今日覚えたい文法
「正しい」ことと「自然な」こと
想像だにしなかった
げに信じがたい
ぼくはある程度の頻度で口にするのですが、みなさんはこれらの表現って使いますか?
21世紀の口語の日本語としては
想像だにしなかった
→想像さえしなかった
げに信じがたい
→本当には信じがたい もしくは 本当には信じにくい
どちらも辞書に記述がある「正しい」日本語ですが、文語(書き言葉)の空気を多分に帯びていますよね。
言葉の学習とはそういう部分を分かる必要があるのです。
「正しい」表現が「自然だ」とは限らないし、「自然な」表現が「正しい」とも限らないのです。
「なにげに」はぼくにとっては「間違った≒正しくない」表現ですが、世間の皆さんが行っている日常会話では極めて「自然な」フレーズですよね。
「やばい」はぼくにとっては、年に一度くらいしか使わない「極めて差し迫った状況」を伝える非日常の表現ですが、多くの日本人は自然な文脈で「心が大きく動く様」を伝えるのに使っていますね。間違いとは言わないですが、ぼくにとっては「不自然」なのです。
フランス語ではこのような例文で、同じ「正しい」「自然な」フレーズを比較してみましょう。
彼は酒も飲まないし、タバコもすいません。Il ne boit ni ne fume.
という例文が辞書にありますが、そこには何の注釈もありません。
ぼくが記述を勝手に付け加えていいとすれば、
「話し言葉で使われることはまれな、書き言葉または文学的な表現」
こんな一言を書くでしょう。
じゃあ、普段遣いのフランス語ではどうなるのでしょう?
Il ne boit pas et (il) ne fume pas non plus.
こちらのほうが遥かに自然に感じます。
でも断言します。
どちらのフレーズも「正しい」のです。
ここから先は、学習者の判断におまかせします。
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