化学系アカポスに就くための王道
中々なタイトルですが、化学系でアカデミックポスト(大学教員、助教)に就くために何をしなければいけないか、をまとめたいと思います。私はアカポスにギリギリ届きませんでしたが、届かなかったなりの考察ができれば幸いです。
私の経験
私は化学系で博士を取りましたが、博士3年12月の時には論文が筆頭で2報+査読中1報(IF~10、7、12当時)がある状況でした。研究テーマが重複していた他研究組織の教授との話になり、ポスドク先としてその研究組織を選択しました。ポスドク1年目の夏、8月頃に同様の研究実績において大学の助教の面接を受けましたが、競争相手に業績・経験で負けてしまいました。以降、○○研究所、○○大学と面接を繰り返しましたが、どうも感度が悪い。それならば箔をつける+自分の経験を豊かにするために、ということで海外留学を決意しました。が、任期なしポジションには通らない。
何かおかしい。いくら何でもこんなに受けて落ちるものか?
そこには理由がありました。
以下、際どい内容もありますので、有料設定とさせていただきます。アカポスの闇を感じる時もありましたので、そこは切り込んでいきたいと思います。
アカポスに進むために必要なもの
学歴
言わずもがな、学歴は重要と思います。ここでは東大、京大等いわゆる帝国大学レベルのポストに就くための要件として述べさせていただきます。
論文(業績)
論文は間違いなく必要です。安心域としては博士3年卒業時までに共著含めて10報。単著だけであればJACS、Angewが数報あって合計5報あれば面接を受けてパスする確率は非常に上がるのではないかと思っています。勝負できるレベルは博士卒業時までに共著含めて6,7報くらいかと思います。注意すべき点は、単著だけで5報に満たないレベル(私のような)ですと、コネクションもないと中々厳しいといった所です。
注意点として、国内外発表は正直見られていない気がします。1年に一回程度国際、国内学会に出ていれば十分です。賞をアピールしても何にもならないという事だけはお伝えしたいと思います。結局のところ論文です。
出身研究室
こんな書き方はどうかと思いますが、間違いなく出身研究室のパワーというものは強いです。化学系で言うのであれば向山派閥、野崎派閥等あると思いますが、出身研究室の先生が昇進して、教授になり…そこのポストに引っ張られるという事案は私の周りは多かったと思います。事実、某国研のチームのポストをゲットした同期のPIを見てみたら、大学院時代の講師(同期の上司)だったみたいな茶番を目の当たりにしたことがあります。
私はそのチームの公募を受けましたが、業績に難癖をつけられたので印象が悪く、実際には受けませんでした。私が知る限りですが、出身研究室で固める傾向が強いのは東大、京大、阪大です。
教育実績
これはポスドク向けになりますが、アカポスに就くためには教育実績は地味に効きます。例えば、30手前位に助教のポストを受けようとすると、「教育経験がないんですね…」と言われることは多数あると思います。が、ポスドクに教育経験を要求するのは変な話で、そんなもの無いのが普通です。ですので、RAや非常勤で教育に携わっているアピールをすることは重要と思います。PIの先生がたまにそういった案件を抱えていることがありますので、そこは相談してみると良いでしょう。
競争的資金の獲得状況
これもポスドクには厳しい。当時の状況では、いわゆる科研費を取れているかどうかというのが助教、講師になるためのKPIの一つだったのではないかと思っています。私の時はポスドクは科研費を申請できず、任期付き助教の方々の方がもしかしたら有利だったのではと思っています。一方、ポスドクでも申請できる競争資金に、財団の基金というものもありますので参考にしてみてください。あとはやっぱり学振のPD、SPDは信頼性も高いのではと考えます。
まとめ
つらつらと書きなぐってしまいましたが、上記の項目を充実させていけばアカポスの扉は自ずと開いていくのではないでしょうか。ちなみに上記の項目を30歳位までに充実させていくことが肝要です。以降のキャリアを考えた際に、年齢は一番重要になってきます。企業じゃないのですが、アカデミックにおいても何故だか「若さ」というものが要求されます。若くて、業績もあって、お金も取ってこれる。こんなスーパーマンでないとアカポスでは生き残っていけないのでしょう。。
本記事がアカポスを目指す若手の参考になれば幸いです。有名研究室になればなるほど派閥パワーが効いてきます。負けじと頑張ってください。
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