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#324 「岡畑興産事件」東京地裁

2012年11月28日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第324号で取り上げた労働判例を紹介します。


■ 【岡畑興産(以下、O社)事件・東京地裁判決】(2011年3月23日)

▽ <主な争点>
労務提供の意思の欠如等を理由とする解雇など

1.事件の概要は?

本件は、労務提供の意思の欠如等を理由にO社から平成22年5月に解雇(本件解雇)されたXが本件解雇は解雇事由が存在せず、理由も不相当であり無効であるなどと主張して、同社に対し、雇用契約上の地位確認と解雇後の賃金月額30万円の支払いを求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<O社およびX等について>

★ O社は、染料、顔料、医薬、農薬、工業製品、油剤、溶剤、石油化学製品、建材、合成樹脂およびその製品、食品およびその添加物、飼料およびその添加物、穀物およびその加工品の販売ならびに製造および輸出入業務等を目的とする会社である。

★ Xは、平成15年4月、O社に入社し、精密化学品グループ医薬中間体チーム(以下「中間体チーム」という)の責任者として大阪支店に配属された。

★ 中間体チームの業務は、化学品の製造を海外(中国)に委託しようとする国内メーカーを発掘し、あるいはその依頼を受けて、当該化学品の受託生産能力を有する中国メーカーを紹介し、両社の中を取り持って製造委託契約の締結に至らせ、さらに中国メーカーが受託製造した化学品を輸入して国内メーカーへ販売するという一連のビジネスを新規に開発し、遂行することなどである。

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<Xの入社後の業務内容、業績評価、行動評価等について>

▼ Xは18年7月、化学品総合安全管理チーム(以下「安全管理チーム」という)の発足とともに同チームに配属され、19年10月、東京支店に転勤した後も安全管理チームの仕事を続けた。

★ 安全管理チームの業務は、常に化学物質の環境・安全管理に関する国際的動向を把握し、新規法令をモニターし、また、海外仕入先の環境・安全管理についても定期的に注視するなどして、O社の取り扱う化学品に関する法令遵守の徹底のために、各種法令に関する調査および社内向け啓蒙をしたり、契約書のドラフトの作成をしたりすることである。

★ Xは大阪へ単身赴任していた当時から、酒を飲み過ぎて遅刻を繰り返すなどの問題があり、東京支店に転勤後も酒癖の悪さは改まらず、平成20年には上海空港で予約してあった便に乗り損ねるという失態があった。

★ Xの業績評価(貢献度)は、20年1月~12月と21年1月~12月がいずれも(7段階評価の下から3番目「やりようによっては、もっと良い業績が出せたはず」)であった。また、Xの行動評価(昇格等判断の基礎資料)は、19年4月~20年3月が(7段階評価の下から3番目「期待したレベルには近いが、やや改善も必要」)、20年4月~21年3月が(下から2番目「惰性に流されて取り組みが甘かったレベル」)、21年4月~22年3月が(最も下「組織人として問題が多く、他に悪影響を与えたレベル」)であった。

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<本件解雇に至った経緯等について>

▼ XはO社から過度の飲酒の問題を指摘されたことがあり、20年9月、同社に対し、就業時間内に酩酊しないことなどを誓い、これに違反した場合は退職を願い出るという誓約書を提出した。

▼ 21年12月、O社はXに対し、口頭で退職勧奨したが、Xはこれに応じず、同月、同社との話し合いの中で、勤務を週4日に減らすことを要求するなどした。その後、雇用継続の条件についての交渉が続けられたが、22年3月までに交渉は決裂した。

▼ この間の22年2月、O社はXに対し、退職勧奨通知書を交付して、「当社と貴殿が目指す商品開発の方向性が異なり、そのことが貴殿の職務遂行に重大な支障をきたし、取り決められた役割・仕事の遂行や納期管理などに不良が認められた」という理由で退職勧奨を行った一方、Xは同月25日から欠勤した。

▼ Xは同年5月、病院にて「抑うつ状態/不眠 頭書の者、上記により、現在当院にて通院治療中である。引き続き3ヵ月程度、休業を要する」という診断を受けた。

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