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今こそ「日本力」を-オールスターゲームより密かに楽しみにしていること-

そろそろこの季節がやってきた。来週はオールスターゲームである。古くは新庄監督のホームスチールや大谷藤浪の同学年の投げ合いなど名場面があり、去年はタイムリーとホームランを打ったギータが第1戦のMVPをとった。
今年は初戦がエスコンフィールド、そして前半戦の快進撃もあり、ファン投票では日ハムの選手が多く選出された。(ホークスは近藤選手と柳田選手がファン投票で選出。柳田選手は怪我のため辞退)

だが、今年はそれよりも気になる試合がある。それは、「日韓ドリームプレーヤーズゲーム」である。

日本側の選手はかなりレジェンドで全員がWBCに出場経験がある。一方、韓国の方も半数がWBC戦士。一回大会で主将を務めた元中日の李鍾範さんや、2006年、2009年大会に出た元ロッテの金泰均さんなどが出場する。

元ホークスからは2006年WBCメンバーだった松中さん、城島さんを筆頭に8選手が選ばれている。

ホークスの主力選手だったまさにレジェンド選出

そして、監督は2009年WBCの日本代表監督(当時、巨人の監督を兼任)だった原監督。

原監督の采配に関しては巨人ファンに譲ることにするが、選手への粋な計らいとチームを鼓舞するパワーワードの使い手というのが原監督の魅力だと思う。

記憶に新しいのは去年の10月1日、松田選手の引退試合である。前年ホークスを退団した際は最終試合は2軍戦だった(2022年は最終試合まで優勝の可能性があったため)。そういう状況下だったため、やむを得ないのも理解できたが、ファンとしてはきちんと送り出せないことに関して悲しさを感じていた。
だが、原さんは松田選手の願いであった40歳までプロ野球選手を続けることを叶えてあげただけではなく、生え抜きのスター選手と同じくらいの立派な引退試合を用意してくれたのである。

私もその日、「1日巨人ファン」として、引退試合を観戦してたのだが、一打席だけでなく二打席用意してもらい、この日だけは門脇選手ではなくWBCでともに三遊間を守った坂本選手をショート、6回表の守備に一度つかせてからの交代。この粋な計らいはなかなかできるものではないなと感じた。人の気持ちを動かすのに長けた監督、それが原監督の強さだと感じた。

そして、原監督はパワーワードの使い手である。諸刃の剣にも感じるが、ここぞの時に出る発言は選手への叱咤激励、選手の心の支えになっているようである。ここでは、2009年のWBCでの言葉をピックアップする。

「日本力(にほんぢから)」
この言葉は去年のWBCの際、TBSの特設スペースで「WBC展」が催されたときに色紙にも書かれていた言葉である。

「正々堂々と世界の強者と戦って勝ち抜くことができた。
覚悟と潔さを持って「日本力(にほんぢから)」を見せ付けた」

正々堂々と正面から勝ちと向き合い、日の丸を背負うという覚悟をもつ。この上なく重圧のかかることをキャッチーなフレーズで表す。阪神の岡田監督の「アレ」と同様、選手がプレッシャーを感じないような気遣いにもみえる。

「本当にお前さんたちはねぇ…強い侍になった!」

これは優勝後のビールかけでのスピーチでの言葉である。聞き馴染みのある人も多いパワーフレーズである。
去年の栗山さんの優勝おめでとう!もいいかもしれないが、原さんのこの前置きの言葉、厳しい戦いを共に戦った監督から言われると嬉しかっただろうなと感じる。

「俺はイチローが見たいんだ」

この大会のイチロー選手は不振を極め、イチロー選手が「僕に構わずバントのサインを出してください」と行った後の原さんの返答とされている。
後日談として原監督が話されている内容をみるに、「目先の利益」ではなく、「優勝するためにイチローさんにしかできないこと」を優先していたということがわかる。
これが、決勝戦延長10回の決勝タイムリーにつながったのだと思う。

そんな思い出のあるWBCから15年。あの時、5回も対決した韓国とのドリームマッチ。できれば、イチローさんと林昌勇投手との対決を見たかったところだが、それは叶わず。ただレジェンド選手の集まる日韓対決に来週は注目したい。

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