#483 「マンボー事件」東京地裁
2019年3月20日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第483号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【マンボー(以下、M社)事件・東京地裁判決】(2017年10月11日)
▽ <主な争点>
固定残業代と割増賃金請求、賃金減額の有効性など
1.事件の概要は?
本件は、M社に従事していたXが、同社はXの同意なく賃金を減額したほか、労働基準法所定の割増賃金を支払っていないなどと主張し、(1)割増賃金の支払、(2)賃金減額の有効性を争い、減額分の賃金の支払、および(3)雇用保険、健康保険および厚生年金保険の届出義務の懈怠により、健康保険からの給付を受給できない等という不安定な状態のまま就労することを余儀なくされ、精神的苦痛を被ったとしてM社に対し損害賠償を求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<M社およびXについて>
★ M社は、インターネットカフェ・漫画喫茶・ネットルームの運営等の事業を行う会社である。
★ Xは、平成21年9月、M社との間で賃金月額を30万円とする期間の定めのない労働契約(以下「本件労働契約」という)を締結し、夜間の電話対応や売上げの集計業務等に従事していた者である。
--------------------------------------------------------------------------
<本件固定残業代等について>
★ Xは本件労働契約締結に際し、時間外・休日・深夜労働割増賃金について、実働時間に基づいて計算・支給されるのではなく、当時の就業規則に基づき、毎月定額で支給されることを了承すること等を内容とする誓約書に署名・押印していた。
★ その後、Xの賃金額には変動があり、24年2月の賃金額は47万円であったほか、26年2月から28年2月までの賃金額について、M社はXに対し、支給明細書上、その15分の8に相当する額を「基本給1」として、残りの15分の7に相当する額を「超過勤務手当」(以下「本件固定残業代」という)としてそれぞれ支給していた。
--------------------------------------------------------------------------
<本件就業規則等について>
★ M社の現在の就業規則(22年1月施行。以下「本件就業規則」という)には、以下の定めがある。
第26条(割増賃金)
1 割増賃金の計算は、労働基準法に基づき次のとおりとする。ただし、時間外労働、休日労働および深夜労働等の1ヵ月の平均時間数により計算された金額を毎月定額で「サービス給」として支給する。
(以下略)
2 前項の1ヵ月平均所定労働時間数は次の算式により計算する。
(365日-年間所定休日日数)÷12×1日の所定労働時間数
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?