2025年を転換点にしよう
2025年になりました。本年もよろしくお願いします。
令和になってから、あっという間に7年。今年は昭和100年だそうです。
農業コンサルティング会社を創業して23年目になります。
月日の流れは年々、早くなっていきます。還暦も近づき、私に残された短い時間で何を成すことができるのかを考えるようになりました。
私なりに北海道で農業を外部の視点から20年以上定点観測してきました。社会は大きく変化していますが、農業という産業を俯瞰的にみたときに、その仕組みや構造はほとんど変わっていません。変わらずとも、これまではやってこれたのです。
しかし、人口減少と超高齢化社会を背景とした人手不足や、長期的な円安、資源高に対して、今すぐに対応しなければ、農業、農村、食料が大きな危機に見舞われることを心配してやみません。
これらの問題は、 今から15年後の2040年ごろから特に深刻な状況になると思います。長く続いてきた過去の慣例を変えたり、既得権者への抵抗にもなるかもしれませんが、今、責任のある人がリスクをとって変革することを期待しています。
最近、日本もインフレ局面に入り、物価が上昇しています。野菜や穀物などの食料品も軒並み値上げされています。この背景には、肥料や農薬、物流費などの値上がりがあります。野菜などの作業に人手を要するものは人件費の高騰も理由にあります。そもそも、作業者が確保できず、野菜の栽培をやめてしまう農家も多くいます。
農業者の高齢化も深刻で、今後15年で農業者が1/4になるという予測もあります。残った農家が管理する農地が増えても、作業者が少ないと、機械管理が可能な作物に移行して、野菜などの人手を必要とする作物を作る人がいなくなるので、ますます需給は逼迫して野菜の価格は高くなるでしょう。
農業者が減少しても、農地を減らさず生産性を維持しなければなりません。そのためには、いわゆるスマート農業が有効です。今のスマート農業は、デバイスや技術などの手段の議論になっていますが、農業はそれぞれの地域で事情が異なるため、その地域の課題をしっかり見据えて、何を開発、導入すべきか地域全体で考える必要があります。
農業者の減少は、関連する産業の関係人口も減少させることになります。農村部ではこれまで以上に人口が減少し、教育や福祉などの基本的な住民サービスが質、量ともに低下することになり、住みにくくなる可能性あります。人が定着しなければ地域コミュニティは崩壊するでしょう。そうすれば、そこで農業をする人もいなくなってしまいます。
地域コミュニティの維持を念頭として、農業者の減少に対応しなければなりません。作業者を確保するために収益性の高い農業を実践する必要もあるでしょう。そのためのスマート農業、農業DXを地域の実情に合わせて導入しなければなりません。
地域のブランディングも重要な要素です。
農業の魅力だけでなく、他の産業や観光資源と連動した戦略がますます必要になると思われます。インバウンドが増えているのはチャンスです。海外に向けて、農産物を輸出するだけでなく、地域を訪れる人を増やすことを考えた方が良いと思います。
私は、土づくりを中心とした農業技術コンサルに加え、地域ブランディングに長く取り組んできました。また、北海道大学認定スタートアップである株式会社スマートサポートでは、DXを活用した軽労化技術の開発にも関与しています。
ご相談はお気軽に。