#440 「日本レストランエンタプライズ事件」東京地裁(再々掲)
2017年7月5日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第440号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【日本レストランエンタプライズ(以下、N社)事件・東京地裁判決】(2015年2月3日)
▽ <主な争点>
職種限定の有期契約労働者に対する雇止めの効力など
1.事件の概要は?
本件は、N社から雇止めをされたXがその雇止めが無効であると主張して、同社に対し、地位確認と雇止め後の賃金の支払を求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<N社およびX等について>
★ N社は、列車内の食堂営業、車内販売営業等を行っている会社である。
★ Xは、平成20年10月、N社との間で「期間:同月31日まで、時給:720円、勤務場所:長野列車営業支店、従事すべき業務:配送および営業」とする雇用契約を締結し、主に新幹線あさま内への商品搬送などの業務(以下「本件配送業務」という)に従事した者である。
★ 本件配送業務には、重い物で10kgの段ボールを高いところで床から150cm程度の高さに収納する作業、アテンダントから依頼された商品(缶ビールのケースなど)を棚等から移動させて払い出す作業が含まれていた。
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<本件雇止めに至った経緯等について>
▼ Xは25年5月、乙労働組合連合会の下部組織であるN社ユニオン(以下「本件組合」という)を結成し、執行委員長に就任した。
▼ XとN社は同年10月、「期間を26年3月31日まで、時給を830円、勤務場所と業務を従前と同様」とする雇用契約を締結し、従前の契約を更新した。
▼ Xは25年12月1日、通勤中に駅構内の階段で転倒し、左肩腱板断裂の傷害を負い、同日以降欠勤した。
▼ Xの主治医Aは26年2月、「25年12月に左肩腱板断裂手術を施行した。術後少なくとも3ヵ月間は就労不可能と考える」との診断書を作成し、N社に提出した。
▼ N社は26年3月、Xに対し、同年4月以降の契約更新のためには車内販売商品等の運搬業務に就労することが可能であるとの医師の診断書が必要である旨を通知した。
▼ A医師は同年3月、「術後3ヵ月で経過順調であり、再断裂の可能性は否定できないが、前職への復帰は可能であると判断する」との診断書(以下「本件診断書」という)を作成した。Xは同診断書をN社に提出し、契約更新を希望する旨を伝えた。
▼ N社は同年3月31日、Xに対し、雇止めを通知した(以下「本件雇止め」という)。
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