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地域の特産品のブランド化を考える

地理的表示保護制度(GI制度)は、2015年に施行された農林水産物・食品の品質や特徴が地理的要因と結びついていることを示し、これを保護するための法律です。
欧州(EU)では、GIは1992年からある古い制度で、他にも100け国以上で採用されています。日本は世界に遅れて制度ができました。

GI制度では、地域の土壌や気候、文化などに強い結びつきがあり、ある程度の栽培実績、周知性があることが求められます。また、その名称の多くは「地名+産品名」となっています。

日本では、GI制度に先立って、地域団体商標という制度もありますが、これは周知性や一定の流通があることが求められますが、地域の風土や文化、社会的なつながりなどはあまり問われることはありません。

GIも地域団体商標も、地域のJAや自治体、業界団体など、一般的に複数の生産者を構成員とする組織でなければ登録することができず、個人や特定の法人が単独で登録することはできません。すなわち、GIも地域団体商標も地域の共有財産であるという考え方がベースになっています。

北海道では夕張メロンや十勝川西ながいも、ところピンクニンニクなどが登録されています。

地域ブランド産品の多くは、ブランディング戦略などを持たず、気づいたときには有名になっていた。お客さん、消費者に支持されていた。という産品なので、ブランドの管理者があいまいになっていることが多いです。

ブランドの管理とは、ブランドの特性や範囲、生産方法などがしっかりと定義されていることです。生産者がどこにいて、どのような方法で、どんな品質の産品を生産しているのか管理者が把握していなければなりません。

つまり、ブランドの管理者にとって、管理しきれないアウトサイダーがいると、ブランドの品質などを保証できず、ブランドの基本的な機能である信頼が維持できないという背景 があります。

ブランドは作り手(送り手)が完全にコントロールできるものではありません。顧客(消費者)がそのブランド、産品に接した時の印象によって形成されるものです。好印象を得て、リピートしたい。誰かに勧めたい。と思うことで価値が高まります。この価値は信頼感にものづくものです。

GI制度は、その信頼であるブランドの価値を国が裏付けるものです。国が裏付けることで、その価値を保護し、その産品を用いた地域の活性化や輸出に活かす可能性ができます。

人は、「いつもそこにあるもの」は、当たり前のことと思い、その価値に気付かないことがよくあります。地域のブランド産品も、その地域に住む人であれば、古くから馴染みがある、日常の当たり前のものという認識が多く、価値を見出せないことがあります。

今後、地方は都市部にも増して、人口が減少します。それ以上に一次産業に従事されている方は減少します。もしかしたら、知らず知らずのうちに地域で大切に育ててきた、ブランドが消滅してしまうかもしれません。

地域の価値を再発見するために、地域に眠っている、あるいは気づいていない価値を棚卸ししてみてはいかがでしょうか?

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