#474 「イクヌーザ事件」東京地裁
2018年11月14日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第474号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【イクヌーザ(以下、I社)事件・東京地裁判決】(2017年10月16日)
▽ <主な争点>
月80時間の時間外労働に対する基本給組込型の固定残業代など
1.事件の概要は?
本件は、I社に雇用され平成27年5月31日付で退職したXが同社に対し基本給に組み込まれていた月80時間の時間外労働に対する固定残業代(入社時~26年4月支払分までは8万8000円、26年5月分以降は9万9400円)は無効である等と主張して、時間外労働および深夜労働に係る割増賃金205万0194円およびこれに対する遅延損害金ならびに付加金の支払を求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<I社およびXについて>
★ I社は、皮革製品、アクセサリー等の服飾雑貨の製造および卸売等を営む会社である。
★ Xは、平成26年1月、I社との間で期間の定めのない雇用契約(以下「本件雇用契約」という)を締結し、27年5月をもって退職した者である。
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<本件雇用契約、I社における出退勤時間の管理等について>
★ 本件雇用契約の26年1月6日から4月15日までの間の賃金の定めは以下の通りである。
(ア)基本給23万円。ただし、基本給のうち8万8000円は月80時間の時間外勤務に対する割増賃金とする。
(イ)割増賃金【125%】、法定休日勤務【135%】、深夜勤務【25%】
★ 本件雇用契約の26年4月16日以降の賃金の定めは、基本給26万円、ただし、基本給のうち9万9400円は月80時間分相当の時間外勤務に対する割増賃金とするというものであった。
★ I社はタイムカードによって従業員の出退勤時間を管理し、これに基づいて、毎月、給与明細に時間外、深夜労働時間を記載している。
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