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酪農家の減少がとまらない・・・

標題に「酪農家の減少がとまらない」と書きましたが、実際には酪農家の減少が止まるとは思っていません。酪農家に限らず、日本の農業者は今後、減少の一途を辿るでしょう。

農水省のスマート農業に関する資料によれば、今後、日本の基幹的農業者数は今後20年で1/4のおよそ30万人になると予測しています。農業者の減少はずっと前からみんな知っていたことですので、今さら驚くことではありません。

問題なのは、極めて確度の高い未来予測に対して、具体的な対応がなされていなかったことです。これには驚きます。高度に経済成長した日本では農業者人口は少なく、現在はおよそ1.6%です。食料自給率が40%を切ったとはいえ、わずか1.6%の農業者がわれわれの食をいのちを支えているのです。

20年後の日本の就業者数は6,000万人ほどと予測されています。そして、日本の基幹的農業者数は30万人と予測されていますから、20年後の農業者比率はわずかに0.5%です。このとき、日本人の食は誰が支えているのでしょうか?

昨日、全国の酪農団体などで作る中央酪農会議が今年10月の全国の酪農家個数が10,000戸を切ったと発表しました。北海道は全国に比べて減少率が緩やかであるものの年間の減少率は4.4%で、4,338戸になったようです。

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1095648

私が農業コンサルタントとして独立、企業した2000年代初頭頃全国の酪農家はおよそ30,000戸、北海道も9,000戸はあったと記憶しています。コロナ前に全国で15,000戸を切ったと話題になってからわずか5年で5,000戸も減ったことになります。

酪農家の減少傾向は今後も続くと思います。そうすると牛乳や乳製品の供給に影響が出ると思われます。特に本州では酪農家の減少が加速し、その分、自給飼料の供給ができる北海道への期待は大きくなるでしょう。

今後、北海道が日本の牛乳、乳製品の需要を支えるために、何をしなければならないのか、行政や業界団体が、その方針を明確に示す必要があるのではないでしょうか?

そのひとつの手段となるのがスマート農業です。私は、「北海道の酪農DXを考える会」の世話人のひとりとして、今後、牛乳、乳製品の生産を維持するために必要なことを関係者と話あっています。

話し合いの中で、北海道の酪農において解決優先度が高い酪農家の仕事を4つあげました。それが以下の項目です。

搾乳作業の軽労化と効率化
搾乳作業は毎日、早朝と夕方の2回行われています。1回の搾乳時間は概ね2時間です。海外製の搾乳ロボットの導入は進んでいますが、今なお多数を占める繋ぎ飼い牛舎のパイプラインミルカーでの搾乳やミルキング・パーラーでの作業の軽労化や生産性向上は急務といえます。

酪農ヘルパー要員の育成
酪農家が休みをとるときに酪農家に代って搾乳作業などの牛舎作業を担う、酪農ヘルパーや補助ヘルパーが不足しています。酪農ヘルパーの人材育成を効率的に行うための技術開発が必要です。また、ヘルパーから新規就農や大規模経営体へのキャリアパスなどの仕組みづくりも期待されます。

牧草地管理作業の効率化
広大な牧草地の管理作業は大型のトラクターや作業機械を使って行われますが、作業機械のオペレーターや作業者が不足しています。また、天気などによって作業状況が刻々と変化するなかで効率的な作業スケジュールをマネジメントできる人材やサービスの開発が求められています。

営農計画・経営分析のDX
酪農業は数十頭から数百頭の乳牛の管理や毎日、生産される生乳の品質、作業の管理などから得られる膨大なデータからダイナミックに経営を分析することが可能です。センサによるデータの自動取得や入力の自動化、AIなどによる解析によって経営効率を改善する可能性は高いといえます。

今後の酪農DXに関する取り組みも随時、アップしていきます。


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