#236 「浜野マネキン紹介所事件」東京地裁(再掲)
2009年6月24日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第236号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【浜野マネキン紹介所(以下、H社)事件・東京地裁判決】(2008年9月9日)
▽ <主な争点>
派遣先でのトラブルを理由とする就労停止の告知は解雇予告に当たるか等
1.事件の概要は?
本件は、派遣社員であるXが主位的には平成18年11月10日にされた同月12日付解雇の予告を前提とする解雇予告手当(40万3200円)等の支払いを、予備的には、18年11月13日から同年12月5日まで(所定労働日16日)の賃金(23万0400円)等の支払いを求め、併せて不法行為に基づく慰謝料(16万9600円)等の支払いをH社に対し、求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<XとH社との本件雇用契約について>
★ XとH社は18年9月28日、以下の約定で、XがH社の派遣先で就業し、同社がXに賃金を支払う旨の合意(以下「本件雇用契約」という)をし、同月30日に同旨の記載のある契約書に署名押印した。
ア 派遣先
(ア)名称…パナソニックコンシューマ・マーケティング株式会社CE社
(以下「本件派遣先」という)
(イ)就業場所…ビックカメラ柏店(以下「本件店舗」という)
(ウ)指揮命令者…パナソニックコンシューマ・マーテティング株式会社CE社第2支社第3チーム
イ 就業条件
(ア)業務内容…理容・美容機器の販売
(イ)雇用期間…18年10月1日から同年12月31日まで(3ヵ月ごとの更新)
同年9月28日から同月30日までを試用期間とする。
(ウ)就業日…火曜日、水曜日を除く全日(祝祭日を含む)
(エ)就業時間…午前11時から午後8時まで(実働8時間シフト制、休憩60分)
(オ)時間外労働…あり(平日の時間外は25%割増、ただし30分以上を単位とする)
(カ)休日…週休2日(火曜日、水曜日)とし、その他派遣先店舗の休日に準ずる。
(キ)休日勤務…なし
(ク)給与…時間制
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<本件告知に至った経緯等について>
▼ Xは18年10月30日、本件店舗において、同店舗の女性従業員との間で、高額商品の伝票処理をめぐってトラブルになった。
▼ H社は同年10月31日、Xに対し、電話で「本件店舗の女性従業員から本件派遣先に苦情が入ったため、11月2日よりもう出勤しないでください」と告げた。
▼ これに対し、XはH社から納得のできる説明を受けられなかったこともあって、同年11月2日以降も本件店舗に出向いて就業した。
▼ H社は同年11月10日、Xに対し、本件雇用契約に基づく本件店舗での就業について、「その売り場にはもう出られません。12日で終了してください」と告げた(以下「本件告知」という)。Xは同月13日以降、本件店舗で就業していない。
▼ Xは、H社および別の派遣事業会社であるS社の紹介、斡旋を通じ、同年12月6日、T社との間で、契約期間を同日から同年12月31日までとし、G社を派遣先とし、派遣先指定の就業場所でガスコンロを販売することを業務内容とする雇用契約を締結した(ただし、契約書の作成は同月15日に行われた)。
▼ また、XとT社は、同年12月28日、契約期間を19年1月1日から同年3月31日までとするほか、上記と同様の就業条件で雇用契約を更新した。
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