限界集落化する農村
日本の農村地域は、人口減少と高齢化が深刻な課題となっています。農林水産省の予測によれば、2045年までに山間農業地域の人口は半減し、65歳以上の高齢者が過半数を占めるとされています。 (農林水産省)このような状況下で、農村の活性化と農産物の付加価値向上は急務です。
下記のグラフは農林水産政策研究所が令和元年8月に発表した「農村地域人口と農業集落の将来予測」に記載のグラフです。
日本の総人口は2008年にピークを迎え、それ以降、減少しています。都市部では減少速度が緩やかですが、農村地域では急激な減少が見られます。
地域別に見れば、北海道は2045年に存続危惧集落は1,400を超え、その割合は20%に迫っています。
存続危惧集落とは集落人口が9人以下で、かつ高齢化率が50%以上と定義されています。この状態では、すでに生産活動は行われていないと思われます。それどころか、このような集落にはゴミ収集や電気、水道などの基本的な生活サービスの提供も難しくなるでしょう。
その多くが中山間地であろうと予測はされますが、平地農村でも人口減少、高齢化は続きます。地域の産業である農業をどのように守るかを今から真剣に議論しなければ、農家も農協も役場も成り立たなくなると思います。
北海道では夕張市が2007年に経済破綻しました。この理由は1990年に炭鉱が閉山したことで、地域の主要産業を失い、労働者を中心に多くの人たちが町を離れました。残ったのは高齢者ばかりで高齢化が急速に振興しました。
炭鉱閉山後、夕張市は産炭地補助金などで観光業への転換を図りましたが、効果は限定的で、赤字が続きました。巨額の補助金を注ぎ込んだにも関わらず炭鉱閉山からわずか17年で財政破綻しました。
炭鉱は閉山という区切りが明確でした。しかし農業は突然終了するということはありません。少しづつ離農が進み、気づいたら限界集落化していくと思われます。つまり、手を打つタイミングが難しいのです。
明らかに将来的に行き詰まる可能性があるのに、今、問題を先送りして良いのでしょうか?
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