
多くのファンが満足する「日本シリーズ」のあり方についてそろそろ考えるべき
今年の日本シリーズは4勝2敗で横浜DeNAベイスターズが優勝した。26年ぶりの日本一。小学生の頃、初めてやった野球ゲーム「パワプロ99 開幕版」で石井琢朗選手(現コーチ)から始まるマシンガン打線を彷彿とする打線でホークスを圧倒していた。まさに横綱野球。日本一にふさわしい戦いだったと個人的には思っている。DeNAファンの皆さんおめでとうごさいます!!
ただこのシリーズを「下剋上」と評するのはいささか違和感がある。ホークスファンとして下の3つの立場を体験したからだ。
① リーグで優勝したにもかかわらず日本シリーズに出られない(2010年、プレーオフ時の2004〜05年)
② リーグ2位or3位から日本一(2018〜19年)
③ リーグ優勝・日本シリーズ進出もセリーグ代表(2位or3位)に敗退(2024年)
①の場合、リーグ優勝したのに日本シリーズに出られない。わかりやすく不満がたまる状況である。
②の場合、日本一になってもリーグ優勝していないという申し訳なさを感じながら日本一を感じなければならない。
③の場合、対戦相手がリーグ優勝相手でないため、「下剋上」という不必要な屈辱を味合わせられる(そもそもセ・リーグ代表として日本シリーズに出ているため、リーグ順位がどうであろうと対等の立場である。)
今回の場合、巨人ファン、ホークスファンだけでなく日本一になったDeNAファンでさえ快く喜べない誰も得しない構造になっている。
CSの賛成、反対議論がこのオフは出そうだが、そろそろ「日本シリーズの捉え方」について、親球団、選手・監督・コーチ、そしてファンみんなで意識を変える段階にきているのではないのだろうか?
日本シリーズの意義
日本シリーズの意義については、セパ交流戦以前と以後で意味合いが変わったものだと感じている。
交流戦以前:セ・リーグとパ・リーグどちらが強いのかをリーグ覇者同士の対決で判定する
交流戦以降:正直なところ曖昧になっている(CS導入後はより曖昧)
日本シリーズが始まったのは1950年。前年に2リーグ制になったことに端を発している。交流戦が始まる前までは、セ・リーグとパ・リーグのチームが戦うのは日本シリーズの場しかなかった。(オールスターゲームは祭典的要素が強いため)
つまり、日本シリーズが開始当初の開催意義をもっていたのは交流戦が行われていなかった2004年までということになる。
日本シリーズは1タイトルと認識すべき
日本シリーズ=リーグ戦の集大成という意味合いでプロ野球ファンは見ることが多い。だが、前述のとおりその意義というのは消滅しているのではないか?と考える。
1リーグ制であるがサッカーの場合はどうなのだろう?
Jリーグの場合は?
Jリーグの場合、「リーグ戦」「天皇杯」「ルヴァン・カップ(旧ナビスコカップ)」の3大タイトルとなっている。
1番重要視されているのは「リーグ戦」
それは賞金額にきちんと反映されている。
「リーグ戦」と比べて「天皇杯」、「ルヴァンカップ」の賞金額は半額となっている。(他ACLの出場権などあり。)

ところが日本のプロ野球についてはどうだろう?
優勝があるのは「セ・パ交流戦」、「リーグ戦」、「日本シリーズ」の3つ。各タイトルの賞金は下記のとおりになっている。

なんと賞金が一番多いのは交流戦。リーグ優勝に至っては名誉しか得られないという事態になっている。
これなら、リーグ優勝自体の価値は少なく、日本シリーズに下位チームが出場することで優勝チームから不満が出ることは当然だと感じてしまう。
リーグ優勝したチームへのメリットを与えるためには?
前提としてリーグ優勝チームに賞金を出すことが大事である。
143試合戦った覇者が「賞金」はなしで、「名誉」のみは納得できないファンが多いのも当然である。
新しい日本シリーズ案を考えてみた
リーグ優勝したにも関わらず日本シリーズに出れないファン心情、そしてセ・パどっちが強いのかという本来の主旨を踏まえ、新しい日本シリーズ案を考えてみた。

現行のCSの1st、finalではなく、各リーグ2、3位の勝者を決める試合をCSとする。
その勝者と異なるリーグの優勝チームが3戦先勝で戦う試合を日本シリーズの1stステージとする。(アドバンテージは個人的に必要ないと思うが、今までの流れでは必要かもしれない)
これにより、リーグ優勝チームが日本シリーズに出られない問題が解消できる。
1stステージの勝者が4戦先勝のfinalに進み日本一を決定する。仮に、1stステージの勝者2チームが同一チームでもいいのではないか?その年はリーグ格差があったという認識でいい。
ルールを決めるとそれを守ることを絶対視しがちだが、そのルールが正しいのか?をきちんと精査し、割を食うチームが出ないようなシステムを構築することをフロント、現場、ファン三位一体となって考える必要があると感じている。