![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/145876999/rectangle_large_type_2_d87fb1c079a2f3b91c5123ba3046bbdb.jpeg?width=1200)
10ゲーム差以上の逆転優勝はあるのか?-ホークスが注意すべきチームとは-
7月5日現在、2位ロッテに10ゲーム差をつけ首位のホークス。4年ぶりの優勝に向け着実に勝ちを積み重ねているが、6月末にこんな記事が出ていた。
いや、いくらなんでももう優勝確率100%をうつには早すぎる…なんなら交流戦前のロッテの勢いにはかなり押されていたのだから…
とはいえ、ここから他球団が逆転優勝するにはどうすればよいのだろうか?過去の結果を調べてみた。
過去に10ゲーム差以上つけられて逆転優勝したことは8回ある。
![](https://assets.st-note.com/img/1719924943891-qxAWL1XnDZ.jpg?width=1200)
直近2022年のように夏場に楽天が失速したことでオリックスの逆転優勝のようなことがおこることもあるが(1998年の西武、日本ハムも同様)、残りは逆転優勝したチームの7割近い驚異的な勝率によるものである。
このとき優勝したチームにはどのようなことがおこっていたのだろうか?
90年代以降の4つの例から考察してみようと思う。
①1996年 読売ジャイアンツ(最大ゲーム差 11.5)
勝因:圧倒的な2枚看板と主砲の活躍
カープの9月中旬からの大失速
いわゆる長嶋監督の「メークドラマ」と言われるシーズンである。
8月に入り巨人が連勝を続け、8月18日に首位広島に並ぶ。両者そこから競り合うも9月中旬から広島が失速し、巨人の逆転優勝という流れとなった。
この年の両チームの主力選手の結果は下記のとおり
![](https://assets.st-note.com/img/1720013014422-zBuQYXAGVG.png?width=1200)
イメージとは異なり、投手力は巨人、打撃は広島優位というチーム状況。では、この年なぜ巨人の方が優勝できたのか?連勝が始まった8月、広島に追いつくまでをみてみよう。
![](https://assets.st-note.com/img/1720013218492-QbgfZtq22p.jpg?width=1200)
ガルベス投手が中5〜6で登板(このあと8/20の登板も勝っている)、斎藤雅樹投手が中6日。貯金を大きく作った2人がこれだけ投げると、貯金が増えていくのがわかる。
そして、この15試合中に松井選手が9本もホームランを打っている。エースと4番が活躍すると勝てるという、いわば王道の勝ち筋で大逆転優勝を果たしたことがわかる。
外国人ピッチャーだったからかもしれないが、中5日で勝ちが計算できる投手を回すことができた。これが優勝の秘訣のように感じる。
②2008年 読売ジャイアンツ(最大ゲーム差13.0)
勝因:ラミレス、小笠原、阿部など主力打者の好調
夏場から上原、李承燁が復調
終盤の対阪神戦7連勝
原監督(第二次)3年目のシーズン。「メークレジェンド」と呼ばれている。この年は北京五輪があった年で、五輪前は阪神、五輪後は巨人と流れが変わり巨人が大逆転優勝を果たした。
ここでは、直接対決がキーとなっている。月別での対戦成績を次に示す。
![](https://assets.st-note.com/img/1720015739077-yTJGL99wC0.jpg?width=1200)
北京五輪開催した8月以降は阪神はほとんど巨人に勝てなくなってしまったのである。だが、阪神が弱くなったというよりも巨人が破竹の勢いで勝ち出したといった方が正しい。この期間、巨人は12連勝していた。その期間の巨人のスコアはこのようになっていた。
![](https://assets.st-note.com/img/1720096345926-UTqMyNcAlo.jpg?width=1200)
この12試合からみえてくることは
投手は6〜7人で回しており、勝ち頭のグライシンガーを多投させているわけではない。
ラミレス選手5本、小笠原選手4本、阿部選手7本、李承燁選手6本と主軸選手が全員好調
前半不振だった李承燁選手の覚醒、上原投手の復活
ほとんど6点以上とっており、7、8点取られた試合でも勝っている。打高投低のスタンス
夏場の投手力が落ちてくる時に、きちんと打ち勝つ野球ができた。これが大逆転優勝の秘訣である。
③2011年 中日ドラゴンズ(最大ゲーム差10)
勝因:先発、中継ぎ、抑えの圧倒的投手力
夏場以降も防御率を抑えられたこと
9月、10月対ヤクルト7勝1敗
落合監督時代、いわば中日の黄金期。この年はセ・パともに「投高打底」のシーズンだった。なぜ逆転優勝できたのか?これに関してはすごく悩んだが、勝因を上記とした。
まず、年間のチーム投手成績を下に示す。中日の防御率がリーグ一位だった。一方、ヤクルトは五位。
![](https://assets.st-note.com/img/1720100331057-i0060SGgbe.jpg?width=1200)
次に、夏場以降の防御率を示す。
中日は夏場以降の3ヶ月の防御率は年間防御率を下回るのに対し、ヤクルトは上振れしている。
![](https://assets.st-note.com/img/1720187088129-2pkrdS2C0a.png?width=1200)
2008年の巨人が夏場に打ち勝って大逆転したのに対し、2011年の中日は全く逆の戦法。夏場でも守り勝つ野球を徹底した。これが大逆転優勝につながったと考えられる。
参考ではあるが、この年の主力投手の防御率を牡蠣に示す。
エースの吉見投手はもちろんのこと救援陣も0点台か1点台。特に浅尾投手の防御率は脅威の0.41だった。
(たしかに日本シリーズでも苦戦した記憶がある)
![](https://assets.st-note.com/img/1720187226705-QR56h1yZas.jpg?width=1200)
④2016年 北海道日本ハムファイターズ(最大ゲーム差11.5)
勝因:6月末からの15連勝
増井投手の先発への配置変更の成功
直接対決は日ハムに軍配
なんといっても大谷翔平!!
ホークスファンにとってゲーム差が10あっても不安に感じるのはこの年のことを思い出してしまうからだと思う。
チーム成績をみても打撃、投手ともに日ハムの方が若干上。しかし、ほんとにわずかであった。両チームに差があったと行ったら直接対決で日ハムがホークスに6つ勝ち越している。
![](https://assets.st-note.com/img/1720189925768-a17qMNXuho.jpg?width=1200)
でも、この年は日ハムが15連勝したところでホークス側にかなりプレッシャーをかけてきていた。7月中旬くらいから安心して試合をみれなかった記憶がある。その15連勝した軌跡を次に示す。
![](https://assets.st-note.com/img/1720217964809-biyxfnhvsl.jpg?width=1200)
交流戦や雨天中止の影響もあり、この15戦で大谷選手が4先発。ホークス戦では1番投手として先頭打者本塁打を打った。また、この期間はレアード選手、陽岱鋼選手が大活躍。ホームランが顕著に増産した感じではないが、タイムリーをコンスタントに打ち連勝への原動力とした。
そして、投手大谷が離脱した8月には配置転換した増井が大成功。そして優勝が決まった試合の先発は大谷投手。栗山監督の采配と大谷選手が投打の柱となったことが大逆転優勝へとつながったと考えている。
他球団の大逆転優勝の可能性は?現有戦力の評価
今までの4つの例から大逆転優勝に繋がる要因をまとめると
投手の柱がいる(1996巨人、2011中日、2016日ハム)
中軸の強打者がいる(1996巨人、2008巨人、2016日ハム)
実績ある選手の復活(2008巨人、2016日ハム)
では、今10〜15.5ゲーム差にあるロッテ、日ハム、楽天、オリックスを対象とした。(西武ファンの皆さまごめんなさい…)
まずは、7/3現在の打撃成績、投手成績をSportsnaviサイトより抜粋する。
![](https://assets.st-note.com/img/1720229440112-0ty8gmiTCj.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1720229473166-juRwDoZvPz.jpg?width=1200)
この2つの成績を1位の選手→10点、10位の選手→1点と評価した。
また、現在復帰・復活した選手、と復帰・復活が待たれる選手を潜在要因として4球団を評価した。
![](https://assets.st-note.com/img/1720229685266-ADbWHJMlNn.jpg?width=1200)
これをみると投手力はロッテ、日ハム、オリックスが横並びだが、打撃は日ハムが一枚上だとわかる。
これから夏に向かい、打高投低になりやすいことから1番気をつけるべきは日本ハムと考えた。
(潜在要因が復活するとロッテ、オリックスも脅威だが…)
ただ、この4例に全て共通していたのは、首位チームが貯金を減らしていたこと。現状に慢心せず、これからもホークスには貯金を増やし続けて欲しい。