリエイティブ全般について責任を持つ立場にある。

▼ その後、XはE社との間で、本件有期雇用契約を3回(19年1月、20年1月および21年1月)にわたって更新した。

▼ E社は21年11月、Xに対し、本件有期雇用契約は更新しない旨を通告し、同年12月、「雇用契約期間終了日:21年12月31日、更新しない理由:CDとしてのプロジェクト遂行力、チーム統括力に欠けていること、Xの行為に起因する顧客等からのクレームが発生したことなどに鑑み、Xは業務を遂行する能力が十分ではないと認められるため」という内容の書面を交付した(以下「本件雇止め」という)。

3.契約社員Xの言い分は?

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