2020・2021・2022年、年度別ボカロ曲再生数トップ5
※トップ画像は、お絵かきAIのTrinArtで生成してもらった「ヒットチャートを聴くミクさん」です。
私事ではありますが、2/15の日記に頂いた”さぼてん主婦”様のコメントで、ボカロに馴染みない方も見に来て下さってるんだなあ……と。
当たり前のことながら、やっぱり普段は自分の好きなようにしか曲を紹介してませんからね。もしもオススメ曲を問われた際にどうすればいいのかな、と考えてハタと手が止まりました。
あ、一般論的な話ですよ。
見に来てくれた方に押しつけようって話じゃないです。
やはりメジャーな代表曲がいいのかな。でも、いまさら「みくみくにしてあげる」(2007)は違うし……
最近の流行から? でも私自身が最近の流行に疎いんだよなあ。
そろそろ最近のボカロ代表曲をおさらいをする時が来ましたか。主に自分用の振り返りになりますが、2020年から2022年までニコ動での年度別再生数トップ5をざっと見て行きます。
ぺたぺた。
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各年度別再生数ランキング1位~5位
2020年
1位 【GUMI】KING【Kanaria】
2020/8/2 Kanariaさん
ニコ動:630万再生、YouTube:6800万再生。
Kanariaさんの2作目。V界隈でも、ひと頃はKINGのカバーが席巻してた気がします。未だに王を名乗るにふさわしい貫禄。
GUMIは、2009年に登場したインターネット社のVOCALOID。歌手・中島愛さんの声を元に制作しており、正式名称はめぐっぽいど。
2位 稲葉曇『ラグトレイン』Vo. 歌愛ユキ
2020/7/16 稲葉曇さん
ニコ動:410万再生、YouTube:3300万再生。
稲葉曇さんは、2016年にこの名義となってからは、歌愛ユキマスターとして活躍中。この「ラグトレイン」が代表作です。数多くのRemixやMADに使われていますね。
歌愛ユキ(かあい・ゆき)は、2009年に登場したAHS社のVOCALOID。本当に小学生の声を元に制作しており、中の人は秘密。小学生らしからぬ渋く哀愁が漂う作品で採用されている印象があります。
3位 Chinozo 「グッバイ宣言」 feat.FloweR
2020/4/13 Chinozoさん
ニコ動:400万再生、YouTube:1億1000万再生。
Chinozoさんは2018年から投稿していましたが、この「グッバイ宣言」がメガヒット。サムネにある独特のポーズが流行ったのか、TikTok等でバズってYouTubeではなんと1億再生越え。これはボカロ史上初の快挙でした。
v_flowerは、2014年にYAMAHAからV3、2015年にガイノイドからV4が発売。ロックに特化したパワフルな女声歌手ライブラリ。中性的な声質も魅力で、2016年の「シャルル」(須田景凪/バルーン)以降、ボカロシーンではメインストリームの一角を占める音源です。愛称は、花ちゃん。
4位 ダーリンダンス / かいりきベア feat.初音ミク
2020/8/30 かいりきベアさん
ニコ動:400万再生、Youtube:2900万再生。
かいりきベアさんは、2011年から投稿している古参ボカロP。2012年の2作目「完全懲悪ロリィタコンプレックス」が殿堂入りするなど、デビュー当初からの傑物。代表作は2018年「ベノム」で、コミカライズもされてます。
ご存じ、初音ミクはクリプトン社から2007年リリースされ、その後バージョンアップを繰り返したVOCALOID。最近では初音ミクNTも出ました。
5位 テレキャスタービーボーイ(long ver.) / すりぃ feat.鏡音レン
2020/9/12 すりぃさん
ニコ動:370万再生、YouTube:3600万再生。
すりぃさんは、2018年に登場したボカロP。ユーモラスなPVがついている「テレキャスタービーボーイ」ですが、背景が青の時は理想、黄色の時は現実を表しているのでは、という解釈もあるようです。
鏡音レンは、2007年12月に鏡音リンとともにクリプトン社から発売。大人しめだったり活発だったりと、性格や位置づけはユーザーにより幅あり。
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2021年
1位 フォニイ - kafu [オリジナル]
2021/6/5 ツミキさん
ニコ動:620万再生、YouTube:3500万再生。
ツミキさんは、2017年デビューのボカロP。様々なボカロを採用し、この2021年「フォニィ」は可不と音源を変えて来てますね。以後は、ボーカルのみきまりあさんとNOMELON NOLEMON(ノーメロン ノーレモン)を結成して音楽活動を継続中。
可不は、歌手・Vtuber「花譜」の声を元に制作された音声合成ソフトCeVIO AIライブラリ。花譜との関係は「音楽的同位体」と表現されています。
2位 神っぽいな
ニコ動版:2021/9/17、YouTube版:2021/9/18 ピノキオピーさん
ニコ動:510万再生、YouTube:9400万再生。
ピノキオピーは、2009年からの古参ミクマスター。ニコ動140作品以上の投稿のうち、100万再生以上が23作品という大ベテランです。
初音ミクと人間の関係論やら哲学的な雰囲気での風刺・諧謔的な作品が多かったりします。「神っぽいな」もその流れ。差し挿まれる”Gott ist tot”は「神は死んだ」ですね。
3位 DECO*27 - ヴァンパイア feat. 初音ミク
2021/3/9 DECO*27さん
ニコ動:480万再生、YouTube:6000万再生。
DECO*27(デコニーナ)さんは、2008年からの古参ミクマスター。
(2023/2/20修正)微妙な距離感で行き来する男女の感情を描く「ハイパーもだもだソング」を得意としてきましたが、どんどん様々な「愛」の形を描くように。こちらの「ヴァンパイア」からは、積極的な女の子のダークで独占欲に満ちた剣呑な愛情が伝わってきます。
ニコ動だと2010年「モザイクロール」(歌:GUMI)が1200万で再生1位ですが、YouTubeだとこの「ヴァンパイア」が断然トップ。
4位 ロウワー / Flower
2021/11/11 ぬゆりさん
ニコ動:410万再生、YouTube:2600万再生。
ぬゆりさんは、2012年から投稿しているGUMI・flowerマスター。2016年に「フラジール」でブレイクし、メガヒットの「ロウワー」で今に至ります。
エイムさんによる詳細な解釈noteがあるので、興味ある方はぜひ。
『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』収録楽曲。
5位 【可不】キュートなカノジョ【syudou】
2021/2/20 syudouさん
ニコ動:390万再生、YouTube:3000万再生。
syudouさんは、2012年にデビュー(初投稿は削除済)したボカロP。2019年「ビターチョコデコレーション」がメガヒットしてブレイク。
「キュートなカノジョ」は男の娘の歌なんですね。言われてみたら喉仏もありそうだし、裏で男声がわずかに入ってる箇所も? もともとミクマスターなのに可不を採用してるのも、浮気テーマに沿ってるという指摘が。
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2022年
1位 魔法少女とチョコレゐト / 初音ミク
2022/2/25 ピノキオピーさん
ニコ動:240万再生、YouTube:1800万再生。
ピノキオピーさん自身、初の殿堂入りとなった2011年「腐れ外道とチョコレゐト」の続編。当時の流行に寄せて作った作品を、今回は自らの作風でリメイクしたのではないか……という話もあります。社会風刺含みながらピノキオピーさんらしいポップなメロディですっと聴けてしまいますね。好き嫌いは分かれそうながら、見事に2022年のニコ動ではボカロ再生数1位に。
2位 【GUMI×初音ミク】アイデンティティ【Kanaria】
2022/1/9 Kanariaさん
ニコ動:240万再生、YouTube:1400万再生。
カップヌードル50周年を記念した『プロジェクトセカイ』とのコラボ企画「カップヌードルのセカイ」に、Kanariaさんが書下ろした楽曲。
コラボ楽曲5つのうち最も歌詞にカップラーメン色が薄く、コラボの事を知らずに聴いた人はラーメンに気付かないまま過ごしてしまいそう。
3位 バグ / かいりきベア feat.初音ミク
2022/6/25 かいりきベアさん
ニコ動:210万再生、YouTube:1100万再生。
かいりきベアさんによる、『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』ユニット「25時、ナイトコードで。」へのダークでポップな書き下ろし楽曲、そのボカロver.。
ニーゴverも以下に貼っておきましょう。
バグ / 25時、ナイトコードで。 × 鏡音レン
2022/6/18 曲:かいりきベア、歌:25時、ナイトコードで。 × 鏡音レン
4位 【GUMI】酔いどれ知らず【Kanaria】
2022/5/2 Kanariaさん
ニコ動:180万再生、YouTube:1700万再生。
TOP5のうち2曲を占めるとは、2022年のKanariaさん強い。ちなみに、2022年再生数7位にはKanariaさんの「QUEEN」が入っています。
「酔いどれ知らず」に話を戻すと、ゆったりお洒落なメロディにMegpoid Englishの舌足らずな発音を乗せているのが曲想に合いますね……
七つの大罪モチーフの楽曲だという指摘もあり、考察勢の検討を誘う作りにもなっています。
5位 転生林檎 / 初音ミク
2022/6/3 ピノキオピーさん
ニコ動:170万再生、YouTube:1800万再生。
相変わらず跳ねるポップな音が心地よくてするっと聴けてしまいます。
「生まれ変わってやり直せる転生林檎」というガジェットから、ピノキオピーさんがどんなストーリーを作り出したか。内容は風刺に満ちていて、才能に溺れては失敗に陥って……の繰り返し。
はたして、転生林檎が見せてくれたのは、自分なりの人生を生きる大切さなのか、それとも……いろいろ思いが膨らんでしまう良作です。
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いかがでしたでしょうか。
10~20歳代がメインボリュームを占めると言われるボカロ曲リスナーに対して、いま受容されやすい曲風というのがある気がしますね。クオリティとしては文句なく一級品揃いですし、好きな曲が見つかるといいな。
それでは、今回はこの辺りで。