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#337 「X株式会社事件」東京地裁(再々掲)

2013年6月5日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第337号で取り上げた労働判例を紹介します。


■ 【X株式会社(以下、X社)事件・東京地裁判決】(2011年1月25日)

▽ <主な争点>
奇矯かつ非常識な言動を繰り返す等を理由とする従業員の解雇など

1.事件の概要は?

本件は、服務規律違反等があって従業員として不適格等の理由によりX社に解雇されたYが、解雇事由が存在せず、仮に存在しても解雇は不相当等と主張して、同社に対し雇用契約上の地位確認、解雇後の賃金、賞与等の支払いを求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<X社およびYについて>

★ X社は、非鉄金属卸業等を目的とする会社であり、千葉市内に千葉資材センターを設置している。

★ Y(昭和47年生)は、平成7年10月、X社との間で期限の定めのない雇用契約を締結し、千葉資材センターの一般事務に従事していた者である。

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<本件解雇に至った経緯等について>

▼ 19年10月11日頃、Yは上司に対し、同月5日千葉資材センターで、中国人社員のAから強制わいせつ行為を受けたと主張し始めた。

▼ X社は調査の結果、上記のような被害の事実はなかったものと判断したが、YとAが顔を合わせることを避けるなどのため、20年3月、Yを東京都千代田区の本社に異動させた。

▼ Yは大学病院で、20年8月11日「抑うつ状態」、同年11月17日「躁状態」という診断を受けて、同月20日まで欠勤した。

▼ X社は同年11月20日、(1)会社や会社幹部役員に対して、「会社を全く信用していない」等の発言を繰り返し行い、改善する様子が全くないこと、(2)社長、常務や上司の誹謗中傷を繰り返し行い、改善する様子が全くないこと、(3)職場内において、他の従業員へ故意に言いがかりをつけるなど、著しく職場の秩序を乱したこと、(4)上司の指示に従わないことがしばしばあり、改善の様子が全くないこと、(5)職場内において取締役への脅迫を行ったことの事実が就業規則に定める懲戒事由に該当するという理由によって、Yを同日付で解雇した(以下「本件解雇」という)。

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<X社の就業規則の定めについて>

★ X社の就業規則には次の定めがある。

第62条(解雇)
9号 その他、前各号に準ずる理由が生じ、従業員として勤務させることが不適格と認められたとき

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