#426 「N社事件(人材派遣業)」東京地裁(再々掲)
2016年12月14日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第426号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【N社事件・東京地裁判決】(2014年8月13日)
▽ <主な争点>
労働条件の説明義務違反、パワハラの存在など
1.事件の概要は?
本件は、AがN社に対し、労働契約締結時に労働内容について説明する義務を怠り、また、同社担当者からパワーハラスメントを受け、損害を被ったとして、民法709条(不法行為による損害賠償)および715条(使用者等の責任)に基づいて損害賠償を求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<N社およびAについて>
★ N社は、人材派遣業等を営む会社である。
★ Aは、7月2日から9月20日までの間、N社に雇用され勤務した者である。
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<Aの採用から雇止めに至った経緯等について>
▼ Aは6月4日頃、インターネット上の大手求人募集サイトでN社の求人募集をみつけ応募し、同社担当者との面接を経て、同月28日頃、採用決定通知書を受領した。なお、採用決定通知書には仕事内容として「コピー・製本業務」と記載されていたが、これはN社の採用担当者と通知書を作成した人事部との間で認識の共有が不十分なことによる誤記であった。
▼ Aは7月2日、N社との間で以下の内容の労働契約を締結し、契約書に署名・押印した。
・期間 7月2日から9月20日まで
・場所 Yセンター
・職務内容 デザイン業務
・給与 月額18万5000円
・更新の有無 期間満了後、労働契約を更新することがある。
★ Aは上記労働契約について、「コピー・製本業務」と「デザイン業務」とでは話が違うのではないかと思ったものの、契約の締結自体を止めるといったことは言わなかった。
▼ AはYセンターにおいて、X社の従業員Bの下で働くことになったが、Bからスキルチェックを受けた上、M社のデザインをグラフィック制作ソフトで作成できるか聞かれたので、「すみませんが、できません」と答えた。
▼ Aは引き続きデザイン業務に従事するために書籍を購入するなどしたが、7月4日にはN社から「もうデザイン業務はやらなくていい」と言われ、コピー・製本業務に従事することになった。
▼ Aは7月30日、N社から更新拒絶の通知を受け、9月20日をもって契約期間が満了した。
3.元社員Aの主な言い分は?
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