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【インターネット広告】2024年の振り返りと2025年に向けて

2024年、本日がLeave it to me(LITM)の最終営業日となります。

今期が3期目となりますが、今年もたくさんの皆さまと楽しくお仕事することができました。

LITMに関わる全ての皆さま、心より感謝申し上げます。

今年も一年を振り返ってみて、来年どんな感じになるのか妄想を膨らましてみました。

毎度のことながら、アドテクやマーケティング展望とか、そういう壮大なお話ではなく、海外のアドテクソリューションを取り扱っているポジションの自分自身が身近に感じてることを徒然に綴るだけの内容となります。

思い浮かんだキーワードについて、ただ語るだけになりますが、想いが溢れ過ぎて長い内容となると思います。お時間を持て余してどうしようもないタイミングで一気に読み干してみてください。

参考までに2022年、2023年の過去記事は弊社Facebookページにベタ打ちしております。
大変読みにくい大作となっておりますので、ぜひノスタルジックな想いで読んでみてください。

それでは始めます。



クッキー狂騒曲

「サードパーティークッキー」は毎年恒例のトピックになってしまいました。

そう、サードパーティークッキーはやっぱり「不死鳥」だったのです。

クッキーの廃止が中止に。次はいったいどうすんの?

Googleさんが声高らかにクッキーの廃止を宣言し、3回の延期を繰り返し、そしてついに2024年7月「やっぱ廃止するのやーめた!😘」とセンセーショナルな発表がありました。

代替手段として準備をしていた「プライバシーサンドボックス(Privacy Sandbox)」が思いの外、上手に機能しそうになく日本の公正取引委員会にあたる英国の競争・市場庁CMAなどの規制当局に「これじゃダメだろ」と一蹴されて、ギブアップしてしまったんです。

んじゃ、今後どうすんの?そもそもサードパーティークッキーを廃止しようとした理由はプライバシー保護の観点であって「何にも解決してないじゃないの!」という地球規模の総ツッコミと、「よっしゃー!今までと変わらないぜ!」と歓喜の渦も巻き起こったのです。

どうするかについては、ユーザーに対してサードパーティークッキーの利用を許諾するかどうかの選択肢をCromeブラウザ側に設けるオプトイン方式を採用する方針だそうです。そして、プライバシーサンドボックスの開発はまだ諦めてないから安心してね、ということになっています。

オプトイン方式については、以下のような文言がユーザーに表示されて選択してもらうことになると思います。

①「あなたの情報を使って企業があなたを追っかけ回しても良いですか?」
②「サードパーティークッキーを使うことに同意しますか?嫌な場合は頑張って色々設定してください。面倒な方は「同意する」ボタンを押すと楽チンだよ」

全然印象が違いますよね?

選択文言によっては、ユーザーへの同意の取り方によって許諾率は雲泥の差がでることが予想されますし、iPhoneのSafariのようにブラウザ自体がデフォルトでクッキーが使えない状態になるかもしれません。

前者の①は現状のiPhoneアプリを使うときに表示されるATT(App Tracking Transparency)の方式で許諾率は20%程度というところでしょう。

後者の②はGDPR圏などで既に実施されている方式で、一説では9割程度のユーザーは同意ボタンを押しているそうです。

ここで、冷静になってみましょう。

①の方式が採用された場合や、ブラウザ自体がデフォルトでクッキーが使えない状態にされた場合、ほぼクッキーは活用できないと思ったほうが良いでしょう。
「よっしゃー!今までと変わらないぜ!」と歓喜している場合ではないのです。

②の場合、というか①も含め、クッキーの仕組み上、脆弱性は残り続け、本来の目的であるプライバシー保護の観点は何も解決されてないということになります。つまり、いずれは対策がされるはずです。それがプライバシーサンドボックスなんだと思いますが、そうなると結局クッキーは活用できなくなります。

そもそも、iPhone大好きニッポンでは、既にモバイルの7割のクッキーが使えないわけで、今後の対策で影響が大きいのはChomeブラウザのシェアが大きいPCのデスクトップ在庫ということになります。

Googleさんの対応次第とはなりますが、どこかのタイミングでクッキーはほぼ使えなくなると考えるのが自然だと思います。


ユーザーにメリットがない限りは上手くいかない

いずれにしろ、私はオプトインの方式は①の方式が採用されるべきだと思っています。ユーザーに対してしっかりとクッキーを提供することのメリット・デメリットに関する情報も提供して判断してもらう必要があります。

でも、メリットって少ないですよねー...涙。本当に好みの情報を踏まえた広告が表示されるのでしょうか?クッキーを提供したほうが生活が豊かになるのでしょうか?

今と同じことを繰り返すと企業側が得するだけで、ユーザーに与えられる価値はほぼありません。

サードパーティークッキーを代替するソリューションは数多く生まれてきていますが、根本的な解決には安心安全の仕組み構築を前提に「利益追求」ではなく「価値提供」の観点が重要だと思っています。

いずれにしろ、Googleさんがオプトインを始めた途端に一気に色々と動き出すでしょう。2025年のどこかでそれは起こるはずです。

プライバシーサンドボックスをはじめとした数々のクッキーレスのソリューションは「ハイブリッド」な形で活用されるのだと思っています。

というわけで、まだまだ来年(2025年)も「クッキー狂騒曲」は続きそうです。

皆さまにおかれましては、引き続き色んなクッキーレスに関するソリューションを吟味して、安全点検を行い、ユーザーへの必要な告知などをシッカリと対応した上で積極的な事前準備を行うことをおすすめします。


<参考になる記事>


オープンインターネットの窮地

今年はこの「オープンインターネット」というサウンドが特に飛び交ったのではないでしょうか?11月に開催された「ATS Tokyo2024」のセッションでも、オープンインターネットの行く末を憂うテーマが多かったです。

というのも、ATS Tokyoのセッションの企画など、今年も弊社Leave it to meが携わっておりました。なので自分が意識的にそういうテーマに寄せた感はあります。でも、それくらいの危機意識を持ってもらわないと、取り返しが付かない状況になると感じていたからなのです。

それくらい大ピンチなのです。

今年、来年のトピックスはこのテーマを中心に全てを語っても良いと思っています。

「オープンインターネット」と「ウォールドガーデン」

そもそも「オープンインターネット(Open Internet)」とは「オープンウェブ(Open Web)」とも呼ばれていて一般のパブリッシャーさんが運営するメディアのことを指す総称です。

これに対し「ウォールドガーデン(Walled Garden)」はYouTubeやインスタ、X、TikTokなど大手プラットフォーマーが独占的に運営するメディアのことを指します。

いや〜、どんどん「オープンインターネット」領域のメディアさんの広告収益は減り続けているんですよね...涙

昨年までは前年の10%〜20%は広告収益が落ちていると言っていたのですが、今年は30%くらい落ちているのでは?って感じで、もう壊滅的な状況になっています。

不思議ですよね?毎年電通さんが発表している2023年のインターネット広告費は前年比107.8%の3兆3,330億円と増えています。でも、オープンインターネット領域の皆さんはその勢いを全く感じてないはずです。

残念ながら、この下落トレンドは2025年以降も更に悪化していくことが予想されます。

なぜ収益が落ち続けるのか?答えはシンプルです。

広告主さんが使っているインターネット広告費は、ほぼ全部「ウォールドガーデン」に流れてしまっているからです。

色々な算出方法があるので難しいのですが、ABEMAさんやTVerさんなどのCTV、Yahoo!さん、そして、Google広告の出し先も雑にひとまとめにすると、一説では全体広告予算の90%台後半くらいがウォールドガーデンで消化されていると言われています。

つまり、オープンインターネットの領域には、ほんの数%の雀の涙ほどの予算しか回ってきていないのです。

「でも、Googleさんはディスプレイ広告でオープンインターネット領域にも広告がでますよね?」と聞かれたりするのですが、Googleさんで広告出稿する場合「P-MAX(パフォーマンスマックス)」と呼ばれる全自動で目標の広告効果を目指して、YouTubeや検索広告、ディスプレイ広告などの広告の表示先を最適化してくれる便利ツールがあって、みんなそれを使ってます。

Googleさんの気持ちになってみましょう。一番利益が大きいのは自分のメディアですよね?とするならば、YouTubeや検索広告にたくさん広告を出すほうがディスプレイ広告でオープンインターネットのメディアさんに広告を出すよりも儲かりませんか?私ならそうします(😎)。

実際にそうしているかはわかりませんが、普通に考えてみると、、、ね。しらんけど。

ちなみに、実際に皆さんが使っている時間はオープンインターネットが61%、大手SNSを中心としたウォールドガーデンが39%と、オープンインターネットのほうが長いという調査結果もあります。なのに広告予算は圧倒的にウォールドガーデンに流れてしまっているのです。

にもかかわらず、広告予算は圧倒的に広告予算はウォールドガーデンに流れています。特にこの傾向は日本では顕著で、欧米だとだいたい6割くらいの広告予算はまだオープンインターネットで活用されているそうです。


なぜ、ウォールドガーデンばかり広告予算が偏重するの?

では、なぜこうなったのでしょう?

一つの大きな理由はウォールドガーデンなメディアに出稿するほうが楽チンだからです。

シンプルにYouTube、インスタ、Xとかに出稿するほうが管理が楽ですよね。出稿先が増えるとレポートを取りまとめたり、色々な手間も増えます。

また、どこに広告が表示されているかわからないオープンインターネットのメディアよりも、YouTube、インスタ、Xなどに表示されるとわかっているほうが安心ですし、広告主に提案もしやすいですよね。それに、クッキーが無くなると騒いではいるものの、ウォールドガーデンに出稿している限りはそこまで気にする必要ないですし。

皆さんが自分自身の商品やサービスの広告を出したいと思ったとき、普通に思いつくのは検索広告やYouTubeやインスタとかの大手SNSへの広告出稿じゃないでしょうか?「よし!DSPを使って広告配信しよう!」って思う素敵なマーケターはほぼ皆無です。

まだあります。更にタチが悪いことに「MFA(Made For Advertising)」と呼ばれる広告収益を稼ぐためだけに作り出された質の悪いWebサイトが急増しています...。

AIの出現によりカンタンにこれができてしまうのです。これは最悪です。

広告主はリスクのあるオープンインターネットへの広告出稿を控えるようになり、真面目にメディア運営している皆さまにも大きな影響がでることが予想されます。


Webサイトの広告がエラいことになっている

やっと辿り着きましたが、これが一番言いたかったのです。

Advertimesでも「ネット広告を良くしなければ社会が悪くなる、2024年度はその分岐点です。」と、胸にグッとくる形で語られておりました。

皆さんが見ているWebサイト、コンテンツを読みたいのに広告との壮絶な戦いを強いられながら読んでませんか?

次々と広告が現れ、画面を占拠し、我慢できたらコンテンツ見ても良いよ💕みたいな感じになっていませんか?

私はこういう広告フォーマットを「麻薬系の広告フォーマット」と呼んでいます。例えばページ遷移時にドーンって出てくるインターステシャル広告などは、たしかに収益性は高いです。短期的には収益が期待できるので一度使ってしまうと止められないのです。

広告枠自体も一度増やして収益が増えてしまうと、もう減らせないのです。

でも、広告が少ないほうが読者にとって居心地が良いことを考えると、長期的には良くない結果を生むことになると考えるのが自然です。みんなわかっているのに止められない恐ろしい状況。まさに麻薬...。

当然ながら、広告主からは「広告まみれだし、あんなところに広告出したくないよ〜」と思われていますし、読者もドンドン減っていきます。

ただでさえ、情報収集をSNSを使ってやる時代、普通にネット検索してWebサイトを読む人自体減っているのにです...

わかっています。メディアさんも成長を求められていることを。悪化している市況とは関係なく、毎年◯%伸ばしなさいと会社や上司、そして株主からも強いプレッシャーを掛けられていますよね?

お気持ちよ〜くわかります。でもこのままではダメなんです。

あらためて、この悪循環を表現した絵がありますので載せておきます。


やっとGoogleも動き出した

でも、世の中がこの状況をそのまま放置するわけがありません。

それを是正する色々な動きが出始めました。

まずはGoogleさんの動きです。Googleさんはオープンインターネット向けのディスプレイ広告の総元締めと言って良い存在です。そんな彼らもこの状況をさすがに良しとはしていません。

昨年(2023年)から騒ぎになっていた「確認クリック」事変。誤クリックを誘発するような広告レイアウトにしている場合、「本当にそのサイトをみたいの?」と広告をクリックした時に読者に確認する文言を表示させました。

一度、この警告がでてしまうとCTRが落ち、広告収益は激減します。更に悲しいのは広告レイアウトを是正し「確認クリック」を回避できたとしても、Googleさんからは「ヤベーメディア」というレッテルを貼られてしまっているので、なかなか元の広告単価には戻りません。

相当数のWebサイトやアプリが「確認クリック」の悲しいレッテルを貼られてしまったのではないでしょうか?

次に、GoogleさんがYouTubeで流れているようなインストリーム広告が一般のWebサイトなどに配信される基準を厳格化しました。YouTubeには有り余るほどの広告が流れて賑わっていますが、その恩恵を授かろうとパブリッシャーさんはその動画広告を配信できるようにと広告枠を準備したのですが、甘くはなかったのです。

ちゃんとYouTubeと同じようにしっかりとした動画コンテンツがあること、ユーザーが音声を聞ける状態にあることなどのルールが定められました。

しかし、一部の事業者とかでは、インストリーム広告が配信できない基準にもかかわらず「インストリーム広告ですよ」とワザと誤った信号を流したり、ユーザーに聞こえないくらいの小さな音を流したりして、ルールをハックしているところも見受けられます。そんなことは止めて、正々堂々と正しい広告枠を作りましょうね。

そして、これが一番大きかったのですが、今年は「広告密度」フィーバーが巻き起こりました。「Better Ads Standards」に準拠していないWebサイトやアプリに対して「広告の利便性に関する違反」という警告が発せられました。

特に今年後半はコンテンツに対する広告の占有率が高い場合(30%超)に発せられるケースが目立ち、復活するチャンス(審査)は2回あるそうなのですが、不合格になった場合は広告が止まるというセンセーショナルな事態に陥ります。

つまり、広告まみれのメディアが一網打尽にされる兆しがあらわれたのです。

もう、ひとときの収益を得るために広告を増やす時代は強制的に終わりを迎えると考えるべきなのです。

でも、これはあるべき姿であり、もっと早くGoogleさんが動いてくれても良かったと思っています。


Attention指標に注目

そして、事態は更に本質的な流れに向かっています。

「Attention(アテンション)指標」という言葉が飛び交い始めました。

これは読者が広告を実際に意識して見ているかどうかを表す指標で、皆さんが良く知る「Viewability(ビューアビリティ)指標」とは似て非なるモノです。

「Viewability」は広告がちゃんと画面上に表示されているかどうかを表す指標で、実際に読者がその広告を見ているかどうかは関係ありません。

例えば画面の最下部などに表示され続けている広告がありますよね?「オーバーレイ広告」や「アンカー広告」と呼ばれている広告枠です。

これって画面上の表示という意味では「Viewability」は100%です。でも、ほとんどの皆さんはその広告の内容が何なのかあまり意識してないですよね?

実際、とある調査では66%のユーザーは表示された広告の内容を読んでないそうです。この数字はYouTubeなど大手SNSの広告も含まれているので、オープンインターネット領域だともっと衝撃的に読まれてないと考えて良いと思います。

2023年のディスプレイ広告と動画広告の総額は約1.5兆円なので、約1兆円が無駄になっているということなのです(!!)。

それをカバーする指標として「Attention」に注目が集まっているのです。

そうなんです。広告主はただ表示されているだけの広告にはお金を払わない時代がやってくるのです。ちゃんと意識して見てもらえる広告にしかお金を払ってくれなくなるんです。

もう、広告をたくさん出している場合ではないということなのです。

Attentionに関してはアドウェイズ & DSP UNICORN代表の"やましょー"こと山田翔がATS Tokyo2024で熱く語っていたのでコチラの記事もぜひ熟読してみてください。

更には広告効果の分析手法として「MMM(Marketing Mix Modeling)」も注目されています。これは昨年も触れましたが、色んな広告に使ったお金が売上に実際どういう変化を与えたのかを把握する手法です。

こういう分析も定着してくると、本当に広告主は無駄な広告費を使わなくなっていくでしょう。

2024年はこういう流れ、特に「Attention」について本格化していく最初の年になると思っています。

Attention指標を推進するベンダーとしては「LUMEN」や「DoubleVerify」などが有名なので、皆さん注目しておきましょう。

また、広告業界の大御所である高広 伯彦さんは「ATS Tokyo2024」のセッションにて、Attention指標はあくまで「Currency(通貨)」であって、実際に意識して見てもらうには中身のクリエイティブも重要なのだということを「Selective Attention(選択的注意)」という言葉で表現されておりました。ごもっともでございます。

とはいえ、パブリッシャーサイドの準備としてはクリエイティブの中身までは手を付けにくいので、しっかりと見てもらえるような広告枠をレイアウトすることが重要になってくるでしょう。


このピンチに立ち向かいましょう!

というわけで、このような大ピンチがたくさん待ち受けているのですが、パブリッシャーさんはどうすれば良いのでしょうか?「広告枠を減らしましょう!」って簡単に言われても困るはずです。

少しだけ安心してください。まだまだやれることはたくさんありますよ!と断言しておきます。

ユーザー体験を悪化させず、収益が上がる施策を見つけて積極的にチャレンジをすることが重要になってきます。

そして、うまく収益が上がった暁には広告枠を減らしましょう。収益が増えたぜ!やったぜ!ではなく、その収益を原資にして広告枠を1枠でも良いので減らしてください。

それが、今後の長期的なビジネスに大きく貢献すると考えています。

「ads.txt(app-ads.txt)」、「sChain(SupplyChain オブジェクト)」の点検

例えば、灯台下暗しな身近なところでいうと、DSP、SSPとのRTB取引における透明性、安全性を証明するために用いられている「ads.txt(app-ads.txt)」や「sChain(SupplyChain オブジェクト)」が正しく実装されているかを見直してみましょう。

意外に正しく実装されてなくて、DSPからの買付がスルーされている機会損失が発生していると聞いています。

AIを使って広告枠を減らす

グローバルでは、まだまだたくさんの新たなソリューションが生まれてきています。

例えば日本では既におなじみになりつつありますが、読者によって千差万別なコンテンツの読み方にあわせ、読者体験が悪化しない形でAIが広告枠の位置を自動的に最適化してくれるソリューションです。

「Browsi」が有名ですが、今年はAI(Browsi)を正しく使うことで広告枠を減らす「世直し」について私は熱く語っていました^^。
昨今のオープンインターネットが置かれている状況含め熱く、そしてスーパーロングに語っていますので、本当に読んでみてください。

この他、AIをポジティブに活用することも鍵になってくるはずです。
Pivot代表の梅野浩介がAIについて熱く語っていましたのでこの記事をご参考ください。

<参考になる記事>


広告ブロック回復ソリューションで広告枠を減らす

次に注目すべきは、広告ブロックを回復させるソリューションです。

グローバルで20%〜40%のユーザーが何らかの広告ブロックツールを使っていると言われています。

今の広告まみれのWebサイトの状況を考えると使いたくなる気持ちは良くわかりますし、このままだとブロック率は更に高まっていくと思われます。

しかしながら、広告ブロックツールを使っているユーザーでも、ウザくない広告であれば見ても良いという人が83%もいるという調査結果がでているのです。

結局、広告ブロックしている20%〜40%のユーザーは広告収益にならないので、その煽りを誰が受けているかというと、ブロックせずに広告を見てくれているユーザーの方々なのです。

収益にならない分を取り戻すために、パブリッシャーは広告枠を増やします。それを見ているのもブロックせず広告を見ているユーザーという悲しい状況が起こっているのです。

なので、私はウザくならない形(具体的には「Acceptable Ads」や「Better Ads Standards」に準拠)で広告ブロックされた在庫を回復してくれるのであれば、活用すべきだと考えています。

そして、回復した収益を原資に、少しでも既存の広告枠を減らして今まで広告を見ていた方々の読者体験を改善することで恩返しをするべきだと思うのです。

それができるソリューションとしては「Blockthrough」や「Ad-Shield」などが有名です。


まだまだ色んなやり方がある!

この他、ユーザーが広告を見ている時間だけカウントして広告リフレッシュを正しく実行するソリューションや、IAB Tech Labの規定やプライバシールールをしっかり遵守した形で「ID Graph」と呼ばれるマトリックス表を活用してクッキーレスブラウザでの買付を高めるソリューションなど、世界では驚くようなソリューションが次々出てきたりしています。

また、広告とは関係ないですが、意外と見落としがちなのがサーバーコストなどのインフラコストです。

SEVENRICH GROUPのDELTAさんがやっている「CTO Booster」というサービスはスゴいんです。

AWSなどのクラウドサーバーのプロフェッショナル集団が人海戦術でサーバーコストの削減を代行してくれるサービスなのです。しかも成功報酬なのでリスクはありません。

「くるまのニュース」さんはAWSコストが約83%削減されたらしいです(!!)。さすがにこれは極端な事例かもしれませんが、平均3割程度は削減できていると聞いているので、インフラ改善に手が回らない方々はこういうサービスも使わない手はないと思うのです。


我々にお任せください^ ^

色々なことを一気にお伝えしてしまいましたが、何だかよくわからないと思いますので、すぐに私(池田寛)か、弊社Leave it to meにご連絡ください☺️。

まさに「Leave it to me(オレに任せろ)」な感じでお力になれるように頑張ります💪。

あらためまして、このようなソリューションを活用して広告枠を減らすチャレンジをしてもらえるとうれしいです。

純広告・PMP・ファーストパーティーデータの活用

続きまして、先ほどお伝えしたソリューションなどを使って、広告枠を減らせたら次は何をすべきかについてです。

それは、パブリッシャーのマネタイズの原点に立ち返り、自身のアセットに目を向けて「買ってもらえる広告」を作るということです。

いわゆる「純広告・PMP・ファーストパーティーデータの活用」というやつです。

純広告のお話

どうして良いかわからないかもしれませんが、まずはご自身のメディアの特徴、読者はどんな人なのか、どういう広告が良く表示されているか、など総点検してみてください。

そしたら、きっとそこには「何か」があるはず。ただ、その何かは「わかりやすいモノ」でないといけません。

例えば、人口◯%のユーザーがいるとか、お金持ちが多いとか、家庭のお財布を握る主婦がたくさんいるとか、きっと何かが見つかると思うのです。

それをわかりやすい広告メニューにしてみるのです。ここにはアドテクとか難しいウンチクは必要ありません。広告主やマーケターの方々は難しい言葉には興味がありません。

例えば、ユニクロさんの「ヒートテック・エアリズム」とのコラボで、日本気象協会の「tenki.jp」さんが作った『ヒートテック・エアリズム予報』は秀逸です。

また、去年もお伝えしたかもですが、カレンダーアプリ「TimeTree」さんのカレンダー上で任意の日付を訴求できる広告『TimeTree Ads ターゲットデイ』も大人気で売れているそうです。

こんな細かいところまでカスタマイズできるのはオープンインターネット領域のメディアの最強の武器なんです。ウォールドガーデンな大手SNSではこの小回りは利かないと思います。ぜひチャレンジしてみて欲しいです。


PMP・ファーストパーティーデータ活用のお話

次にPMP(Private Market Place)やファーストパーティーデータの活用ですが、これも純広告でのアプローチと大差はありません。自身のメディアをしっかりと見つめて、どんなデータだったら興味持ってもらえるかを考えるのです。

重要なのはデータを整理整頓して広告主のニーズにあわせて「これが使えますよ〜!」といつでもReadyな状態にしておくことです。少しお高いですが「piano」とかのソリューションは整理整頓が得意なツールだったりします。

整理整頓ができれば、SSP各社が「キュレーション」という名前で皆さまのデータをよろしく料理してDSPにアピールしてくれたりします。Index Exchangeさん、OpenXさんなどがグローバルを手始めに頑張っていますが、GoogleさんもGAM上でキュレーションを可能にすることを発表していました。


データクリーンルーム(DCR)

ただ、いくらファーストパーティーデータを整理整頓してもウォールドガーデンな大手SNSの規模には負けてしまいます。

それに対するソリューションもあって、これから注目を集めることになると思うのが「Optable」です。各パブリッシャーのDCRをセキュアに連携して大規模なDCRを作ってしまえる魔法のようなソリューションです。

さらにはOptableにはデータを整理整頓する機能も備わっているので一石二鳥だったりします。

昔懐かしい「スイミー」のように、1匹だと小さくて力が足りないけど、みんなが力を合わせて大きな相手に立ち向かうイメージです。

日本だとFourMさんがOptableを活用したビジネスを始めていますので、興味があるパブリッシャーさんは、ぜひ相談してみると良いと思います。

また、毎度おなじみのATS Tokyo2024でもこの話題についてのセッションがありましたのでご参考ください。

そこでは"データクリーンルーマー"こと電通の前川 駿さんが「規模よりも深さ、ファンを作る、という部分で勝負ができるのでは」と、とても良いことを言ってました。


どうやって売るの?

結局これですよね。色んなメニューを作ったとして、いったいどうやって広告主や代理店などのデマンドサイドの方々にアピールすれば良いのよ?と。

これは正直、泥臭い方法しかありません。広告主、代理店の方々と会う機会を見つけて、話をするしかないんです。

実は、そういう機会はいくらでもあるんです。ATS Tokyoもそうですし、アドテックやAWAなど、関係者が一同に介する大規模なイベントは毎年開催されています。

広告主や代理店の方々もウォールドガーデンに頼りきったプロモーションをすることで本当に良いのだろうか?他と差別化できないし、誰にでもできることはAIにもできてしまうぞ...と危機意識が芽生え始めています。

なので、勇気を出して話をしてみることです。きっと興味を持ってくれるし、色んなヒントを出してくれるはずです。

我々も来年(2025年)はもっと広告主や代理店の方との距離が縮まるようなイベントをやりたいと思っていますのでご期待ください。


<参考になる記事>


その他諸々なトピックス

クッキー騒動やオープンインターネットの窮地を中心に肉厚なお話をしてきましたが、最後にその他の注目トピックスについても触れておこうと思います。

リテールメディア広告

あらためて、リテールメディア広告とはECサイトやモールなどの購買データなどをフル活用した広告のことです。

Amazonのアプリを使っているとわかりやすいと思いますが、レコメンドされた商品を買ったことがある人は少なくないのではないでしょうか?

また、ECサイトやモールに限らず、各店舗にあるモックやサイネージも含まれますし、来店や購買を促すキャンペーン告知など、とても身近な広告手法と言って良いでしょう。

リテールメディア広告で用いるデータは、ある意味最強のデータアセットです。生活者が何を今買おうとしているのか、興味があるのかがわかるのですから。

そのデータを活用して購買だけでなく、ブランド認知などのアッパーファネルなマーケティングにも活用されています。

米国ではウォルマートとかがその化け物ですが、日本ではまだウォルマートほどのベストプラクティスは生まれていません。それは日本は小売企業が分散されていてデータを横断的に活用しにくかったりする要因があるみたいです。ただ、ドラッグストアなど良い事例も生まれつつあり、来年は更に発展していくと思います。

この分野の情報発信はPubMaticにいる廣瀬さんが「Retail Media Online」というメルマガとして積極的に情報発信されていますので、ぜひ登録してチェックしてみてください。

<参考になる記事>



オフライン広告

これは運用型テレビCMの会社であるテレシーの元代表だったお友達の"ドイケン"こと土井建が頑張っているやつなのですが、リアルなオフラインの広告にも注目しています。

皆さんも、思いっきりデコレートしたトラックが宣伝してたり、エレベーターの中に広告が流れたり、はたまたヘリコプターをラッピングしたりと、こういうリアルな広告を目にする機会が増えたと思います。

そうなんです。売れてるんでよね〜。プログラマティックとか関係なく「看板」的な広告にも注目するのは面白いと思っています。(頑張れ!ドイケン!)

<参考になる記事>



アプリパブリッシャーの方々へ

毎年思うのですが、アプリ向けのソリューションでスゲーって思うようなのって、でてこないんですよね〜涙。

マネタイズという観点で言うと、しっかりヘッダービディングを実装して、旬なアドネットワークの情報を仕入れて、それを素早く実装する、という基本的なことを愚直にやっていくってことに尽きると思います。

自社でポイントプログラムとかの仕組みを持っているのであれば、オファーウォール広告を実装することもオススメだったりします。

と、それだけでは申し訳ないので「アプリマーケティング研究所」さんが、秀逸なテクニックを含めた情報発信をしてらっしゃるのでご紹介しておきます。

ユーザーファーストで「居心地が良い」アプリを目指していただけると幸いです。


業界再編の動き

さて、オーラスは今年行った業界再編の動きを覚えている範囲で記載してみようと思います。思い出深い広告事業者さんが事業を撤退するとか色々なことが起こりました。

また、ビックテックな皆さまの動きにも要注目です。

これも時代の流れです。来年も色々なことが起こると思いますが、新たなチャレンジを応援しております。

<ビックテック系>

Googleさんの独禁法関連の裁判には注目が集まりまくってます。さて、どうなることやら。

裁判のリアルな実況については、動画広告の仕様「VAST」の開発者のAri Paparo氏によるレポートが秀逸でした。

TikTokは本当に米国で禁止されてしまうのでしょうか?結構エラいことですね。

その他、AppleさんとAmazonさんの記事です。

<撤退系>
いや〜大変お世話になりました。

<再編系>
世界でも激しい動きがありました。

以上となります。

最後に

いや〜とてつもなく長い投稿でした。あふれる想いを抑えきれずに恐縮です。

最後まで読んでいただき、感謝カンゲキであります。

今年も本当に皆さまお世話になりました。

引き続き、あの広告おもしろかったね、という会話が巷にあふれる日を目指します。

来年もよろしくお願いいたします。

それでは良いお年を。

オッケーレッツゴー!

2024年12月29日 株式会社Leave it to me 池田 寛

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