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レデラジ#30|「どうやって着ても間違えない服」を作るfukufuku312の取り組み
ひとりひとりが過ごしやすい社会をともにつくるをミッションに活動するLedesone(レデソン)のショートラジオ番組「レデラジ」
今回は、裏表と前後がない「間違えない」服を開発・販売している「fukufuku312(フクフク サンイチニ)」代表の前田さんに、発達障害のある方から一般の方まで、幅広いニーズに応えるユニバーサルデザインの特徴とその魅力について伺います。
レデラジはnoteではテキストとして、Spotify、Apple Podcast、Youtubeでは音声でお楽しみいただけます。
裏表も前後もない!どう着ても「間違えない」服 ユニバーサルデザインで服の不快感を減らしたい
Ten:
今回は、裏表と前後がなく、どうやって着ても「間違えない」、Tシャツを開発する「fukufuku312(フクフク サンイチニ) 」代表の 前田さん にお越しいただいてます
前田さんよろしくお願いいたします。
前田:
よろしくお願いいたします。
Ten:
簡単に自己紹介をお願いします。
前田:
ユニバーサルファッションの企画販売をしております「fukufuku312」の前田と申します。自己紹介、簡単ですがこれくらいで大丈夫ですか?これ以上話すと全部しゃべって、すごく長くなってしまいそうで(笑)
Ten:
ありがとうございます。ユニバーサルデザインのファッションを製作されているということで、主に裏表や前後がなく、どうやって着ても間違えないということですが、具体的にどんなTシャツになるんですか?
前田:
特徴がいくつかあるんですけれども、まず段ボールニットという生地を使っています。聞いたことありますか?
普通、生地には表と裏があるんですけども、この段ボールニットという生地は表と裏の差がなくて、表裏がないんですね。柔らかくて伸縮性があるんですけども、ハリ感もあるような素材になっています。もうひとつの特徴としまして、段ボールみたいに生地が層になってるんですよ。
さらに、肌に当たる部分は綿100%になってます。肌に当たらない部分にポリエステルとかポリウレタンが少しだけ入ってるんですね。なので綿100%の服と違ってめちゃくちゃ伸びるんですけども、型くずれしにくいんですよ。綿100%の服ってすごく伸びるけど、伸びたら伸びっぱなしで、ちょっと襟ぐりとか広くなっちゃったりすることがあると思うんですけども、この服は綿とポリのいいとこ取りなので、型崩れもしにくいですし、肌に当たるところは綿なので肌当たりも良い。あと、汗などの水分を吸収しやすく発散もしやすいので、さらさらとした気持ち良さが持続するようなお洋服になってます。
あと、普通の服って縫い端がビラビラしてると思うんですよ。あれがチクチクしたりして「痛い」という方も多いですよね。気になる方は、あえて服を裏返しに着たりとかすることもあると思うんですけども、それをなくすために「折り伏せ縫い」という縫製をさせてもらっています。脇などの縫い端を包み込むような感じの縫い方なんですけど、そういう工夫をすることで、あのビラビラした部分がないので、肌あたりもいいですし、そうすることによって服を裏返しても裏に見えにくくなってます。
もう一つは袖の形がラグラン袖になっています。皆さん、見たら分かると思うんですけど、首の襟元から脇にかけての縫い目があるようなタイプの袖です。この袖だと、袖口が広くなるので腕の着脱がしやすくなります。
あとこの形は縫い目が肌に当たる部分が少ないんですよね。「セットイン」というよくあるTシャツの縫製だったとしたら、肩のところに縫い目があったりとかするので、例えばリュックサックを背負うときとかに「ちょっと縫い目があたって痛い。」なんておっしゃる方もいらっしゃる。でもラグラン袖だと、縫製するときに縫い目がすごく少ないので、気持ち悪い、痛いという不快感が極力少ないかなと思います。
あと、前後もないですし、またひっくり返しても前後がない形になってるんですが、その特徴を生かしまして、例えば、一つの面が無地で裏返すとボーダーになってたりとか、あとは一つの面にプリントがしてあって、裏返すとまた違うプリントがしてあったりするので、1枚の服で何通りも楽しめるようなデザイン性のあるTシャツになってますね。
Ten:
打ち合わせの際に「裏表がない」と書いていたら「前後もないんですよ」っておっしゃっていたので驚きました。
前田:
そうなんですよ。そこが大事なんですよ。
発達障害のある人や子どもだけでなく、困りごとがある人に寄り添うデザイン
Ten:
確かに、と思って。僕も今でもたまにTシャツを前後間違えてきてたりすることがあります。以前、何度か展示会で見させてもらった時に、すごくいいなと思って。汚れたりとかしても、すぐに変えられるのはうれしいですよね。
前田:
そうなんですよね。ちょっと出先で汚してしまっても、ちょっとぐらいの汚れだったら裏返せば、そのままきれいな服としてお出かけしていただけます。うちの息子もちょっと汚れたりとか、ちょっと濡れちゃったりするとすぐ着替えたがるので、着替えも大量に持っていかないとダメだったんですけども、この服だと着替えも少なくて済むのかなって思いますね。
Ten:
これは主に子ども向けに作られてるんですか?
前田:
最初は子ども向けにと考えて作ってたんですけども、今は大人向けも販売しておりまして、キッズ、レディース、メンズとサイズ豊富に作っております。なのでファミリーで着用できますね。
Ten:
Tシャツ以外にもラインナップはあるんですか?
前田:
Tシャツから始めたんですけども、今はズボンやワンピースも展開しておりまして、今年はカーディガンが販売予定になっております。
Ten:
カーディガンも!
前田:
はい。全部、前後も裏表もないお洋服になっています。
Ten:
ズボンもそうなんですね。
前田:
そうなんですよ。Tシャツよりもズボンの方が結構皆さん驚いてくださるんですけど(笑)
Ten:
ズボンの裏表がないっていうのはどんな感じになるんです?
前田:
普通のズボンって、前がストーンとしてて、後ろがおしりの部分が膨らむような形だと思うんですけど、(ユニバーサルデザインの服は)後ろの方を2枚合わせたようなイメージです。そういうと「めちゃくちゃダボダボな服なんじゃない?」と思うんですけども、履いてみると、そんなにだぶつきがなく、すっきり履いていただけるようなデザインになってます。
ポケットは太ももの真横についています。なので前、後ろ関係なく使えますし、裏返してもポケット付いてるんで、4つポケット付いてるようなイメージですね。
この服を作る時にアンケートを取ったんですけども、ポケットって普通腰の位置あたりにあるじゃないですか。でも不器用な子は入れにくいですし、ポケットに何か入れた時に座ったら痛かったりするじゃないですか。なので、太ももの真横に付けることで自分で目で確認して入れやすいですし、座っても痛くないような位置につけてあります。
あと、ズボンのアンケートで、トイレに行った時にズボンの裾が床に付いちゃうっていう意見もあったので、ちょっとテーパード気味に作ってあります。足首に向かってちょっと細くなっているようなデザインですね。なので床に裾が付きにくいですし、でもあまり裾を絞りすぎると足が通しにくいので、程よい感じに絞ってあります。履きやすくて床にも付きにくいようなデザインになってます。
股上が普通のズボンに比べて深くて、お尻周りもゆったりしててウエストはゴムになってるので、例えば発達障害の方やおむつを利用されている方、車椅子ユーザーの方など、ちょっと既存のズボンは合わないという方にもオススメなパンツになってますね。
機能性の良さで一般の方のニーズにもフィット
Ten:
ありがとうございます。前田さんの製品に初めて出会ったのが、2024年のバリアフリー展で初めてお会いさせてもらって、すごい色々見させてもらって。その次に出会ったのが去年の12月の展示会で…。
前田:
まさかTenさんがライトハウス展にいらっしゃるとは思わなかったです。
Ten:
そこでも見させてもらってたんですけど、商品を購入されるのは障害の方が多いんですか?それとも一般の方も購入されたりするんですか?
前田:
もともとは発達障害の方などに向けて開発したものではあるんですけども、ただ肌触りが良かったりとか、間違えないとか、生地も良いいですし、1枚で結構かっこよく決まるようなシンプルなデザインになってますので、一般の方のニーズも結構あります。ライトハウス展でも視覚障害者の方はもちろんなんですけども、サポートする方達が「私も欲しい!」みたいになったり(笑)。結構そういうパターンもあります。
Ten:
発達障害の人のために作ったものが、視覚障害とか他の障害の人に役立ってたり、あと障害のない人の為にもすごい役立ってるんですね。肌触りや機能性の部分で反響いただいているということでしょうか?
前田:
結構、発達障害の方の困り事が他の方にも当てはまってたりするんですよね。認知症の方だったりとか、年配の方とかも同じような悩みを持ってらっしゃったりするので、そこにつながったりするようです。特に、小さいお子さんなども同じ悩みを持っていたりしますよね。
Ten:
ありがとうございます。次回はぜひ開発に至った経緯だったり、そもそも発達障害のある人ってどういう服の困り事を持っているかなどについて、更に詳しくお聞きできたらなと思います。
前田さん。今回はありがとうございました。
前田:ありがとうございました。
Ten:
今回もレデラジをお聞きいただきありがとうございます。レデラジでは感想やご意見の他にこんなトピックを取り上げてほしいなどのコメントを募集中です!
次回のレデラジもお楽しみに!
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フリーBGM・音楽素材MusMus
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