大学院でのアメリカ政治研究を手がかりに「リーダーシップ」を考える
◆「リーダーシップ」に対する苦手意識
こんにちは、リープのロジャーです!
なぜなら、リーダーシップの発揮という点について、私は業務の中で十分に行えているという自負があまりなく、むしろ自らの弱点であると感じていたからです。
私はリープの評価分析チームに所属しています。
チームのメンバーとともに、リープにご提供いただいた商談や部下指導の動画を観察し、評価・分析を行うことで、クライアント様の人材育成に向けたパフォーマンス課題の特定に日々取り組んでいます。
もちろん、業務の中でチームのメンバーとコミュニケーションやディスカッションを行いながら、必要な意思決定を行っていくという点に関しては、特に問題なく実行できています。
チーム内では、「アナライジングリード」というポジションで、チームの中で行われる評価・分析の質の担保という責任を与えられており、新たなチームメンバーが加わった際には、評価・分析の方法に関する研修を担当しています。また、通常の案件とは異なる特殊な調査が必要なプロジェクトでは、具体的なリサーチデザインの設計を行い、他のメンバーに協力を依頼することもあります。
このように、チーム内の業務で一定の主導的な役割は果たせているものの、リーダーシップの発揮という観点では、自らが長けているとは思っておらず、むしろ苦手意識さえあるほどです。
自他共に認める優柔不断な性格でもあり、業務の中でも他のメンバーをけん引するような、いわゆる「リーダーシップにあふれた振る舞い」は少なくともできていないと思います。
◆大学院での「リーダーシップ」研究をヒントに
こうした意識があるなかで、冒頭のnote執筆の依頼を受けて「何を書こうか……」と考えていた際、ふと気づいたことがありました。
それは、私が『リーダーシップ』について何年も考えをめぐらせていた経験があるということです。
私は、大学卒業後、大学院でアメリカ政治に関する研究を行っていました。
修士号を取得した後、博士課程でも3年間研究に従事していました。残念ながら博士号の取得には至りませんでしたが、大学卒業からリープ入社までの間、最も多くの時間を費やしてきたのは、アメリカの国内政治に関する研究でした。
特に、私は、民主党と共和党というアメリカの二大政党の指導部について研究を行ってきました。
アメリカ二大政党の指導部は、英語で「パーティー・リーダーシップ(party leadership)」と訳されますが、この二大政党の「パーティー・リーダーシップ」による党内人事が、どのような要因によって規定されているのかをテーマにして、多くの既存の研究にふれつつ、自らの分析によって独自の知見を明らかにしようとしてきました。
日本では、国政選挙に出馬する候補者の公認(その政党の代表として選挙に出ることの承認)を「パーティー・リーダーシップ」である執行部が行います。そのため、国会議員は、法案採決における投票など、議会内の行動が所属政党の執行部の意向に強く拘束されます。
一方で、アメリカの場合、選挙の候補者の公認は、政党指導部ではなく各選挙区の有権者が行うため、日本のように、政党指導部が所属議員の行動を強く縛ることはできないという違いがあります。
近年のアメリカでは、二大政党間でのイデオロギー対立が激しくなる一方で、民主党はリベラル、共和党は保守というイデオロギー軸での結束を強めているため、同じ政党の中では政策的立場に大きなばらつきがなく、指導部を中心として結束を高めていますが、それでも日本の政党の執行部と比べると、所属議員に対するアメリカ二大政党の指導部の権限は弱いといえます。
しかしながら、指導部を中心に党内の結束を高めることは、自党にとって望ましい法律の制定を行う上で非常に重要な要素となります。
そのため、アメリカの二大政党の指導部は、議会での法案採決における投票などの場面で、「指導部の意向に沿った行動」、すなわち自党の立場をしっかりと反映するような行動をとった人物に対して、重要なポストを優先的に配分するなど、党内人事で優遇することで、所属議員が指導部の意向に沿って行動するよう動機づけを行っているとされてきました。
私も、こうした過去の研究に関心を持ち、アメリカ二大政党の指導部が行うポストや選挙資金といったリソース配分に焦点を当てて、どのような要因が大きなインパクトを持っているのかを大学院で研究してきましたが、指導部が所属議員のまとまりを強めるような目的をもって党内のリソース配分を行っているという点は、やはり私の研究でも同様の結論でした。
◆「動機づけの仕組み」を通じたリーダーシップの発揮
もちろん、政治の世界とビジネスの世界では、求められるリーダーシップも異なるでしょう。ただし、こうした研究の内容から、リープの業務で発揮すべき「リーダーシップ」のヒントを得られるような気がしています。
私は、自らの優柔不断さを乗り越え、業務の中で優れた決断力を発揮することで、他のメンバーをけん引するというような「リーダーシップ像」を漠然とあるべき姿として思い描いていました。
一方で、アメリカ二大政党の指導部は、それを担う議員の人物像は定かではありませんが、所属議員の行動を統制する強い権限を持たないなか、党内の結束を高めるための動機づけとなるようなリソース配分を通じて、自党に利益をもたらすような法律の制定というアウトプットを得ようとしています。
リープの業務においても、こうした「動機づけの仕組み」をチーム内で活用することで、より質の高いアウトプットが創出されるのではないか、そして、この「動機づけの仕組み」を整えることも、リープの業務における「リーダーシップの発揮」といえるのではないかと、このnoteの執筆を通じて感じました。
例えば、チームメンバーから新たなサービスについてアイデアを募り、優れたアイデアが出た際には積極的に社内のリソースを投じてサービスの開発を進めつつ、その発案者にも何らかのベネフィットが与えられるような制度を作る。
このような「動機づけの仕組み」の構築も、リープの業務で自らが発揮しうる「リーダーシップ」の一つのような気がします。
今回のnote執筆によって気づいた「リーダーシップ」を、チームの中で実際に発揮していこうと思います。
Written by ロジャー
リープ株式会社 アナライジングリード