障がい者支援の素人だった僕が障がい者支援者の研修事業を立ち上げるまでの話①
新規事業の立ち上げ
僕は、2014年に株式会社Lean on Meを設立し、当時はスタートアップやベンチャー企業という言葉すら知らない状況でしたが、「知的障がい者やそのご家族の役に立ちたい」という想いだけで起業しました。
そのため、スキルもお金も人脈もなかったので、障がい者施設で非常勤職員として働きながら生活費を稼ぎ、スペシャルラーニングの立ち上げをしました。
事業アイデアを思いついたきっかけ
僕は新卒で「はま寿司」という回転寿司チェーン店に入社し、静岡県のお店で店舗責任者として働いていました。ゼンショーグループという外食産業で大手ともあって、マニュアルがしっかりと整備されている会社でした。
そのため、退職後に障がい福祉サービス事業所で勤務した際に、「違和感」を覚えたことがきっかけでした。
それは、「現場で覚えて!」という先輩職員の支援手法を真似る形で仕事を覚えていかなければいけなかったことです。職人気質な文化がある職場だと感じました。
僕自身は、ダウン症で知的障がいのある弟と過ごしてきた経験があったので、なんとなくの接し方はわかってはいたものの、自閉症スペクトラム障がいなど他の障がい特性のある方との接し方についてはわからないことだらけで、とても困りました。
先輩職員さんに指導して欲しい気持ちもあったのですが、障がいのある方から目が離せないといった状態だったので、教えてもらうこともできず、その時に今の事業アイデアを思いつきました。
先輩職員さんにも迷惑をかけず、障がい者支援の基礎を学びたい
障がい者支援について学びたいと思ったときに、どうしたら良いかわからず、とりあえず本屋さんに行ってみたり、ネットで調べたりしていました。
(その時に出会った久田則夫先生のこの本が、当時の僕のバイブルとして愛読していたので紹介します)
しかし、日々勤務をしながら「どんな研修があれば良いか」について考えていたときに、僕は本だけでは伝わり切らない「知的障がいのある方の雰囲気」であったり、状況ごとの対応方法であったり、映像の方が伝わりやすいのではないかと思うようになっていきました。
「eラーニング 作り方」とググる
学生時代はテニスしかしておらず、社会人になってからは寿司しか作っていなかった僕は、eラーニングの作り方を全く知らなかったので、ググるところからスタートしました。
調べた結果、どうやらeラーニングを作るには「インストラクショナルデザイナー」という専門家がいないと作れないと書いてありました。
インストラクショナルデザイナーは日本に2人しかいない(当時の情報)と書いてあり、1人は連絡先が不明で、もう1人は大学の教授という情報がありました。
早速、その大学のHPから教授宛に、「eラーニング作りたいのですが〜」とメッセージを送ったのですが、数日経っても返信がなく、「終わった」と絶望的な状態でした。
しかし、色々調べていく中で、eラーニングのシステムを販売している会社があることを知り、そこに問い合わせてお話をする機会をいただきました。
お話をお聞きしていると、インストラクショナルデザイナーがいなくてもeラーニングの開発自体はできるということを知り、勇気をもらいました。
最初はシステムをレンタルするところからスタートし、動画の制作依頼する形で始めようと決心したタイミングで、ある大事なことに気づきました。
障がい者支援の素人が作った研修って、そもそも誰が受講するん?
せっかく、eラーニングが作れると喜んでいたのも束の間、障がい者支援の素人の僕が作った研修をベテランの職員さんが学ぶイメージも持てず、「何を教えたらいいんやろ?」と当時の新人職員の僕が学びたかった内容と実際にサービスとして提供する際にベテランの職員さんに使っていただくことを想定したときのギャップがあることに気づきました。
なんとか多くの人に使ってもらえるようにしたいと思って、情報を集めることにしました。
海外の方が障がい者支援が進んでいるらしい
情報を集めていく中で、障がいのある方への支援は海外の方が進んでいるということを知りました。
SNSを通じてたまたま出会ったアメリカのオレゴン州の方とのご縁があり、実際に1ヶ月間、オレゴンの支援現場を勉強させてもらうことができました!
その結果、オレゴン州は行政が制作された体系的な研修があることがわかり、障がい者支援という仕事が専門職として資格を持った人が働ける制度になっていることがわかりました。日本では、高齢者介護や保育については資格はありますが、障がい者支援に特化した体系的に学べる国家資格はないため、僕が素人で障がい者支援の現場に入ったときに困った理由がここにあったんだと気づきました。
オレゴンでの学びを日本の専門家に相談
日本の障がい者支援の専門家に、オレゴンが障がい者支援者の教育カリキュラムが充実している話であったり、日本の支援者教育のあり方についてディスカッションの機会をいただきました。
一番最初は、沖縄で発達障がいの療育を最初に始められた山城健児さんや和歌山で弁護士をされていた⻑岡健太郎先生とご縁をいただき、アドバイスをいただくところからスタートしました。
(長岡先生の著書も貼っておきます)
日本初の障がい者支援者に特化したeラーニング
2016年4月に、日本初の障がい者支援者に特化したeラーニングサービスをリリースすることができました!
最初は、安全面、健康面、権利面など障がい者支援者が最低限学ぶ必要がある動画研修を20コンテンツ制作しました。
自立センター前穂さんに協力いただき、実際に職員の皆さんにeラーニングを使っていただき、アンケート調査などさせていただきました!
使用いただいた満足度も高く、受講いただいた支援者のお声で、「介護施設からの転職で障がい者支援の仕事を始めたので、日々手探りで困っていたので非常に勉強になりました!」という嬉しいお声をいただくことができました!
いろんなお声があった中で、「障がい福祉サービス事業所におけるマナー・接遇のコンテンツが欲しい」であったり、いろんなリクエストをいただく中で、動画を増やさないと使い続けてもらうサービスにならないと気づきました。
障がい福祉業界の有識者との出会い
リーンオンミーは、大阪府高槻市で創業したのですが、同じ高槻市に社会福祉法人北摂杉の子会があり、理事長の松上利男さんとの出会いが、このサービスの運命を大きく変えるご縁になりました!
立ち上げて間もないサービスだったにも関わらず、eラーニングに非常に可能性を感じていただき、「(非常勤の職員も含め)支援の質を統一化していく必要がある」という考えの中で、効果が期待できるという助言をいただくことができました。
そして、松上さん自身もコンテンツに出演いただき、また「この分野だと、この先生が間違いない」といった求められているテーマごとに日本を牽引する講師をご紹介いただいたことで、今のスペシャルラーニングの土台となる「誤学習を防止し、信用できる研修の提供」を実現することができました。
eラーニングシステムの開発
いよいよお客様も少し増えてきたタイミングで、eラーニングのシステムをいつまでもレンタルしている訳にもいかなくなってきたので、自社でeラーニングのシステムを開発することにしました!
とはいえ、エンジニアが豊富にいるわけでもなく、お金がたくさんあったわけでもないので、Moodleというオープンソースを使って、自分で勉強しながら開発しました。今振り返ると、「なかなか使いづらいUI/UXをしているな」と恥ずかしさもあるのですが、非エンジニアなりによく頑張ったなと思ってます笑
日本eラーニング大賞2018 ダイバーシティ特別部門賞受賞
eラーニングの作り方をググって、「終わった」と絶望的な状態からのスタートでしたが、本当にたくさんのご縁をいただく中で、まさかまさかの日本eラーニング大賞というeラーニングの全国大会のような場所で賞をいただくことができました!(自分でもびっくりでした)
今回はここまで
次回は、「値決め」の話であったり、ビジネスモデルの構築について書いていきたいなと思います!
いろんなご縁に恵まれて今があると、つくづく実感します。
最後に
リーンオンミーでは現在、一緒に働く仲間を募集しています!
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