#460 「新宿労働基準監督署長事件」東京地裁
2018年4月18日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第460号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【新宿労働基準監督署長(以下、S労基署長)事件・東京地裁判決】(2015年9月10日)
▽ <主な争点>
うつ病と業務起因性など
1.事件の概要は?
本件は、Xが平成13年のゴールデンウィーク頃、長時間労働により精神障害(うつ病)を発病したとして、労働者災害補償保険法(労災保険法)に基づく療養補償給付および休業補償給付の請求をしたところ、S労基署長がこれを支給しない旨の処分をしたことから、その取消しを求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<Xについて>
★ Xは、平成7年5月からは派遣社員として、9年7月から17年6月に退職するまではアルバイトとして、A研究所(A社)で勤務していた者である。
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<本件各処分、本件訴訟の提起に至った経緯等について>
★ XはA社に在職していた当時、構造設計部図面室に所属し、CADオペレーターとしてパソコンを使って建築物の構造設計の図面を作成する業務に従事していたところ、建築の知識を備えていたことから、他のCADオペレーターと比較して、図面作成の中でも難易度が高いものが割り振られることが多かった。
▼ Xは仕事が原因で過労によりうつ病になった旨主張して、S労基署長に対し、24年8月、休業補償給付、同年10月には療養補償給付の請求をそれぞれしたところ、25年3月、同労基署長はXに対し、「17年6月頃の発症前概ね6ヵ月間に客観的に当該精神障害を発症させるおそれのある業務に強い心理的負荷があったとは判断できない」として、療養補償給付および休業補償給付を支給しない旨の処分(以下「本件各処分」という)をした。
▼ Xは25年5月、東京労働者災害補償審査官に対し、本件各処分を不服として、審査請求をしたところ、同審査官は同年11月、Xの審査請求を棄却する旨の決定をした。
▼ Xは25年12月、労働保険審査会に対し、上記棄却決定を不服として、再審査請求をしたところ、同審査会は26年6月、Xの再審査請求を棄却する旨の裁決をした。
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