鍼灸師である私が患者さんに気付かされたこと
今日は。「ファン鍼灸院」での、
ビックリ、嬉しい、楽しい、幸せな治療例をお届けしている、【ばぁばは鍼灸師】のファンです。
今回は、自分の治療法が固定観念に縛られていたことに気付かされた症例を書きたいです。
鍼灸治療をしていると、20年過ぎても日々、ハッとする気づきや驚くこと、新しい発見がよくあります。
この間は、81歳になられた方(Aさん)が久しぶりに来院されました。
Aさん:「腰がすべり症になってる。」って言われました。
立ち座りがキツいし、歩くと左脚の付け根の前が引っ張られて、歩けません。
*【腰椎すべり症】腰椎が前後にずれて、椎間から出ている神経が圧迫されて、腰痛や脚の痛み、しびれ、歩行困難が生じます。る
ばぁば:ウーン、鍼だけでは改善させるのが厳しいかもですよ。
腰痛は初めて来院してくれはった時(13年前)から訴えてはったので。
長いし、深いでしょ!
腰の圧痛点に【透熱灸】をしなくては。
(と思っていました)
*【透熱灸】皮膚上にもぐさを小さく捻って置き、火をつけて熱を体の深部に浸透させて症状を改善させる熱いお灸
Aさん:すべり症になってる腰に熱いお灸をしたら効果があることはよーく分かってるんですが、お灸の痕が残りますやろ。
いつも通っている整形外科のお医者に怒られるんです。
「こんなことやっても効かん」って。
だから鍼だけで歩けるようにして下さい。
こちらだけが頼りなんです。
(うーん、困ったなあ。【透熱灸】が必要なんだけどなあ。)
ばぁば:Aさん!左のかかとにお灸したらいいところがあるので、そこだっらお灸したことがバレないので、やってもいいですか?
Aさん:ほんまですね。
かかとやったら見つかりませんね。
やって下さい。
ということで、かかとの反応点に【透熱灸】をしました。
そして、私がどうしても必要だと思った腰には鍼だけをしました。
案の定、たいてい治療後は少しでも楽になるはずなのに、全然変化しないとおっしゃる。
そして、4日後に来院され、前回と同じように踵にお灸をし、腰には鍼だけしました。
Aさん:もうひとつやねえ。
あんまり楽にならんねえ。
その後、一向に来院されません。
(やっぱりなあ。腰にお灸せな改善しないよなあ。)
そしたら、そしたら、6週間後に来院されました。
Aさん:あれから、毎日少しづつ、少しづつましになってきて、腰と股関節は随分楽になってます。
今度は肩周りが痛くなってきました。
(えっ!腰に【透熱灸】をしなくても良くなったの?
えっ!ホンマに!)
今までの私の治療ではAさんの場合は腰に【透熱灸】が必須だったのです。
驚きました。
只、かかと周りのお灸がよかったんだとは思いました。
だから、今回もかかと周りを細かく触診して【透熱灸】をしました。
いつも、その人、その人のその時の状態に合わせて臨機応変に柔軟に対応して治療せな、とやってきたつもりなんですが。
(何でも決めつけたらあかんなあ。)
と思い知りました。
ファン鍼灸ネット
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