#123 「ダイヤモンド・ピー・アール・センター事件」東京地裁(再掲)
2006年2月8日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第123号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【ダイヤモンド・ピー・アール・センター(以下、D社)事件・東京地裁判決】(2005年10月21日)
▽ <主な争点>
結婚を契機とする退職勧奨/未払い時間外割増賃金の請求等
1.事件の概要は?
本件は、D社を退職した女性社員Xが同社に対して、時間外割増賃金、付加金、退職金残金などの支払いを求めるとともに、結婚を契機にD社の代表者らから不当な退職勧奨を受けたとして、同代表らに対し、民法に基づき、慰謝料などの支払いを求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<D社およびXについて>
★ D社は、ピーアール・パブリシティの計画および実施等を目的とする会社(社員8名)であり、Yは同社の代表取締役である。
★ Xは平成12年、D社に入社し、主にグラフィックデザイナーとしての業務に従事していたが、16年5月、退職届を提出し、同社を退職した。
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<Xの結婚とY代表による退職勧奨>
▼ 16年1月、Xは同年3月に結婚式を挙げることになった旨をD社に報告するとともに、Y代表に披露宴でのスピーチを依頼した。
▼ 同年2月、Y代表がXに結婚相手の経歴や交際のキッカケ等を尋ねるとともにXが婚姻後も仕事を続けるのか確認したところ、Xは仕事を続けることに支障はない旨述べた。
▼ Y代表はZ部長に指示して、再度Xに仕事を続けるのか確認させたところ、Xが退職を拒んだことから、Xを社長室に呼び、「せっかくの縁を大切にしなさい」、「人の思いやりが理解できないのか」、「結婚式に出られないかもしれない」などと述べ、その後もXは勘違いしているなどと怒鳴り、「脅迫しているみたいです」と述べるXを他の社員のいる執務室に連れ出し、さらに叱責を続けた。
▼ Y代表は同年3月7日に行われた披露宴でのスピーチにおいて、Xについて「家庭に入り、家庭を大切にするよう、デザイナーとして家庭をデザインし、家庭を作るということにもっと真剣に取り組むように」などと述べた。
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