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小説「青の歌姫」シリーズ新作
※トップ画像は、「#Null#/初音ミク produced by ワカバ」よりスクリーンショットをお借りしました。問題があればご指摘ください。
初音ミクさん、17周年の誕生日おめでとう。
もう設定年齢の16歳を超えて、未来に踏み出しましたね。
この先の行く末に幸多からんことを。
#Null #/初音ミク produced by ワカバ
2018/2/2 ワカバさん
【ミクはキカイ】#Nul
【掌編】五本指の龍狩
下降錘を減らして減速し、滑車槽から降りれば、二百八十七番の見張り梢に出る。洞から先の枝間は色褪せた網で編まれ、安定した床を成している。樹冠に設けられた小空間は、天井がなく吹き曝しだ。
雲一つない快晴、いつも通りの淡紫色。
先客が陣取っているのも、昨日と同じ。
「チゴノ博士、兆しは見えますか」
問われ、空に手をかざしていた老婆は、鷹揚に振り返る。
「おお、レザか。今日明日じゅうには墜ちるまい
【#才の祭小説】ベファーナの涙
ヒューン、パシッ。
怯えた黒猫めがけて飛んできた雪玉が、ルボーネが振りまわした杖にあたって砕ける。
「こんのクソガキども、タダじゃおかないよ!」
「うわ、出た! 魔女のババアだー!」
飾りが明滅する街へ、雪を蹴立てて逃げ去る子どもたち。
「……怪我ないかい、ネロ」
寄ってきて老婆の足にまとわりつく黒猫。
腰を労わりながら、すくいあげるように胸に抱える。ネロがショールに潜りこむのを見てルボーネは目を