
ニュージーランド視察で学んだ!リーンオンミーが実践する3つの重要な知見とは?
リーンオンミーの3つの大切なこと
リーンオンミーでは、事業をしていく上で大切にしていることが3つあります。そのうちの一つに、「諸外国の先進知見のインストールすること」とあり、僕は創業当初はアメリカのオレゴン州で障がい者支援の勉強をして、その後、中国やイギリス、タイと視察を重ねながら、日本の障がいのある方やその家族が置かれている状況について考えてきました。


ニュージーランドへ視察
視察に行った背景
2年前に弟と二人でイギリスへ視察に行った際に、国際ダウン症協会や全英自閉症協会、Inclusion Internationalなど様々な団体と意見交換をすることができました。
余談ですが、ダウン症のダウンはアップダウンのダウンではなく、ジョン・ラングドン・ダウン先生というお医者さんの名前から名付けられています。
そのダウン先生の博物館であるThe Langdon Down Centreに行った際に、ダウン先生の末裔がおられて写真家をしているということで、会いに行ったところ、二人で写真を撮ってもらいました笑

ちょっと脱線しましたが、いろんな団体から話を聞く中で、世界各国は国連の障がい者権利条約に基づいて、障がいのある方への配慮の施策などを実行していると聞きました。そして、その国連の障がい者権利条約のモデル国となっているのが、ニュージーランドという話でした。ニュージーランドの中でもPeople First NZという団体が、その活動をリードしてきたという話を聞いたので、実際に自分の目で見て話を聞きたいと思い、約1週間の視察へ行きました!(ちなみに出発5日前まで現地でのアポイントが0件だったのはここだけの秘密です笑)
NZの障がいのある方の人口
ニュージーランドの人口は、512.4万人。(福岡県と同じくらい)
障がい者総数は110万人であり、人口の約24%に相当します。
・身体障がい者は推定632,000人(総人口の14%)
・感覚障がい者は推定484,000人(総人口の11%)
・知的障がい者は推定89,000人(総人口の2%)

NZの学校について
ニュージーランドの教育方針は、テファリキを取り入れており、一人ひとりの気持ちを尊重するスタイル(「あなたは今日何がしたい?」と先生が生徒個人を大事にしてくれる)で、受けたい授業も生徒が選んで、その教室へ行く(大学っぽい)形でした。また、入学も日本みたいに4月から一斉にするのではなく、誕生日から入学するため学年の進級にも選択肢(「2年生クラス」や「2・3年生クラス」など)がありました。
ニュージーランドの教育スタイルは、自己肯定感や自発性が高まるメリットがあり、一方で知識の底上げには適さないといったデメリットもあると感じました。(大人になっても指を使って計算する人が結構いるため)
だいたい1クラス25名で先生が1人らしいのですが、障がい特性のある生徒には、保護者が申請すればチューター(Special Needs helpやteacher aidなど呼び方は様々)が付きます。また、Special Needsの生徒のための私立学校もいくつかありました。このような学校では、1クラス10名くらいで先生が1人でやっているそうでした。
NZの知的障がいのある方の権利擁護
①People First NZのCindyさん
People First NZのNational ManagerのCindy Johnsさんにお時間をいただきました!実は、僕は2016年に「世界を変える知的障害者:ロバート・マーティンの軌跡」を読んで、Sir Robert Martinにお会いしたくてNZの予定を楽しみにしていたのですが、GWにとても悲しいニュースを見て衝撃を受けました。
CindyさんはSir Robert Martinの想いを紡ぎ、施設がない世界(脱施設化)を目指しています。
私はただ、私たちがこのような活動をしなくてもよい世界を望んでいます。すべてが日常の一部となり、人々が望む場所で、望む人と一緒に暮らせる世界です。ニュージーランドでは大きな施設はなくなりましたが、まだ選択肢や制御がない場所があると言っています。
それを解決するためには、当事者の声を届けていくことが一番大切です。

②Sir Robert Martinの追悼式へ参加
Cindyさんに招待いただき、Sir Robert Martinの追悼式へ参加しました。
ロバートさんは、”リーダーの中のリーダーだ”と誰もが口を揃えて言っていました。ラグビー好きで愛くるしく、スピーチをする方から涙あり笑いありのエピソードがどんどん出て来て、会場が笑顔に包まれるシーンが何度もありました。ロバートさんの意思を僕たちも紡いでいけるように頑張りたいと思いました!

会場では、日本の方にもお会いすることができました!
安積 宇宙(アサカ ウミ)さん
Umiさん、話しかけてくれてありがとうございました!
おかげで、心細い気持ちが晴れました😊

本も執筆されているので、ぜひ読んでみてください📕
また、Umiさんのお母様の遊歩さんはカイロ会議で優生保護法の問題を世界へ訴えたとてもすごい方で、こちらも本がありますので良ければぜひ✨
追悼式のスピーチで、日本からは長瀬修さんがビデオメッセージで登場し、とても誇らしい気持ちになりました!

③Everyday NetworksのMattさん
Mattさんは、Community Connectionsには勤めている方です。ニュージーランドの北島下部にある事業所を運営し、約400人の障がいある人々を支援しています。障がいのある方とほぼ同数のスタッフが働いているそうです。
24時間365日体制で(居住)支援も行っていますが、支援を受けるのは一般的に家の中にいる障がい者1人だけで、グループホームはないとのことです。
支援者育成についてもヒアリングしたところ、下記のように教えていただきました!
障がい者支援の資格のない人を雇用し、働きながら勉強してもらうこともできます。サポートワーカーとして役立つスキルを身に付けられるレベル 3 とレベル 4 の国家資格の取得をお手伝いできます。また、さまざまなトピックに関する外部および内部のトレーニングも行っています。

④NZDSNのPeterさん
New Zealand Disability Support Networkへ飛び込みで訪問したところ、代表のPeterさんが出てきてくれて情報交換しました!
日本でいう社会福祉協議会のような団体でした!
NZDSNの会員は、障がい者のインクルーシブな生活と積極的な市民権の実現に焦点を当てた社会変革運動にコミットすることが求められています。国への政策提言をしたり、国内外から専門家を呼んで基調講演などを毎年行ったりしています。また、少し障がい者雇用よりのサポートとして、障がい者労働者における資格取得の道筋を開発・改善するためのイニシアチブに貢献し、それを主導するとともに、より公平な報酬を得るためのアドボカシーを行ってます。

⑤Whaikaha(ワイカハ)のMattさん
Whaikahaは世界初の障がい者庁。Mattさんは、2007年に日本政府に働きかけて、国連の障害者権利条約に調印してもらうための嘆願するグループの一員として日本に来た方でした。色々と質問をさせていただく中で、ニュージーランドではフェア・ゴーの精神が根付いていることが強みだと教えてくれました。
Fair go(フェア・ゴー)
当然なるべくしての権利であったり、みんな公平だよという意味。
また、ニュージーランドのアドバンテージは、国のサイズが小さいからこそいろんな人に会うことができること。
障がいのある方が自分の近いところにいるし、その存在が認めざるを得ない。
障がい者雇用についても質問したのですが、ニュージーランドには障がい者雇用率はないが、障がいのある方の30%くらいが仕事に就いているそうです。職種が制限されている訳ではなく、一般の方と同じ仕事に就いているケースが多いとのことでした。ただ、賃金については障がいのある方の60%が年収4万NZD(約380万円)以下で全体的に低いところに属しているそうです。
余談ですが、工賃を上げるために障がいのある方が作った洗剤がスーパーで販売されており、他より少し高めの料金設定でした!

余暇活動についても聞いたところ、スポーツをする選択肢もあり、障がいのある方が健康だと結果的に政府の負担が少なくなるから当然という考えがあり、政府も推奨しているそうです。
Sir Robert Martinもラグビーをされていましたし、Mattさんはクリケットをするそうです。Mattさんの場合は、スポーツが楽しいからというよりは健康面でウェルビーイングのためにやっているとのことでした。

番外編:マスタートンの旅
1日だけアポイントの日程変更があり、時間がスケジュールが空いたので、ウェリントンから車で2時間弱の場所にあるマスタートンへ行きました!
(途中から景色が変わり、牛、羊、馬がたくさんいるカントリーサイドに)

まず最初に目掛けて行ったのは、Learning Disabilities Association of New Zealandという、いかにもオフィシャルな団体。
1時間40分運転して到着したら、住宅街で何もない!

近くにWAIRARAPA COMMUNITY CENTREという福祉セクターの場所があったので、飛び込んで確認すると1年前に閉鎖されらしい。
さすがに「わかりました!」と帰るわけにも行かなかったので、「日本から来ました〜」と事情を説明すると「ダウン症の方が働いているお店の地図」をもらう&団体を紹介してもらいました!


紹介してもらったCCS Disability Actionに訪問したところ、僕の英語が拙かったせいか、日本からニュージーランドに移住する人でダウン症の兄弟のために情報を求めていると勘違いされ、「どんな支援が欲しいですか?」と質問攻めにあったので、そのままアセスメントの専門家を紹介してもらいました。

アセスメントの専門家のFOCUSに訪問しました!医療機関のような佇まいだったのですが、日本のように先生と保護者が主体というよりは、障がいのあるご本人が主体で、本人の権利や意思を尊重したアセスメントを行なっているとのことでした!

そして、先ほどの地図(ダウン症の方が働いている場所)に向かったところ、完全に迷子になり、道行く人やお店の人などリアルに10人くらいに声かけて場所を見つけました!ただ、そのお店は閉店が15:00で閉まっていたので、隣のお店の人に相談したところ、後日名刺を渡してくれることに!
みんな優しい!!!

番外編:スタートアップ支援機関
今回は、約1週間のうち2日間ほどグッドニュースの杉岡社長と一緒に行動をしていたので、現地のスタートアップに会いに行こうか!ということで、飛び込んで来ました!笑
CREATIVE HQという、スタートアップ支援をしている場所がウェリントンにあり、NZのスタートアップの悩みであったり、資金調達環境など情報交換をしてきました!
シード期のスタートアップが多い印象で、国内のVCは40社ほどしかなく、数億円規模の調達をしようと思うとオーストラリアやアメリカ、カナダなどにいく必要があるとのことした!また、国外に展開する際には同じ英語なので言語の壁は突破できるものの、逆に言うとグローバルのプロダクトも入ってきやすいため競合もすぐ出てくるようでした!

なんだかんだで、Chrisさんが5分だけと言いながら、15分くらい時間を作ってくれました!(めっちゃ良い人)
ちなみに関西には、秀吉会という経営者同士で切磋琢磨する会があるんですよと言ったところ、「ニュージーランドにはない!とても良い取り組みだ!」と言っていただきました笑
その後も話は盛り上がり、「今日の夜にスタートアップイベントをやるので来ないか?」と誘ってくださり、飛び入り参加させていただきました!
「ボードメンバーをどのように揃えていて、なにが一番大切だと思いますか?」という質問をしたところ、「ケミストリー」という返答が一番多かったです!

無料でピザとビールをいただき、大満足でした🍕

ちなみにニュージーランドのスタートアップで流行っているのは、ブリュワリーのスタートアップで、地ビールを作ってグロースするケースが多いらしいです🍺
確かに、スーパーに行ったらびっくりするくらいのビールの種類がありました😳

振り返り
今回紹介できなかった出会いが他にもたくさんありましたが、ダイジェストとして非常に濃い1週間を過ごせたことが伝われば嬉しいです!
今回学んだニュージーランドと日本との一番の違いは、”障がいのある当事者が主体である”こと。
それは身体障がいのある方で自分の意見をスムーズ伝えることができる方だけがという訳ではなく、ダウン症や自閉症スペクトラム障がいなど知的障がいや発達障がいのある方も自ら発言しており、彼らの意見を周りが尊重して発信をサポートしていました。
しかし、そのような素晴らしい活動をしている非営利団体は政府のお金や寄付に頼らざるを得ない状態で、「もっと資金があればこんなことができるのに」という悩みも同時に抱えていました。
そんな声も聞きながら僕たちが何ができるかを考えたときに、
リーンオンミーは全世界の知的・発達障がい者の当事者の声を届ける、政府のお金や寄付に頼らなくても良い、経済的にも自立した(黒字化の企業による)コミュニティプラットフォームとして世界でオンリーワンの企業になり得ると思いました!
充実したニュージーランドの視察となり、サポートいただいた皆様には本当に感謝しています😊
これからも障がいのある方とその家族のために、チャレンジしていきたいと思います!
リーンオンミーでは現在、一緒に働く仲間を募集しています!
詳しくは下記をご覧ください🙏
リーンオンミーをちょっと覗いてみたい人へ、ビジネス留学も募集しています!