見出し画像

【現役塾講師が語る】受験本番に向けたメンタルの作り方

こんにちは。
現役塾講師をしています。

もうそろそろ本番ですね。
今回はしっかりめに、受験生に向けた「本番メンタル」をお話していきます。

7割は精神論なし、3割は精神論ありです。


「いつも通りの力を出す」とは何か?

「ドラゴン桜」より、フリースロー対決

いつも通りで」とよく聞くと思います。
みんな口を揃えて「いつも通りで」と言いますが、私は「いつも通りで」やる、というのは、周到な心の準備や技術が要ると思っています。

漫画版の「ドラゴン桜」でこんなシーンがありました。

生徒の「矢島」は、一体本番に強いのかどうか、という話になりました。
そこで桜木先生は生徒の矢島に対して、バスケのフリースロー対決を持ちかけます。
「10本投げて、相手より入れた本数が多ければ勝ち」という、非常にシンプルなルールです。
結果、桜木先生が勝ち、矢島が負けることになりました。

勝負の動きとしては、

  • 最初は矢島が連続で入れており、桜木先生は最初失敗していた

  • 途中で矢島が失敗し、途中から挽回してとにかく入れようとしたら、連続で外すようになってしまった

といったことがありました。

矢島が負けた最大の原因は、「10本全て入れようとしたから」です。

その思いから、1回外してから、あたかも「残り全部入れないと勝てない」と思い込み始め、結局焦りで調子を崩します。
対して桜木先生は、「7本くらい入れば多分勝てる、だから数本外しても問題ない」と捉えていたそうです。


ここから分かることを皆さんの試験の解き方に昇華させてみましょう。

試験中、ある教科で「失敗した…」と思うことは誰でもあります。
ただ、だからといって「他の教科で挽回しよう」とは思わないでください

「挽回しよう」という意気込みのおかげで普段よりも成績が上がるのですか?
むしろ、自分で自分に対して「挽回しよう」とプレッシャーを与えすぎて、逆に調子を崩していませんか?

試験というのは、良い意味で「時すでに遅し」なのです
試験本番で何を思ったところで、あなたはあなたです。

最初から「だいたい◯◯点くらいは失っていいよね」と思っておく。
「ここから挽回だ」という思いを捨てる。
「やれるだけしかやれないよね」と開き直る。

「いつも通りの力を出す」とはそういうことです。


問題は「仕分ける」つもりで解く

全てを「一気に」「等しく」片付けようとしないで!

上記の話からつながって、自分の取るべき点数についての話です。
どうしても点数を失いたくないあまり、全ての問題に対して等しく時間と労力を割こうとしがちだと思います。

問題は、「点数を獲得する・失う」という判断軸で解くのではなく、「解けるもの・解けないものに仕分ける」という判断軸を持ちましょう。

ジョウロ一本に水がなみなみと入っているとします。
しかし、目の前に咲いているお花は10000本。
1本1本懇切丁寧に水やりをしていたら、途中で水が切れてどうしよう、というシーンを想定してみましょう。

試験でも同じことが起こります。
全ての問題に等しく時間と労力を割くのは絶対に不可能です。

さらに言えば、全てのお花を生き残らせるのも不可能です。
だからと言って、「みんな平等に」といって、全てのお花にチョロ水だけあげると、間違いなくお花は全滅でしょう。
質を落として、手を抜いた解き方で全問解き切る、というのは「解いた」とは言いがたいですね。

水の量が有限である限り、お花は何本かは確実に死ぬのです
我々は「どのお花を生き残らせるか」を選定せねばならないのです。

この当たり前の事実に気づかずに「なるべく多く解く」「100点に限りなく近いことを願う」ということは考えないようにしましょう。
(超上位層の皆様は100点目指して頑張ってくださいませ)


カラーバス効果を知って「疑心暗鬼」から抜け出す

「ドラゴン桜」より、カラーバス効果についての説明

またしてもドラゴン桜からの引用です。

例えば、朝起きてから「今日は赤いものがいくつ見つかるだろう」とふと考えたとします。

街に出てみれば、赤いポストや信号など、意外と赤いものが多いことに急に気づく。
この心理効果を「色を浴びる」と書いて「カラーバス効果」というそうです。

問題を解いていて、どうしても分からないものに出くわしたとします。
そうすると、他の問題があたかも「全部難しい」と勝手に錯覚してしまうことがあります。

それはあくまで錯覚です。
カラーバス効果が働いている結果そうなっているだけかもしれません。

街の中には赤いものも青いものも緑のものも、たくさん溢れているのです。
試験問題の中にも、難しい問題、簡単な問題、モヤモヤする問題、ワクワクする問題、色々なものが溢れているものです


自信にするために振り返るものは何か?

過去は「どう使うか」「どう振り返るか」が大事

ペラいことしか言わないおじさんは「量をこなしてきた事実こそ自信になるんだァ」と言うと思います。
正直、この発言はセンスに欠けます。
「勉強量」を振り返っても自信にできるかどうかは人によると思います。

受験当日の朝、ベッドから起き抜けてきたら目の前に「大量のノートや参考書」が積み上がっているとします。

これを見た時に

  • 自信がみなぎる人

  • 特に自信に変えられず、何とも思わない人

の2パターンに分かれると思います。

この違いはどこからきているかを考えてみましょう。


「プレッシャーを乗り切ってきた」「ミスを修正してきた」という過去やその記録があるなら、ノートや参考書を見たときに、「濃度」を感じ取ることができるようになります。

対して、特にプレッシャーを乗り切ってきた過去がない、もしくは特に覚えていない場合、ノートや参考書から「濃度」を感じ取れないはずです。

模試のたびに
「成績が下がっていたらどうしよう」
「またよくない判定が出たらどうしよう」
「志望校を変えざるを得なくなってしまったらどうしよう」
「またケアレスミスをいっぱいしたらどうしよう」
「怒られたらどうしよう」
などのプレッシャーが襲ってくると思います。

そのプレッシャーを跳ね除けるために、さまざまな手を打って勉強をし、実績を出せたり出せなかったり、また修正を重ねて、という歴史を重ねてきたと思います。
ただの「勉強の痕跡」でなく、「プレッシャーを乗り切った記録」を振り返ってください。

  • 点数アップのために必死に暗記した単語帳

  • 自分がどのようなミスをしてきたかをまとめたノート

  • 苦手でイヤイヤながらもどうにかこうにか勉強したら点数アップに繋がった痕跡

具体例を挙げると、こういったものなどです。


元吹奏楽部のある生徒からのお話です。

吹奏楽部は、大事なコンクールに向けて、練習を重ねてはミスをし、先生や先輩から激詰めをくらい、楽譜に大事なポイントを書き込んでは練習をして、修正する。

また激詰めされるかもしれない、コンクールで悔しい思いをするかもしれないプレッシャーを乗り切り、演奏を磨き上げ、先生や先輩に褒められてては、また楽譜にポイントをビタビタに書き込む。

ペンで書き込む際も、色々な色を使う人もいれば、もはや中心にデカデカと「絶対勝つ」と太ペンで書いている人も。
紙もシワシワ、ボロボロになっていき、それでもセロテープで繋ぎ止めて無理やり使う。

たった数枚のペラペラの紙ですが、「濃度」はMAXになっていきます。

同じような、濃度MAXの記録になるものが、勉強でもできるといいですね。


自分に対してかける言葉

ごめんなさい。こんな感じのノリでかっこいいことが言いたいです

ここからは精神論マシマシの「決め台詞」らしきものを連発していきます。

「お、筆者も塾講師らしく、名言みたいなのを出してきたな」と思われるかもしれません。

まあ塾講師たるもの「かっこいいこと言いたい病」が常にあるのは否定致しません。
ただ私がここで強調したいのは、あくまで受験生が「自分で自分にどう声をかけるか」が大事なのです。

わけわからん意識高い系ピーマンみたいな人が、よく「ポジティブな言葉だけを心の中で囁こうね⭐︎」と言うと思います。

そのピーマンの言うことを全否定するわけではありませんが、正直「ポジティブ」でねじ伏せられるほど受験生のメンタルは単純ではないと思うのです。

私のご紹介するものは、心の中で言うことで、
「心をニュートラルポジションに戻せそうなもの」
「“攻め”の姿勢になれそうなもの」
です。


①「で?」

いきなり名言らしからぬもので恐縮です。
本番、何があったとしても、結局いつも通りの力を出すだけですし、皆さんがやることはそれ以上でもそれ以下でもありません。

難しそうなものが解けて浮かれていても「で?次何すればいいの?」と思いましょう。
解けなさすぎて落ち込みそうになっても「で?次何すればいいの?」と思いましょう。

常に心の中で「で?」を言うトレーニングをしていると、いちいち心がなびかなくなってきます

②「Shall we dance?」

それも名言じゃないじゃん、と思ったかもしれません。

これは、漫画「ONE PIECE」に出てくる拳法の達人のオカマ「ボン・クレー」が海軍相手に宣戦布告した瞬間に言ったセリフ「かかってこいや」が英語版漫画で英訳されたセリフです。

かかってこいや、だから、「Come on」とかではなく?と思うかもしれません。
あくまで「Shall we dance?」と訳されているのは、ボン・クレーが「戦いを楽しむタイプ」というのを反映してのことだと思います。

日本語版と英語版の比較。ボンクレーの喧嘩腰とヒナの負けん気がシビレます

問題が難しすぎて心が折れそうになっても「Shall we dance?」と言いながら、攻めの姿勢も忘れず、一緒に踊って楽しんでいきましょう。

③ I’m not in danger. I am the danger.

またしても英語で失礼します。

これは海外ドラマ「ブレイキング・バッド」で登場人物のウォルター・ホワイトが言ったセリフです。

結構重めのストーリーを持つドラマです

直訳すると
「私は危機的状況にいるのではない、私自身がまさに『危機そのもの』なのだ」
です。
(字幕と若干違っていたらごめんなさい)

別に「迷惑行為を働いて誰かのことを危機に陥れろ」というわけではもちろんないですよ。
難しい事柄に飲まれるのではなく、自分がその事柄の上に立つ。
そんな気持ちが大事なのです。

このドラマのワンシーンはかなりシリアスで、受験の話向きといえるほど、爽やかな文脈ではありません。
ただ、さきほどの私の意図を最も伝えやすいため、このセリフを選びました。

④「ショートコント、入試」

これは過去の生徒のアイデアです。

かなりのコメディ要素が強いセリフですが、このセリフのいいところは2つあります。

  • もはやネタの一つとして入試を楽しもうとしている

  • コント中は「演じる」という必要があるため、良い意味で「入試モード」というメッキを自分に貼り付け、一気にメリハリをつけてスイッチを入れている

過去の生徒も、ナイスアイデアでしたね。


終わりに

これで記事は以上です。
最後までお読みいただきありがとうございます。

現役塾講師の筆者は全ての受験生を応援しております。

がんばれ。

がんばる皆はとてもカッコいいぞ

いいなと思ったら応援しよう!